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実践的に学ぶ

2025.10.29

吉田ゼミがウォーカブルシティを考える路上イベント「みちクル」に参加しました


政策科学部・都市政策ゼミ(吉田ゼミ)がウォーカブルシティとレジリエントな都市のあり方を考える路上イベントを実施しました。これはJR茨木駅に隣接する商店街の路上において「みちから、まちを、変えていこう!」と題した茨木市役所主催の社会実験「みちクル」プロジェクトに協力参加したものです。この社会実験は、商店街、警察、市役所、大学、そして地域住民の方々が連携し、2週間にわたり自転車専用道を新たに設置したり、路上をポケットパークのように利用したり、夜の飲食空間のためのバルスペースとして時限的に利用しようとするまちづくりの試みです。3メートル幅の側道上に催し物スペースが南北両側に設けられ、立命館大学理工学部阿部研究室による茨木市各所の提案図面の展示スペース、関西大学社会安全学部伊藤ゼミの防災研究の展示スペース、空き店舗を利用した喫茶室、そして物品販売店とともに参加しました。

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側道の催し物スペースを利用した路上ゼミの風景



茨木市の「ツーコア・ワンパーク政策」には、阪急茨木市駅とJR茨木駅を2つの「コア」、元茨木川緑地公園一帯を1つの「パーク」と位置付け、それらにつながる交通を有機的に結びつけることで、コンパクトシティ化を進める狙いがあります。ゆくゆくは一方通行の自動車道を設けて、歩道や自転車道の幅を広くしようという構想もあります。


2025年10月25日午後、政策科学部吉田ゼミのメンバーと教員が集まり、最初に茨木市都市政策課職員さんから「ツーコア・ワンパーク政策」の意図と社会実験みちクルの実施状況が説明されました。ポスター展示では、2024年度PSエキスポで表彰された学生論文「中心市街地活性化に向けた駅間商業地の回遊性向上に関する政策的アプローチ分析」の紹介があり、また2024年度地域デザイン調査で考案されたまちづくり提案「地域に溶け込む学生寮」、「まちなか立ち寄り・サク飲みプロジェクト」、「響き合う知と感性の瑞雲空間」の紹介もありました。


後半の討論では、ゼミ生から2つのクエスチョンが提示され、少人数のグループで質疑応答や意見交換が行われました。クエスチョンは「JR⇔阪急 お互いにわざわざ行くん?どないしたらよう行くんかね?」、「2Core1Parkは茨木市の地震の際の防災機能を高めるか?」でした。学生同士の活発な質疑応答が展開し、まるで「路上ゼミ」、「青空ゼミ(曇天ゼミ?)」という状況でした。あいにく途中から雨天となりましたが、ゼミを終えた学生諸君は地域経済に貢献するため、バル参加店舗で夕食をとって懇親を深めました。


学生同士の活発な路上ディスカッション(茨木市役所提供)

催し物スペースの設営風景(金相憲提供)


(文責吉田)

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2025.10.8

角本ゼミ集中セミナーが、「AI・デジタル技術による社会課題への法政策的アプローチ」をテーマとして民間企業のヒアリング調査等を実施しました

角本ゼミ(政策構想演習)では、3・4回生合同で「AI・デジタル技術による社会課題への法政策的アプローチ」をテーマとして研究を行っており、その一環として2025年8月25日~28日に東京都で複数の民間企業へのヒアリング調査を実施し、一橋大学大学院法学研究科での特別講義を行なっていただきました。


25日には、ソフトバンクとトヨタ自動車の合弁会社であるMONET Technologies株式会社自動運転事業部の横山英則様、石原隆弘様、事業統括部の仁木創様に、自動運転サービスの到達点と今後の可能性についてお話をしていただきました。特に、社会的課題の解決を重視するなかで、オンデマンド交通や、医療MaaS、行政MaaSに注力されていることを伺いました。また、弊ゼミからは、サービスによって蓄積される関連データの公共財性や、「自動車を運転する、所有する」文化の行く末等について質問し、丁寧にご回答をいただきました。
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ソフトバンク本社

 

