立命館大学は、1月19日から2月24日まで「世界遺産の適切な管理を通じた観光振興」プログラムを実施しました。本プログラムは立命館大学が、国際協力機構(JICA)関西より受託したもので、山崎正史・理工学部特任教授がコースリーダーを務めています。今年度二回目となる本プログラムでは、世界遺産管理に携わる11の国・地域から14人の行政官や専門家が参加しました。

 世界遺産は各国の歴史の象徴であり、長い歴史の中で守られ、観光資源として活用されてきましたが、近年の急激な経済発展や、自然災害、紛争などの変化の中で、多くの開発途上国では、文化・自然遺産の価値に気付かないまま不適切な開発が行われたり、何の対策も講じられなかったりして、それらの遺産が持つ観光資源としての貴重な価値を失いつつあります。本プログラムは、国内専門家による講義に加え、京都のほか、広島市や白川村へのフィールドワークを通じて、どのように政府や地方自治体、市民団体が世界遺産を保存し、観光振興をサポートしているかを学ぶ機会の提供を意図したプログラムです。

マンホール(防災設備)
放水銃についての説明を受ける研修員

 2月8日(水)には研修員は京都市にある世界遺産の東寺を訪れ、東寺の山下泰永氏(拝観・営繕課長)から東寺の歴史や防災対策に関する説明を受けました。

 東寺には敷地の広大さに加え、多数の国宝・重要文化財建造物があり、さらに国宝の金堂や五重塔は高層建造物であるため、境内に地下式貯水槽と高圧用・低圧用の大型消火用エンジン・ポンプが2台設置されています。そこから配水管を境内一円に埋設し、文化財建造物の近辺には放水銃を配備して、火事が発生した際には自衛消防団が消防局到着前の初期消火を行います。また、東寺では自衛消防団や京都市消防局、地元住民の協力により、定期的に消火訓練も行っています。研修員たちはこういった説明に熱心に耳を傾け、質問を投げかけました。

 弘法大師像が安置されている国宝御影堂は2019年末まで保存修理中であり、研修員は、鶴岡典慶氏(京都府教育庁指導部文化財保護課建造物担当課長)から建造物の歴史や変遷の説明を受けながら、竹釘を使った檜皮葺屋根の葺き替え作業を見学しました。

鶴岡氏による説明
檜皮葺屋根の葺き替え作業にあたる職人

 本プログラムの締めくくりとして、研修員は自国での観光振興のためのアクションプランを策定し、発表しました。研修員は帰国後、アクションプランを実践していくことが期待されています。

 学校法人立命館では、国際社会の発展に寄与する国際協力・国際貢献への取り組みを21世紀社会の中で教育機関が果たすべき役割と認識し、国際協力事業を学園の重要な柱の一つとしています。

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