Voices for future leaders修了生紹介

11期生

星 明宏Hoshi Akihiro

株式会社三井住友銀行 
日比谷法人営業第二部 副部長

  • 株式会社三井住友銀行 
    日比谷法人営業第二部 次長
  • 株式会社三井住友銀行 
    日比谷法人営業第二部 副部長

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

西園寺塾では、哲学・思想、文化、科学技術、政治・社会システム、国際情勢等、広範な領域における旬のテーマについて、一流の講師陣から最先端の講義・体験を受けるという色鮮やかで豊かな機会に恵まれました。

また、カリキュラムでの学びに加えて、家庭でも職場でもない第三の場所での多様な出自を持つ優秀な塾生達と出会い、1年間の活動を共にしたことも貴重でした。通常の業務では得られない仲間との繋がりは今後のキャリアや人生において大きな財産となることを確信しています。

多くの学びや気付きを得た中でも、特に大きなものを3点あげます。

  1. 学ぶこと・考えるための足場

    知識や資格取得のための“勉強”も大切だが、本質的な成長は「考える力をつける」ということ。

    考え過ぎると全身ぐったりと疲れるように、考えることは運動と一緒で体力が必要であり、考える体力をつけるためにはランニングや筋トレと同様に反復トレーニング、つまり、考え続けることが必要となります。

    加えて、「物思いにふける」というように、考えるということは自分ではない物(≒他者)との関係性を考えるということ。他者とは、自分を取り巻く家族・友人、会社・仕事、社会・地域、国家・国際社会というように拡がっており、考え続けるためにはこれらを理解しようと関心を持ち続ける必要があります。

    西園寺塾での講義を通して、先人達が紡いできた歴史・文化や哲学・思想、現代の政治・社会システム(資本主義・民主主義)や国際社会の潮流の変遷(米中対立→多国間競争)を学び、多角的に事象をみて理解する視点を学びました。これらは今後自分が考え続けるための強固な足場になると感じています。

  2. 多様性の意義

    「多様性」「DEI」、米国を中心に揺り戻しが起きていますが、改めてその重要性を認識しています。単に人権擁護的な話ではなく、組織のサステナビリティ・レジリエンス強化にとって大切なことです。

    この学びは多くの講義で共通していましたが、特に文化人類学(タンザニア人の生存多様化戦略)や古気候学(気候の急激な変化に人類がどう適応していくか)から強い示唆を受けました。

    現代は特に変化が激しい時代であり、明日にどんなことが起きているか分からない、株価や為替相場の大暴落や気候変動、偶発的な紛争など、予測出来ない急激な変化が起きた時に従来通りのセオリーは通用せず、我々は不安定であることを前提として、生存可能性をなるべく多く持っておくために、戦術・戦略、収益・顧客基盤を多様化させる必要があります。そのために、組織や会社は多様性を包摂することが求められています。

  3. 多角的なモノの捉え方

    新しいことや従来難しいとされてきたことでも視点を変えれば価値が認められることがある。

    「真に革新を起こすには、10人中9人のNGよりも1人の強いフォロワーが大事」(クリティカル・ビジネス・パラダイム/山口周先生)、「障害を価値に変える」(バリアバリュー/垣内俊哉先生)からの学びは特に印象的でした。また、3回のフィールドワークでは、現場で体験することによって得られる情報量の圧倒的な豊富さを実感しました。特に福島視察では原発事故の凄惨さ、廃炉作業や復興に向けた現地事情など、報道では分からないリアルな現状を把握することが出来ました。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

25回の講義、3回のフィールドワーク、特別講義、懇親会等々、西園寺塾の豊かな1年間の全てが印象に残っていますが、あえて挙げるなら以下の3つです。

  1. 福島フィールドワーク(開沼博先生)

    「知る」ということはどういうことか?