26日には、セイコータイムクリエーション株式会社を訪問し、サイネージ営業推進部の矢野雄一郎様、植竹彩子様、原佳奈穂様より、デジタルサイネージに関するサービスや実際の導入事例を詳細にご紹介いただきました。あわせて、デジタルサイネージの選挙利用の意義と課題に関する質問事項にもご回答をいただきました。選挙の場面における、紙媒体、SNSとのメリット・デメリットの比較をするなかで、設置費用、耐久性や設置場所、システム面での特徴など、デジタルサイネージに関する企業ならではの情報をご教示いただきました。
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セイコータイムクリエーション株式会社へのヒアリング

 

27日午前には、株式会社電通 CXクリエイティブセンターの木幡容子様、データ・テクノロジーセンターの伊勢裕子様、森山知英子様、dentsu Japan データ & テクノロジー プレジデントの松永久様より、広告業界におけるAIの活用と人間の役割に関してお話を伺いました。具体的には、「AI For Growth 2.0」における「People Model」や「Creative Thinking Model」等の活用事例やその意義と課題、AIの台頭による働き方の変化、「人間の知」が生かされるべき領域、電通様が目指す今後の方向性等について、ご解説をいただきました。 
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株式会社電通

 

27日お昼には、株式会社BookLiveコミュニティ事業本部の横田容啓様に、イラスト投稿プラットフォームXfolioに関するお話を伺いました。そもそものサイト設立のご事情から始まり、AI生成物を投稿すること及びAIが投稿物を学習することを規約で規制するに至った経緯、「AIによってカスタマイズされたコンテンツは確実に増えていく」という今後の展望と、そのような環境下における「AIを使用せずに人間によって創作される著作物を投稿する場」の意義について、ビジネスの観点を交えながら、ご説明頂きました。

株式会社BookLiveへの訪問

BookLive子会社が運営するWeb漫画サイトで連載中の漫画キャラクター パグ太郎


27日午後には、株式会社Sapeetを訪問し、代表の築山英治様とエンジニアの堀ノ内司様にAI関連サービスを開発・運用するにあたっての情報管理や責任の所在に関するお話を伺いました。情報管理において特に配慮すべき点は、秘匿情報をAIの学習に使用されないようにすることである、とのご意見をいただき、顧客の利用ミスを防ぐために、システム等に「ガードレール」を作ることも心掛けているとのことでした。AIの判断に関する責任の所在については、現状、自律的に意思決定するAIは存在しないことから、AIはあくまで補助的なものであり、最終判断は人間が担うこととなるとご説明いただきました。また、同社はAIがデータを元に身体の姿勢分析を行い、将来の予測を踏まえて適切なエクササイズを提案するサービスを強みとしており、その体験もさせていただきました。
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株式会社Sapeetへのヒアリング



28日午前には、高齢者の見守りサービスを提供する合同会社ネコリコを訪問し、代表の山中泰介様と営業企画部の高津賢一郎様より、製品の実演を交えたお話を伺いました。まず、コミュニケーションロボット「Bocco emo LTEモデル Powered by ネコリコ」については、マイナスの感情になることを言わない工夫や、会話のレベルを高度に設定しない理由等についてご説明いただきました。また、冷蔵庫の開閉を検知する「まもりこ」については、冷蔵庫の利用状況にあえて着目した経緯や意義等を学ぶことができました。
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合同会社ネコリコへのヒアリング

 

28日午後には、株式会社viviONの「あおぎり高校」運営スタッフ様に、VTuberの人格権の保護をはじめ、業界の抱える諸課題についてお話をいただきました。具体的には、「VTuberのプライバシー保護」、「AI生成コンテンツやなりすまし等への対応」、「VTuberという存在をどのように捉えるべきかの解釈」等に関してご解説をいただいたり、意見交換を行ったりしました。 (ニュース)ps-251008-08

viviONが手掛けるVTuberグループ『あおぎり高校』

 

28日午後にはまた、一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻の得津晶教授(商法がご専門)に、デジタル資産の私法上の性質に関するお話をいただきました。具体的には、特定物(中古車)、種類物(プラモデル)、証券類、預金口座、金銭という従来からある財物と比較して、仮想通貨、セキュリティ・トークン(デジタル証券)、非代替性トークン(NFT)がどのように保護されるべきか、善意取得や倒産隔離等の場面について、代替物性に着目する視点から、ご解説いただきました。
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得津教授による講義

 

