Voices for future leaders修了生紹介
10期生

杉田 憲治Sugita Kenji
日清食品株式会社 ビヨンドフード事業部 グローバル戦略企画室 室長
- 日清食品株式会社 新規事業推進室 次長
- 日清食品株式会社 ビヨンドフード事業部 グローバル戦略企画室 室長
立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について
立命館西園寺塾での学びを通じて、私自身に大きな変化が訪れました。それは、過去-現在-未来の長いスコープで“今”を捉えるようになったことと、わからないことでも一旦ありのままを受け入れる許容度が身についたことです。受講前の私は、単純化された情報を効率的に処理し、理解できないことを不要なものとして切り捨てていました。しかし、西園寺塾では、参加者各自が普段背負っているものを一度捨て、答えが一つではないアジェンダをゼロベースで議論する環境が整っています。
この環境では、考え方も育ちも異なる中で“わからない”が頻出します。その“わからない”を参加者一同で考え続けることが特徴です。この“考え続けること”を通じて、自分という“個”が周囲を含めた“塊”に変化し、その塊の過去-現在-将来を考えることで、思考の幅が広がっていきます。この過程を経験し、気付いたことこそが立命館西園寺塾を通じて得た私の大きな変化であり成長です。
特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。
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京都フィールドワーク:平安神宮神苑での出来事
偶然にも私が1歳の時に初めて“自立”した平安神宮神苑を、京都フィールドワークで40年ぶりに再訪しました。自らの人生という時間軸で自分と周囲を見つめ直すきっかけとなり、今の自分/場所から一歩離れるだけでモノの見え方が変わることを実感した体験でした。初めて自分の足で自立
西園寺塾京都FWにて
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思考の枠を劇的に広げる講義の数々:堂目卓生先生、佐伯和人先生、中川毅先生
全ての講義が印象深く、選ぶのは難しいですが、堂目先生から佐伯先生、中川先生の講義の流れの中で、人生より更に長い過去・現在・将来の時間軸での話から、思考の出発点やそのスコープの置き方が無意識に自身の経験範囲に収まっていたことに気付き、それが多様な世界の理解や中庸から最も遠い立ち位置であることを学びました。 -
自分の中の他者:中島隆博先生
第一回講義での“自分の中の他者”という概念に戸惑い、消化不良のまま、第二回、三回と講義が進んでいきました。しかし、わからないことをまず受け入れることがスタートではないかと思うようになりました。また“対称性”という言葉と出会い、“自分の中にもある他者への意識を受け入れる”という理解に至りました。「わからない」を考え続ける習慣を自然と経験できたことが印象に残っています。
今後の夢や目標を教えてください。
“自立”と“自律”の共生が私自身の目標です。自ら考え、決め、道を作り、走り切る。依存することなく自立することを自身の強みとしてきましたが、西園寺塾で少し変わりました。“個”の成長を“塊”につなげる。そしてその“塊”が社会を変えていきます。中島先生の最終講義で「小さな水滴が集まり川となり、大きな流れとなって巨石を動かしていく」というお話がありました。強みである“個”としての“自立”と他者との“塊”の中の自分を理解した“自律”を共生させ、生業としている“食”を通じて世の中をより良くする大きな流れの創造へ向かって一歩一歩進んでいきます。
未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。
西園寺塾は未知との出会いです。私はここで自分や他者との対話を繰り返す経験を通じて、自身の内外に“知らない自分”や“知らない世界”を発見しました。未知は遠い世界にあるものではありません。身の回りにたくさん存在します。しかし我々は一人ではそこに気付くことが出来ません。
西園寺塾は本気の講師陣、何かを変えたいと学ぶ強い意思を持った同期、そして飴と鞭の加減が絶妙な事務局が揃った最高密度の学びの場です。インプット&アウトプット、双方向ディスカッションが初回講義から最終講義まで続く環境で、生徒各々の“個”の枠組みが一つの“塊”へと変化する瞬間が訪れます。ここでしか出会えない、刺激的で知的な日々。一度しかない人生です。迷うことなく飛び込んでください。あなたの常識が、世界が変わります。
西園寺塾を修了して10か月たった今、感じていること、考えていること
西園寺塾を修了して10か月が経ちました。私にとって西園寺塾は「始まりの場」だったなと考えています。今の私は西園寺塾で学んだ“個”と“塊”の関係を行ったり来たりする思考を、仕事に限らず様々なところで活用しています。“他に依存しない”のではなく、自分もその人や物事と同じ“塊”として考えてみると、自分の視野の狭さに気付くことも多いです。
現在、私は日清食品で食の可能性を拡大する新規事業“ビヨンドフード事業”に携わっています。日々未知なるヒト・モノ・情報に出会う中で、その未知なる物事もまた自分の一部であるとまず置いてみることが「わからない、できない」という恐れを「一緒に何が出来そうか」とポジティブに変換する助けになっています。この姿勢こそが西園寺塾で再三出てくる“学び続ける”ということではないかと感じています。

やり方も、考え方も変えなければならない新規事業の中で、自分が学び続ける姿勢を打ち出すことで、周囲も協力してくれるようになり、大きな塊になろうとしています。立命館西園寺塾という場は“学びを修める場”ではなく、“一つの塊の始まり”です。ここで得た学び続ける姿勢と仲間を大切にしながら、私という“個”とまた新しい“塊”をつなげて社会をより良く変えていく挑戦に向かって進んでいきたいと思います。
2025年2月21日掲載
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