Voices for future leaders修了生紹介

11期生

上田 啓二Ueda Keiji

サッポロビール株式会社 
執行役員 近畿流通本部長

  • サッポロビール株式会社 
    広域流通本部 第4営業部 部長
  • サッポロビール株式会社 
    執行役員 近畿流通本部長

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

『一直線の→から、より大きな〇へ』

分からないことを心地よく思うことも大切。
これは、西園寺塾での旅の途中で幸運にも出会えた大切な言葉です。本塾での学びは、過去、現在、未来、そして資本主義や民主主義の在り方、世界から見た日本、日本から見た世界、さらに宇宙、地球環境など、無限大の思考の幅を行き来します。思い起こせば入塾前の私は、ノウハウ本を片手に一直線に答えを求め、目の前の問題からの脱却を急ぐ毎日でした。そう、思考の単純化、簡略化を求める日々です。その考えを根底から覆してくれたのは西園寺塾であり、この学び舎の同志でした。

世の中は不確実なもので溢れています。それら不確実なものを、脳だけではなく体全体で考え、大きく、そしてまるく広く思考を保ち続けること。それにより思いもよらなかった視点が1つの繋がりを持ち、自分に新しい価値観をもたらすことがあります。この大きく、まるく、広く、思考の幅を広げ続けることこそが、「知的体力」なのだと実感する日々です。

  • 考えを引きずっていることも大切。何年か先に終生のテーマになったりもする。そして、頭がいいよりも頭が強いことが大切!
  • 想定外の世界に生きる我々に大切なのは、物事を断定しすぎず柔軟に受け身を取れる知識の裾野を広げること。選択と集中は悪だ!

尊敬する先生方が教えてくれたこれらの大切な教えを胸に、不確実で分からないことだらけの世界を精一杯心地よく生きていきたい、と心から思えた1年でした。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 『金丸先生と私の交遊抄』

    指定文献を読み、自由に事前レポートを描く。そして講義後は学びを事後レポートとして提出する。これが西園寺塾の一つの定型スタイルです。しかし金丸先生からのお題は、条件①文字数は500字程度、条件②見出しは8文字以内で、日本経済新聞最終面「交遊抄」の自身版である「私の交遊抄」を作成するというもの。数ある西園寺塾のカリキュラムの中でも異彩を放つオリジナルのプログラムでした。起承転結、文章は短く、そして具体性が人を惹きつける、削ぎ落とした先に魂が宿る。言葉を広げていくことはできても、逆に削ぎ落とすことは案外難しいものです。あれもこれも言いたいし、この一節を削除するとバランスが崩れてしまう。そんなレポートに悪戦苦闘でした。

    数週のあいだ試行錯誤し、家族の前で読み上げて全体像が伝わることを確認してようやく提出。思えば、ここから言葉や文字の持つ魅力を意識しはじめたのかもしれません。「私の交遊抄」、私にとって大切な500文字になりました。

  2. 『堂目先生と2100年の未来』

    まさに前半講義の学びの総括とも言える講義・ディスカッションの1日でした。日本は、人口減少・高齢化・少子化・地方衰退・所得格差・自然災害などの荒波にもまれる中で、気が付けば2等3等の船舶に成り下がっている。そうこうしているうちに、また船底では水漏れが拡大し、船体はジリジリと海中へと沈んでいくのに、なぜ船上でのんびりできるのか。見るところは船の上ではなく船の下。今こそ全員で船底に向かい、水漏れを防ぐ努力が必要なのだよと、示唆をいただけたことを鮮明に覚えています。

    また、理想の未来像を描く塾生同士とのディスカッションも印象的でした。私が死んだあとにも娘が2100年を迎えると思って過ごすべきであり、来るべき未来を悲観するよりも今から何かを行動しなければ将来は何も変えられない。もしかしたら皆が死んだ後に何かが変わるかもしれない。一人ひとりが手元で出来ることをまずは始めることが大切。そして同時にガバッ!と構造変革を提起する機会を狙う勇気も大切。2100年を見据え、名もなき我々一人ひとりが今まさに動き出す時である、と改めて感じることができた講義でした。

  3. 『美しい言葉との出会い』

    指定文献や講義に向き合う日々の中で、自然と私自身に生まれた感覚です。入塾当初の頃は指定文献の読了やレポート提出で精一杯でした。が、気が付けば文献や小説にある「言葉の魅力」を追い求めていました。これは西園寺塾での旅の途中で出会えた想像もしていなかった新しい感覚です。

    講師の方々からの指定文献には素晴らしい魅力が詰まっていました。さらにその先の世界に幅を広げた時、「三島由紀夫/金閣寺」の最後の一節に心震え、「伊与原新/月まで3キロ」に唸り、「万城目学/八月の御所グラウンド」の情緒に浸る。「有吉佐和子/青い壺」の心模様の描写に頷き、「江國香織/去年の雪」の儚くも愛おしい物語に思いを馳せる。「夏川草介/スピノザの診察室」に傍観と希望を見出し、「平野啓一郎/ある男」で分人と向き合う。それぞれの物語がもたらす「読後感」に浸りながら、次の「美しい言葉」との出会いを待ち遠しく思うような。果たして入塾前の私にそのような感覚があっただろうか。指定文献と精一杯向き合い、自然と指定文献のさらに外の世界へと思考の幅が広がっていく。これらは西園寺塾での学びの日々が私にもたらしてくれた、本当に新しい出会いでした。

今後の夢や目標を教えてください。

西園寺塾で出会えた教えは数知れず、私に大きな変化を与えてくれました。これらを集めて「名言集」として心の本棚に並べるのではなく、今を生きる日々に「動力」として組み込んでいくことが重要、と強く思います。
私事ですが、2025年3月、生まれ故郷である近畿の土地で新しい職務に就くこととなりました。お酒の持つ魅力・楽しさ・喜びを伝えていくことは変わりません。が、一直線の思考から大きく、まるく、広く、お酒の魅力を捉えなおし、新しい在り方・伝え方を模索しています。

我々西園寺塾11期生は、「つぼる会」と題した自主勉強会を修了後も継続して開催しています。学びの継続、言葉との出会いを大切に、同志と共に思考の旅を続けていきたいと願っています。これから先、不安定で不確実な世の中を自分の中にどう取り込んでいけるか、楽しみながら生きたいと思います。

指定文献で出会えた、この言葉を胸に。
-過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望を持つ。
大切なことは、何も疑問を持たない状態に陥らないことだ。

アインシュタイン
『チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る』P.409より
大河内直彦/岩波現代文庫

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

立命館西園寺塾。この世の中に確実に存在しているのですが、なぜか出会うことできない未知の世界を正面から体感できる魅力的な塾です。

ある意味、「結界の先」と呼べる世界への旅は本当にスリリングで、かつてない魅力に満ちたものです。恐れることなく、臆することなく、目一杯楽しんできてください。きっと皆さんにとってのアナザースカイになるはずです!いつかお会いできる日を楽しみにしています!