今回の集中セミナーを通じて、AIをはじめとした先端的なデジタル技術が現代社会にもたらす発展と課題について、多くの知見を得ました。この度の調査等にご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。この経験をもとに、デジタル技術が抱える法政策上の課題を解決する手がかりを探りながら、今後の研究を進めていきます。 

懇親会の様子

懇親会の様子


(文責:2025年度角本ゼミ3・4回生一同)

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2025.09.17

小田ゼミが集中セミナーとして在日パキスタン大使館を訪問しました


「集中セミナー」は、ゼミのテーマに関連する研究を夏期休暇中などに集中的に行い、学びを深めることを目的とした科目です。

小田尚也教授のゼミでは、「発展途上国が抱える様々な問題を考える」をテーマに、経済、教育、インフラ、ジェンダー格差など、さまざまな視点から途上国について研究を行っています。

今回の集中セミナーでは、在日パキスタン大使館を訪問し、着任直後のAbdul Hameed大使と意見交換しました。日本とパキスタンの関係や開発援助、国家発展における人材育成の重要性について議論し、学びに直結する有意義な機会となりました。

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Abdul Hameed大使と小田教授


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意見交換の様子


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ご多忙の中ご対応いただいた大使ならびに館員の皆様に深く感謝申し上げます。

在日パキスタン大使館Facebook

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2025.09.09

研究実践フォーラム「南信州プロジェクト」が実施されました

2025年8月16日から8月21日にかけて、本学政策科学部の学生が長野県飯田市で現地フィールドワークを行いました。
この活動は、政策科学部開講授業「研究実践フォーラム」の特定プロジェクトの一つ「南信州プロジェクト」として実施されたものです。以下に、(1)政策科学部「研究実践フォーラム」授業および「南信州プロジェクト」の概要、(2)今回の活動報告を紹介します。

(1)「研究実践フォーラム」授業の「南信州プロジェクト」について
 「研究実践フォーラム」は2回生の小集団演習科目のグループワークを行う科目として開講され、1回生の小集団演習科目で得た問題意識を基礎として、すべての学生がいずれかのプロジェクトに所属し、共通のテーマをもつ研究グループを編成し、春学期と秋学期の1年間かけてグループワークで研究し、その成果の研究発表を行い、報告書を作成します。

「研究実践フォーラムⅠ・Ⅱ(それぞれ春学期、秋学期開講)」には、研究のフィールドを学生自身が開拓する自主的な「自主プロジェクト」と、学部側からいくつかの研究のフィールドが提供される「特定プロジェクト」があります。

「南信州プロジェクト」は特定プロジェクトの一環として開講され、飯田市を中心とした南信州をフィールドとして研究することを希望して申し込んだ学生たちが集まり、プロジェクトを組んでいます。現地フィールドワークの実施により、①現地調査を遂行することで問題を的確に発見し分析する能力を身に付けること、②現地の大学生、受入機関職員などとともに、共通の課題を抽出し、調査を通して、的確な分析を行い、また比較の視点を意識するようになる、という力が身につくことが、参加の利点です。学生にとっては、地域の人と関わりながら6日間の現地調査を進める貴重な機会となりました。
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フィールドとなった南信州・飯田市の天竜峡



(2) 南信州プロジェクトの活動実施報告
 8月16日~19日午前には、飯田市が主催する「学輪IIDA共通カリキュラム・ソーシャルキャピタル・フィールドスタディ」に参加しました。このプログラムでは、ソーシャルキャピタル(社会的関係資本)の理論を講義で学び、市民活動の実践者の報告や現地事例ごとのフィールドワークを通して、地域社会のつながりや活動の要因を考えました。
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飯田市街地のまち歩き(ソーシャルキャピタル・フィールドスタディ)



2025年度の対象事例は、例えば、りんごシードル文化の普及をめざす、「NPO法人国際りんご・シードル振興会」や、閉校となった校舎を保存・活用する「杵原学校応援団」など4つありました。学生たちは他大学の学生や地元高校生と5~6人のグループを組み、地域リーダーへのヒアリングや報告会での成果発表に取り組みました。
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事例調査:子育てサロン・NPO法人おしゃべりサラダ(ソーシャルキャピタル・フィールドスタディ)


また、農家民泊や「日本一の焼肉のまち」飯田市での食文化体験もあり、地域の暮らしや文化にも触れることができました。学生たちは、この歴史ある学輪のプログラムを通じて、南信州・飯田の学びの文化に出会い、現地での交流を通じて多くの学びを得ました。



