Voices for future leaders修了生紹介

10期生

白井 圭一

白井 圭一Shirai Keiichi

サッポロビール株式会社
経営企画部 プロジェクト推進グループ 
グループリーダー

  • サッポロビール株式会社
    マーケティング本部 酒類戦略部 
    グループリーダー
  • サッポロビール株式会社
    経営企画部 プロジェクト推進グループ 
    グループリーダー

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

“対話”の先に何があるか。
それは、友情。
それは、同期や講師の先生方、事務局の方々への畏敬の念。
それは、定義し直す過去、浮かんでくる未来。
そして、命の輝き、道端に咲く一輪の花、そよ風、そこに眠る魂に思いを馳せ、偶然のハピネスに出会う旅。
私たちは旅をして、だんだんその仮の答えや姿を洗練させていく。そして、また問う。
Viator。精神の自由を持つ。頭と心の中はいつも疾走し、無限の空想を彷徨い、出会う。
水のように自由に流れ、対話の前に立ちはだかる高く固い障壁を打ち砕く。

私は、私たちは西園寺塾を通して、様々な“対話”をしてきました。
人間の弱さから目を背けることなく真っすぐに焦点を当て、他者、過去、そして自身そのものと真剣に向き合い、誠意をもって通じ合うこと。その先にぼんやり見える“何か”を必ず掴みとりたい。そのために、講師の先生や事務局の方々、同期の仲間たち、悠久の歴史や文化、自然に心を寄せ、相互に謙虚に手を繋ぎ、共に歩んできました。
生涯続けたい“対話”の旅路。きっとその道中で、そしてその旅先で“真善美”という究極の理想に出会えると思うのです。立命館西園寺塾を通じてその旅のスタート地点に立ったこと、旅を続ける覚悟を持つという自身の変化を得られました。ご縁と機会をいただいたご関係者に深く感謝申し上げます。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. “人生のメンター”中島隆博先生との出会い
    「仏教では他者との対話が悟りに繋がる。何度もノックし、何度も対話し、とうとう出会う(悟り)。その対話の方向が他者に向くこと。一人では方向を見失う。人生のメンターのような人を見定めることが大事」。
    対話の本質は何か。そして、対話の先に、対話の前に何が見るのか。この難しい問いに立ち向かい、もがき苦しんでいた私に対し、中島先生はこうアドバイスをくださいました。中島先生には、講義中や懇親会、レポートへのコメントなど多くの局面で、沢山のガイドや知恵をいただきました。まさしく私にとっての“人生のメンター”との出会い、感謝しております。
  2. “百聞は一見に如かず”
    例えば福島フィールドワーク。2011年3月11日。そこで時が止まったかのような福島第一原発で廃炉作業に挑む人の背中。震災遺構の請戸小学校の黒板に残された「また、私たちの請戸に戻ってこよう。大切な思い出の詰まったこの場所に。今を大切に前に進もう」のメッセージが語るもの。
    京都フィールドワークにおいても、建仁寺で座禅の最中に流れる空気と時間の質感や、裏千家今日庵の茶道を通して研ぎ澄まされる侘び・寂びや機微、美意識の感覚。
    それらは本に書かれていません。自らの五感で受け止めるものです。まさしく、“百聞は一見に如かず”の体験が感受性や知性の扉を開けてくれました。
  3. 講師の方々の“命の輝き”
    遥か遠きタンザニアで見ず知らずのコミュニティに入り参与観察をされた小川さやか先生。
    湖底に眠る年縞掘削を自ら行い、過去の気候変動を探られた中川毅先生。
    開発に携わられたマルチバンド分光カメラが月面にたどり着いた佐伯和人先生。
    目指すべき共助社会構築のために、自ら課題解決の活動を推進する堂目卓生先生。
    その道のエキスパートである25名以上の講師の先生から授かった“輝き”の数々は枚挙にいとまがありません。知的好奇心、探求心、課題解決の志、情愛、共感、慈悲、美しさなど“命を輝かせる”情熱的なプロフェッショナルから、他に比類ない価値をいただきました。

今後の夢や目標を教えてください。

中島隆博先生の講義を通じて出会った美しい言葉―ハビトゥス―。
私は、人生をかけて「ハビトゥス」である状態になることを目指します。
ハビトゥスとは、長い期間にわたる訓練や行動の継続によって、自然本性に近い状態になり、苦労しなくても現実に行動に表すことができ、人格に染み込んだものを指します。
それは一朝一夕で身につくものではなく、教科書を読めば手に入るものでもありません。
教養の鍛錬、他者への内在的な参与観察や対話を通して、新しい出会い、偶有性を積極的に包摂し、感受性や人格を鍛え、徳を積みたいと思います。
そうすることで、ハビトゥス―無意識に、利他や慈悲、中庸や自由の精神、INTEGRATY(良心・誠実さ)が自身に備わっている―の状態となり、社会に資する人間になりたいと考えています。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

限られた一度切りの人生の中で、西園寺塾というご縁を持たれることはこの上ない幸運であり、同時に天命であられると思います。学びの裾野は無限です。いかにご自身の頭で、心で、身体で、そして、大切な仲間と共に「まだ見ぬ世界」を見ようと悩み、切磋琢磨し、切り拓かれることができるか。その点を醍醐味に思っていただきたいと思います。
西園寺塾では、いくつもの難しい<問い>に対峙します。いくつもの主義主張、思想に出会います。
大切なのは、悩んだ時に思考停止せず、「誰かの問い」や「誰かの考え」を引き継ぎ、その「最終章」はご自身が著者として書かれることかと思います。私はそれに気づかせていただきました。
西園寺塾での「人生で二度とないかもしれない出会いと学習」をお楽しみください。いってらっしゃいませ。

西園寺塾を修了して10か月たった今、感じていること、考えていること

今感じていることは「学問は継続である」です。「学」び続ける。だから発見し、出会い、対話し、知性を身につける。「問」い続ける。だから迷い、悩み、対話し、感性を身につける。
西園寺塾は、私の人生においての変化点となりました。ここを起点として学問を継続すること、インプットのみならずアウトプットの質と量にこだわること。その弛まぬ研鑽が人生を豊かにするだけでなく、人や社会、未来に役立つ人格や品位、力量を形作るのではないでしょうか。
なによりそれは、楽しいことです。幸せなことです。
だから私は学問し続けます。そして、そのきっかけをいただいた立命館西園寺塾ご関係者、同期の仲間に感謝いたします。