【大阪・関西万博】「世界遊び・学びサミット」で立命館の幅広い取り組みを披露

 大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサー 中島さち子氏が手掛けるシグネチャーイベント「世界遊び・学びサミット」が、大阪・関西万博の催事会場EXPOメッセ「WASSE」で8月6日から10日に行われ、うち8日・9日の2日間にわたって立命館大学、立命館アジア太平洋大学(APU)、立命館宇治中学校・高等学校が、ブース出展やステージパフォーマンスで参加しました。そのようすをレポートします。

世界各地の文化をステージパフォーマンスで披露

 APUでは、2000年の開学以来、キャンパスにおいてさまざまな国・地域の言語や文化を紹介するイベント「マルチカルチュラル・ウィーク」を開催し、学生や教職員、地域の方々が多文化に触れあう機会を設けています。万博に来場される方々にも多様性や多文化を感じていただこうと、APUの学生団体が自ら企画・運営し、世界各国の舞踊や音楽などを紹介する「マルチカルチュラル・ショー」を行いました。

 8月8日は日本のほか、タイやマレーシア、フィジー、台湾、ミャンマー、インド、バングラディシュ、サモア、パラオなどアジア太平洋14の国・地域出身の学生が出演。沖縄のエイサーやマレーシアの獅子舞、インドネシアの伝統舞踊、太平洋オセアニア地域のステージパフォーマンスに加え、12カ国の民族衣装をまとった合同ファッションショーを行い、最後には観客を巻き込んでのパフォーマンスで魅了しました。翌日8月9日のステージでは、青森県の伝統芸能・荒馬踊、マレーシアやタイの伝統舞踊、ファッションショーなどが披露されました。

 「マルチカルチュラル・ショー」の実施にあわせて、APUで学ぶタイからの留学生たちがシグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」でタイ文化体験ワークショップを開催し、伝統的なお守り「プラタピアン」の手作り体験、タイの儀式などに関するクイズ、民族衣装体験を行いました。プラタピアンは魚の形をしており、健康祈願のためにゆりかごの上や家に飾るなど、古くからタイで親しまれています。参加したバンコク出身の学生は「幸せのおすそ分けです。自分で自由に色を塗るので世界で一つだけのお守りになります」と話してくれました。

 クイズではタイの儀式や祭り、言い伝えを紹介。民族衣装体験は、伝統的な女性の衣装「シュッタイ」やアクセサリーなどを身につけることができ、記念撮影も。母娘で民族衣装体験に参加された方からは「現地に旅行しても着る機会はなかなかないので、よい思い出になりました。皆さんフレンドリーで、どういう時に着る衣装なのかなどもいろいろ教えてもらいました」という感想が寄せられ、留学生たちとの交流を楽しんでいただいたようです。

言葉を紡いだ“いのちの木”で来場者とつながる

 立命館宇治中学校・高等学校の生徒たちは、EXPOメッセ「WASSE」で「いのちの木―感じる・つながる・いのちのかたち―」と題して展示とワークショップを行いました。再生段ボールと使われなかった答案用紙で作った“いのちの木”をブースの中心に置き、周囲には生徒たちが綴った数々のエッセイを展示。文字を読みづらい方にも伝えたいという思いから、エッセイに添えたQRコードにアクセスすると、アバターによる朗読が聞けるようにする工夫を盛り込みました。

 エッセイのテーマは、いのちや守りたいもの、家族への思いなど。来場された方には、生徒が手にするカラフルなシールから、エッセイを読んで感じた気持ちにふさわしい色を選んでいただき、そのエッセイにシールを貼っていただきます。ただ展示するだけでなく、来場者が誰かの思いに寄り添うようにシールを貼ることで、ブースや“いのちの木”が育っていくのが特徴です。「たくさんの人がエッセイを読んでくれて、木がどんどんカラフルになっていく過程を見られるのも楽しい」「いろいろなところに命が宿っています。モノを大切にすることも伝えたいと思いました」と、運営スタッフの生徒たち。“いのちの木”は今後、文化祭などでも展示される予定となっています。

宇宙・月面探査をテーマにしたブース出展

 立命館大学 宇宙地球探査研究センター(略称「ESEC」)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)協力のもとブース出展を行い、月面探査や宇宙開発に関する展示や、小学生から高校生向けのワークショップを開催。ESECで積み重ねてきた知見や最先端の技術の数々を披露しました。

 ブースには、月の石(月隕石)や、ESECが開発協力するJAXAの有人与圧ローバーの1/10模型と実物大のタペストリー、小型月着陸実証機(略称「SLIM」)に搭載されたマルチバンド分光カメラ(略称「MBC」)の地上訓練用モデルなどを展示。有人与圧ローバーはドライブシミュレーターの体験会を実施し、2日間で180名以上に体験いただきました。SLIMは世界で初めて月面へのピンポイント着陸に成功した日本の探査機です。MBCは可視・近赤外線領域の光を撮影する特殊なカメラであり、ESECのクリーンルームで保管され今も実験に利用されています。本モデルは打ち上げ時の振動に耐えられるかなどの運用訓練を繰り返したものです。今回、学外では初めての公開となりました。

 このほか、日本とインドが共同で開発を進めている月極域探査ミッションLUPEXも紹介。LUPEXの目的は、月の南極で水資源の存在と利用可能性を探ることで、今後の宇宙開発において非常に重要な取り組みとなります。ESECでは、この探査で使用する近赤外画像分光装置の開発を担っています。

 ワークショップは、小さな惑星探査車をプログラミングによって走らせる「ブロックローバーワークショップ」と、資金調達を含め月面着陸の課題を解決する「月面着陸船ワークショップ」の2種類を用意し、各4回開催しました。いずれも開始前に満席になるほどの人気で、子どもたちは積極的に質問するなど、楽しみながらも真剣に課題に取り組んでいました。

 会場にはESECの佐伯和人センター長も立ち会い、「幅広い層の方々に私たちの研究を知っていただくすばらしい機会になりました。ここ数年、世界中が月探査や宇宙開発を熱心に行う動きが出ています。平和的な宇宙開発を実現するには、研究成果によって日本の発言権を高めることが大切です。もともと日本の技術レベルは高いのですが、他国に追いつかれ追い越されないよう、私たちも研究に邁進したいと思いますし、現在、開発協力している有人与圧ローバーを成功させなければという思いを抱いています」と語りました。

 今後も学校法人立命館では大阪・関西万博において、9月14日・15日に万博学生委員会「おおきに」によるワークショップ、10月5日にオール立命館でステージパフォーマンスを行う予定です。本学ではさまざまな機会を設けて、その取り組みや研究成果を広く発信し、また、学生や生徒が学び成長できるようサポートしてまいります。

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