学輪IIDAのプログラム終了後、8月19日午後から21日にかけて、南信州プロジェクト独自の現地調査を行いました。今年度の学生たちは「飯田市の移住政策」に関心を持ち、「お試し移住を踏まえた移住支援制度のあり方」を研究の問いとしました。飯田市は『田舎暮らしの本』(宝島社)「2025年度版 住みたい田舎ベストランキング」で、人口5~10万人規模のまちにおける若者・単身世代部門の第1位に選ばれた自治体です。そうした飯田市において、市役所担当者との意見交換や、移住体験制度「遠山郷ショート留学」利用者、移住コンシェルジュの方々へのヒアリングを行いました。

飯田市役所での移住政策のヒアリング

旧飯田測候所での移住コンシェルジュとの対話



また、空き家を改修して移住・交流の拠点づくりを進める天竜峡の施設「HIGASA」、遠山郷で活動する地域おこし協力隊、移住者が開業したゲストハウス「太陽堂」なども訪問し、現場での生の声を伺いました。3日間を通じて、政策制度の枠組みだけでなく、移住者や地域住民のリアルな体験から学びを深めることができました。

空き家を改修した天竜峡の「HIGASA」での説明

遠山郷で地域おこし協力隊へのヒアリング





 以下は、参加した学生からの感想です。
  • 他大学の学生や地元高校生と行ったフィールドスタディは、普段の授業では味わえない刺激的な学びの連続だった。インタビューや体験を通して人の温かさやつながりを実感し、飯田の皆さんに「また会いたい」と思えた、学びだけでなく人との関わり方の大切さを感じることができた6日間だった。(濱谷さん)
  • フィールドスタディでは、その土地に住む現地の高校生の視点や他大学の学生の様々な考えを交えながら、飯田市の活動について深く学べたため、とても貴重な経験となった。近年、各地で地域の人々の交流は薄くなっているが、飯田の人々は人との繋がりを大切にしているからこそ、たくさんの活動が行われているのだと現地で学ぶことができた。(畑さん)
  • この夏、南信州プロジェクトに参加できたことは、私にとって有意義で多くの学びを得ることのできるものでした。飯田市の文化を守る強い思い、人とのつながりから生まれる移住のサイクル、ソーシャルキャピタルを発端とした市民活動など、これらはただのキーワードにしかすぎませんが、文献などを読んでいるだけでは得られないことを現地で肌に感じながら学ぶことができました。また、他大学の学生や現地の高校生とのグループワークが基本となるので、普段の大学生活では得られない刺激をもらうこともできました。このように、南信州プロジェクトは、普段の座学とは一味違ったことを学べる良い機会であったと私は、思います。(壽さん)
  • 飯田市での調査を通じて学んだことは、「人とのつながり」の重要性である。飯田市では、困っている人がいれば、その分野に詳しい人が知人の紹介で支援する事例が見られた。こうした「人とのつながり」が市全体の活気を生み出しているのだと考える。(早瀬さん) 
  • 学輪フィールドスタディ、飯田市での独自調査どちらにおいても有意義な時間を過ごせました。文献を読むだけでは得られない知識がつくだけでなく、グループでひとつの目標に取り組む難しさや楽しさといった今後の社会生活に活かせるような経験ができる機会だと思います。(田中さん)


今回の調査にご協力いただいた多くの方々に心から感謝申し上げます。秋学期の授業では、これらの調査結果を踏まえて研究成果を発表し、報告書をまとめていく予定です。

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旧木沢小学校(遠山郷)


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2025.07.17

上久保誠人教授が大和日英基金主催ウェビナーに出演

上久保誠人教授が、参院選後の日本政治の展望について、国際ウェビナーで講演を行います。主催は英国・ロンドンを拠点とする大和日英基金で、本講演は全世界へ向けたオンライン配信となります。視聴には事前登録が必要です。

  • テーマ:「参院選後の、日本の大衆迎合主義と新しい政治的分断」
     (Populism and New Political Divisions in Japan after the Election)

  • 日時:2025年7月30日(水) 20:00(日本時間)/12:00(英国時間)

  • 主催:大和日英基金(The Daiwa Anglo-Japanese Foundation)

  • 使用言語:英語

  • 開催形式:オンライン(要事前登録)


(2025/10/15更新)
講演の様子


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2025.03.07

世界自然遺産 知床の自然情報誌「SEEDS」に政策科学部の実習が紹介されました


世界自然遺産 知床の自然情報雑誌(シーズ:知床財団が発行)に、政策科学部の実習が紹介されました。
掲載されたのは、学部3回生が毎年夏に、北海道の知床で、野生動物保全、エコツーリズム、地域の教育問題について学ぶ集中セミナーです。

知床ではこれまで、野生生物について学ぶ、いわゆる理系の実習は行われてきましたが、政策科学部の取り組みは、野生動物に関して学ぶだけでなく、地域の小中学生や保護者との交流や、観光業を営む企業とのワークショップを通して、学生が地域の課題を地元の関係者とともに学び解決策を考えるもので、これまでになかった学際的な実習として注目を集めています。

詳細はこちらからご確認いただけます。1,2ページ目に政策科学部生の活動内容が、3ページ目には実習の担当教員である本学部の桜井良先生のインタビュー記事が掲載されています。
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2024.10.25

研究実践フォーラム「カナダ・プロジェクト」が実施されました Part2


2024年8月21日から9月1日にかけて政策科学部開講科目「研究実践フォーラム」(カナダ・プロジェクト)として、現地でフィールドワークを実施しました。

トロント

〈トロント本願寺〉
〇トロント本願寺とは
 トロント本願寺はその名の通り、オンタリオ州トロント市に存在する浄土真宗本願寺派の寺院です。1947年ヒューロン通りに最初の祈りの場所を構え、それ以降トロントに住む仏教徒と共にその歴史を歩んできました。
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現在のトロント本願寺

〇施設の様子
 施設は1階~3階の構造で本堂は2階にあります。
 3階は本堂を上から眺められるすりガラス、小さな図書スペースなどがありました。お香のにおいなどが苦手な礼拝者用に、部屋を隔てても法要に参加できるようすりガラス仕様になっているとのことでした。また図書スペースは非会員でも利用可能であり、仏教をはじめとした日本文化を多くの人々に知ってもらう機会になるのではないかと思いました。

〇日系移民とカナダにおける本願寺
 トロント本願寺ではカナダにおける日系移民の歴史を、駐在僧侶である橋本 顕正様より教えていただきました。トロント本願寺に限らず、カナダにおける本願寺派の寺院は当時の日系移民にとってのアイデンティティであり、心の拠り所でありました。
 カナダにおける本願寺派寺院の始まりは、1905(明治38年)にバンクーバーにて仏教会が設立されたところまで遡ります。設立にあたる土地の購入や建設費は、全て日系移民からの寄付により賄われました。このことからも、当時の日系移民にとって仏教がどれだけ重要な位置を占めていたかは想像に余りあるでしょう。その系譜として、私たちの訪れたトロント本願寺も、今日まで受け継がれてきたのです。
 
〇日系移民との関係の薄れ
 橋本様によると、カナダにおける本願寺派寺院の運営者の確保は急務であるといいます。というのも、仏教知識と英語能力を十分に備え持つ人材が少ないということです。トロント本願寺においても、毎月の法要は殆ど英語で行われ、法要に参加する人々の多くは非日本語話者であるそうです。日本語の法要が行われるのは月1回程だそうです。トロント本願寺では毎週の法要と定期的なイベント(舞踊や一心太鼓などの、日本の伝統を取り入れたもの)により、日本の文化は受け継がれていますが、日系移民との関係は徐々に薄れているのが現状ではないでしょうか。

〇最後に
 本コーナーではトロント本願寺にて学んだことをまとめました。
トロント本願寺の雰囲気はどこかあたたかく、落ち着くものでありました。入ってすぐのところには日本人形や掛け軸、親鸞聖人の像などがあり、日本を存分に感じられる場所でありました。また日系移民とカナダにおける仏教会の関係の歴史を深く知ることができ、非常に勉強になりました。いつかまた訪れてみたいと思いました。

ガイダンスの様子(3階スペースにて)

ガイダンスの様子(本堂にて)



<High Park>
〇High Parkとは
 High Parkはカナダのオンタリオ州トロントに位置する公立公園です。敷地面積は161ヘクタール(東京ドーム約34個分)で、公立公園としてはトロント最大です。VIA Rail鉄道が通るユニオン駅の地下鉄から最寄りの地下鉄ハイパーク駅まで約30分でアクセスが可能で、最寄りの地下鉄ハイパーク駅からはすぐにアクセスすることができます。

〇High Parkの様子
 敷地内には子ども用の遊具、プール、テニスコートなどのスポーツ施設、ドッグランや動物園など様々な施設が併設されていたこれらの施設は全て無料で利用できます。キッチンカーなどの出店もあり、一日を通して楽しむことができます。施設以外にも、敷地内には豊かな生態系が形成されており、それもHigh Parkの魅力の一つです。

High Parkのようす

High Park内のリス


〇High Parkにおける環境への取り組み
 先述の通り、High Parkは豊かな生態系が大きな魅力のひとつです。数にして309種類の植物と70種以上の動物を有しており、Environmental Significant Area(ESA)に指定されています。敷地内にはこの豊かな生態系を維持するため、利用者に協力を呼び掛ける看板がありました。
 また敷地内には自然再生エリアがあり、High Park内の山峡は樹木や低木の植え付けを通した再生に推奨されています。

利用者に協力を呼び掛ける看板

High Park内の山峡

執筆者:中山



<Downtown Yonge>

〇Downtown Yongeとは
トロントのダウンタウンヤング周辺は、大型ショッピングモールやエスニック料理店などが集まる場所です。実際に訪れると、多くの人が集まるイベントも開催されており中心地として賑やかな雰囲気でした。ショッピングモールは天井が高く広々とした空間で、日本にもある店から甘いお菓子や北米系ファッションの店など数多くの店が並んでいました。夜21時頃であったからか、営業時間中にもかかわらずどこの店でも片付けを進めていて営業中かわからない様子であり、日本との違いを感じました。

〇エスニック料理
また、ここではグルメもローカルフードからエスニックまで、様々なものが溢れています。私が訪れたタイ料理店では、アジア系からアメリカ系の人たちまで様々な国のお客さんが混在していました。一方で、店員さんはタイ料理店ということもあり東南アジア系の方が多かったです。メニューは、香辛料やハーブが強めのTheタイ料理で日本人にとって珍しいものが多くあり興味深かったです。

Downtown Yongeの様子

Downtown Yongeで食べたタイ料理


<CN Tower>

CNタワーはカナダ(トロント)のシンボルとも言える都市と国の歴史的、文化的象徴です。電波塔ですが、展望台やレストラン、アクティビティもあり観光地として有名です。また、CNタワー周辺は、シンボルのCNタワーを中心にリプレイ水族館やロジャースマーケット等があり、子供から大人まで多くの観光客がいました。


<Central Market>

CNタワーから少し離れたところにはセントローレンスマーケットというたくさんのお店が並ぶ屋内マーケットもありました。食材やお土産はもちろん、サンドイッチやエスニック料理でランチを食べることもできるため、様々な楽しみ方ができます。トロントに行った際には是非訪れてほしいスポットです。多くのスポットがあり、街中も華やかな都市部と言えるトロントは、最終滞在場所にぴったりだったと感じられました。

CNタワー

セントローレンスマーケットの様子



<トロントで印象に残ったこと>

私はトロントで印象に残ったこと2つについて書いていきます。

まず、トロントに滞在して2日目の朝の城戸先生による観光ツアーです。この日はお昼までは自由時間であったため、希望者のみこのツアーに参加しました。この日の参加者は私と友人1人で、城戸先生の出身校であるトロント大学と、コリアンタウンを訪れました。トロント大学には塀がなく、街に溶け込んでおり、これは立命館大学との共通点とも言えるでしょう。また、コリアンタウンに入ると、雰囲気がガラリと変わったことも印象的でした。コリアタウンではお昼ご飯にビビンバをいただきました。補足ですが、カナダでは食べきれなかった食材を持ち帰ることができます。これは環境保全の観点からも非常に画期的であると考えました。

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コリアンタウンで筆者が食べたビビンバ

   


 次に、トロント大学のRodney Haddow名誉教授とのミーティングです。教授とのミーティングでは、約1週間カナダに滞在して感じたことや疑問点などについて、みんな積極的に質問を行っていました。その後、トロント大学の中を城戸先生の引率により見学しました。トロント大学の内部は非常に自然が豊かで、野生のリスを何匹も見つけることができました。また、学校は重厚感があり、トロント大学の歴史の長さを改めて感じました。 
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トロント大学内の様子

トロント大学内にいたリス

Rodney Haddow名誉教授とのミーティングの様子          

執筆者:松田


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2024.10.25

研究実践フォーラム「カナダ・プロジェクト」が実施されました Part1


 2024年8月21日から9月1日にかけて政策科学部開講科目「研究実践フォーラム」(カナダ・プロジェクト)として、現地でフィールドワークを実施しました。

モントリオール

 8月22日早朝、受講生10名はモントリオールに到着し、ノートルダム聖堂やモントリオール中央駅、映画館、モントリオール市役所などの公共施設を回り、公共機関で使用される言語の調査を行いました。また、公用語である仏語・英語のみならず、リトルイタリーやチャイナタウンと呼ばれる現地で広がる他国のコミュニティにも調査対象を広げ、現地での人々の生活や言語政策の観点からカナダの多文化主義についての理解を深めました。

モントリオール・ノートルダム聖堂

リトルイタリー ジャン・タロン市場

 翌日、国際航空運送の安全・保安等に関する条約・国際標準・勧告方式やガイドラインを作成し、航空安全の向上を目指す“ICAO”(国際民間航空機関)のモントリオール本部を訪れ、実際にICAOで業務を行う日本の方々に話を伺いました。様々な技術の近代化が進む中で、パイロットの基準や気候・航空図など全国共通の枠組みを定めるICAOの業務や歴史・役割に加え、日本人目線のカナダでの暮らしについて、実際に国際機関で活躍されている方々の話を伺えるのは大変新鮮で興味深く、私たちの進路に関してもとても参考になりました。また、実際に会議に使用される部屋にも案内していただき、緊張感漂う空気感を肌で味わうことができたのはとても刺激的な体験でした。モントリオールでの学び、新たな発見は私達の視野を広げ、多文化主義や国際機関の仕事への深い学びに繋がりました。

ICAOモントリオール本部

会議室

執筆者:小川、宗戸



オタワ

 モントリオールからバスに乗りオタワへと移動しました。オタワでは3泊し、様々な体験をしてきました。最初に紹介したいのは、カナダの大学であるカールトン大学の生徒との交流です。
 8月25日(日)に訪れたカールトン大学では、カナダで売られているお菓子やサンドイッチ、フルーツなどを用意し下さっていました。私たちは好きなものをとりながら、各自でお話をしていました。カールトン大学の生徒は日本に興味を持っている方達であるため、日本について質問をもらったり、また逆に私たちがカナダについて質問をしたり様々間な会話を行いました。交流の中間では、私たちが用意してきたパワーポイントを使って、プレゼンテーションも行いました。プレゼンテーションでは、私たちの学校について、そして何について調べているのかということを中心に用意しました。プレゼンテーションの中では、カナダの言語プログラムについて、体験されてきたカールトン大学の生徒に質問もさせてもらいました。

 26日(月)には国立歴史博物館に訪れました。国立歴史博物館では名前の通り、カナダの歴史が現代に至るまで展示されており、時代をおって歴史を体験することができました。私たちはカナダにおける言語に関する事柄を中心に調査したいと考えていました。そのため、事前にカナダに関する論文などを読み込み様々な知識、考察を頭に入れてきました。そのおかげもあり、必然的にカナダの成り立ちについても知ることが出来ていました。自分たちの英語力だけでは理解できなかったことも、事前知識があったことで理解を促してくれ、楽しさにもつながりました。

 オタワの滞在では一般のホテルではなく、モーテルと呼称される日本にはない宿泊施設に滞在しました。モーテルはホテルよりもリーズナブルに泊まる事ができ、駐車場に部屋が隣接しているので海外では多くの長距離ドライバーが利用しているそうです。

 オタワ滞在の最終日、私たちは在カナダ日本国大使館を訪れました。大使館では公使と広報の方と私たちがカナダに訪れて数日生活をして気づいたことやカナダと日本の違い、課題点、日加関係について話し合いました。また、資料を用意してくださりカナダの都市ごとの大まかな違い、経済状況、産業の違いについて説明してくださりました。医療体制の仕組みや公共の道の整備さが日本とかなり異なる話題が出てきて初めての発見で驚きました。実際にカナダで何年も生活して国の重要機関で働いている方のリアルな意見と貴重なお話を聞けて非常に有意義な時間になりました。
執筆者:稲岡、川原




ナイアガラ

〈ナイアガラの滝〉
カナダ・プロジェクトではナイアガラの滝も観光しました。
世界三大瀑布の一つであるナイアガラの滝はカナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州の間に位置します。一番印象に残ったのはなんといってもナイアガラシティクルーズです。世界からナイアガラの滝を間近で見るために集まった観光客とともにクルーズ船に乗り込みました。滝の近くは嵐のような風と水量で息をするのも大変なほどでした。自然の壮大さと力強さを肌で感じた経験となりました。
夜にはナイアガラの滝のライトアップを背景に花火もあがりました。


〈ナイアガラ地域〉
ナイアガラ地域は前述の通り、国境が目の前にあるため、オールドアメリカンな建物が非常に多く、アメリカンな雰囲気を味わえることができました。ご飯についても同様で、昼食・夕食ともにステーキ・ハンバーガーを食べて、大満足でした。また、滞在するホテルにはコカコーラ専門店が併設されており、コカコーラを使ったアイスクリーム、シェイク、パフェがメニューにあり、コカコーラ好きにはたまらない店でした。滞在は1泊2日したが、楽しい2日間となりました。

執筆者:小田原、加藤、吉岡

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2024.10.11

北海道の知床で環境、教育、観光をテーマに実習をしました

政策科学部の集中セミナー(桜井良ゼミ3回生)が、北海道の知床世界自然遺産地域で2024年9月9日から13日まで行われました。政策科学部の卒業生である知床財団の職員のガイドのもと、学生はヒグマが生息する森を歩き、野生動物と共存することの難しさや可能性を学びました。また世界自然遺産地域に隣接する斜里町立知床ウトロ学校で交流会を開き、ゼミ生が地元の小中学生や保護者に対して、勉強することの意味や大学生活について発表し、話し合いました。学生は、子どもたちの目線に立ってコミュニケーションをとることの大切さを学んだようです。

最終日には知床でホテル業を営む北こぶしリゾートと連携しワークショップを開催し、自然共生社会の実現に向けて、観光業にどのような役割が求められているのか、ゼミ生、北こぶしリゾート職員、そして地元の大学生(北見工業大学、東京農業大学[北海道オホーツクキャンパス])が議論しました。

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2024.06.17

https://www.ritsumei.ac.jp/ps/news/article.html/?id=161【授業紹介Vol.1】「アドベンチャーワールドから学ぶD&I経営の本質」~山本社長による講義が行われました

立命館大学政策科学部では、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドを運営する株式会社アワーズの皆様にご協力頂き、「アドベンチャーワールドから学ぶD&I経営の本質」というテーマで2024年春学期より講義を頂いています。

講義は、第一部は「株式会社アワーズの経営理念」、第二部は「アドベンチャーワールド、動物をパートナーとした事業」、そして第三部では「社会課題解決 すべての⽣き物にSmileを!未来創造への取り組み」で構成されています。

65日に終了しました第一部、山本雅史社長のご講演シリーズでは、アワーズの企業使命、企業理念、ビジョンから理念経営の実例を学ぶことで、企業経営にどのようにダイバーシティ&インクルージョン(D&I経営)が導入され、活かされているのかという点を学びました。

株式会社アワーズでは、「だれもがキラボシ」すなわち、「それぞれがそれぞれの場所で、私らしく輝こう。誰かがスターではなく、誰もがスター。 誰かが輝くのではなく、誰もが輝く。」を理念として、D&I経営をわかりやすい言葉と行動で社内に浸透させています。経営理念や使命を社内に浸透させるには、それを掲げるだけでなく、経営者が自ら積極的に自信を持って繰り返し繰り返し語り、実践し、模範を示していく必要があることを第一部のご講演から学びました。

今後、第二部では「動物園は世の中に必要なのか?」というテーマでのディベートを、第三部ではアドベンチャーワールド白浜事業所の皆様とオンラインを利用したグループワークを実施する予定です。いずれも大阪いばらきキャンパスの最新の教室設備(ラーニングシアター及びラーニング・インフィニティホール)の機能をフル活用し、受講生の学習効果を深めます。 

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株式会社アワーズとの連携協定について
文責:服部利幸

写真提供:株式会社アワーズ

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