    福島第一原発廃炉作業の現実とそこから生まれてくるロボティクスなど新たなビジネス・技術、処理水放出を巡る現場の工夫と苦悩、被災の悲惨さと復興にかける地元の想いと努力など、1泊2日と短い視察の中でも多くのポイントを巡り、断片的な報道だけでは伝わらないリアルを「知る」とはどういうことか、気付きを得ることが出来ました。

    開沼先生からの学んだよく「知る」ためのポイントは3つ。1点目は、「現場に行く」。インターネット、報道、書籍等に対して実際に現場に行って、見て、聴いて、感じたことで得られる情報量は圧倒的であり、その体験に裏打ちされた話やアイディア、施策には重みがあり説得力が増す。

    2点目は、「データ・数字」。定性的な説明やイメージではなく、科学的なデータや数字を把握し、裏打ちされた実態から語る・考えることが重要。例えば、福島第一原発から放出される処理水のトリチウム濃度と世界の海洋におけるそれの比較や震災・事故発生から放射線量の推移などを鑑みれば、福島の農産・水産物に対する虚実がみえてくる。

    3点目は、「因果関係」。原因があって結果があり課題がある。例えば、批判や軋轢をおして処理水を放出した経緯。原発からは物を外に運び出すことが出来ないから、処理水貯蔵用タンクが原発の敷地内で広大なスペースを占有し続けていた。一方で、今後の廃炉作業で排出される廃棄物の保管場所を確保するために、処理水を海洋放出することが不可欠であった。放出にあたって関係各所の理解を得て生態系や水産物への影響を最低限に抑えるために莫大なコストをかけて処理水を浄化する必要があった。

    こういった因果関係をよく理解することが課題解決に向けた説得力のある議論を展開することにつながります。

  2. 古気候学が照らす過去と未来(中川毅先生)

    「“本当に劇的な変化は予測出来ない” ~人類の繁栄は温暖かつ予測可能な安定した気候を前提とする。それは気候の不安定化として、突然に崩れる。この劇的な変化は予測出来ず何が有効か分からない。だから、人類は多様性を持っておく必要がある」

    水月湖底の年縞を1年毎に分析する繊細な研究を通じて、ダイナミックな地球の気候変動の歴史を解明しつつ、地球の行く末を考察する。数多の興味深い講義の中でも最も迫力と説得力のある講義でした。

    また、多様性の重要性について、前期で学んだ民主主義(宇野重規先生)や文化人類学(小川さやか先生)などの哲学/思想と、科学を追究する中川先生の示唆に繋がりがあったことから、学びの普遍性を感じることができたことも非常に興味深かったです。

  3. 「交遊抄」と「私の履歴書」(金丸泰輔先生)

    読み易く伝わり易い文章をどう書くか。

    500文字という短い交遊抄を作成する過程の中にも、読み手を引き付ける主題の設定、起承転結を意識した構成、冗長を避けた読み易いパラグラフ設定、読み手がイメージし易い具体性の挿入など、多くのポイントがありました。

    金丸先生の添削を経て作成した2度目の交遊抄は、講義前とは全く違う文章に変貌を遂げました。加えて、本講義の学びを経て、西園寺塾の事前事後レポートの作成も書き出しや構成、具体性などが意識されたものになり、自分にとってポジティブかつ目に見える形で変化が表れた講義でした。

今後の夢や目標を教えてください。

「私は何を学ぶべきか」 この問いを持ち続けることそのものが、自らの在り方についての願望であり覚悟であったのかもしれません。

中島隆博先生の二度目の対話を通じて切り出したこの問いを深めていく中で、西園寺塾での活動を通じて自分に起きているポジティブな変化を言語化しつつ、自分で自分がこの問いを持つことを肯定することが出来ました。

思想/社会システムを理解すること、多角的な視点で物事を考えること、現場で体験すること、未知を解明すること、国際社会を構造的に捉えること・・・西園寺塾の全ての講義は色々な角度から他者との関係性を捉えて、どのように理解していくか、その数々の示唆自体が豊かな学びであり、考えることを継続するための足場となりました。

また、問いを持ち続ける「覚悟」について、これも大切にしていきたいと思っています。リーダーとしての大事な仕事の一つに「決断」があります。決断といっても、多くの情報・選択肢・Pros/Cons のある中で方針や施策を決めることは簡単ではありません。決断するためにはリーダーとして自分なりの軸をもって責任を取る覚悟が要ります。

「リーダーとして責任を取る覚悟」とは何か。間違ったら責任を取って辞めます、という無責任なものではありません。リーダーとして組織を導くために、社内外・国内外から出来る限りの定量・定性情報を集めて、組織の目指す方針を練り上げ、そのための施策を果断に決断し、その方針や施策には消費者/ユーザー・市場・社会・国際情勢の移り変わりを捉えたアジャイル的な修正を入れることを決断するというものです。

大事なことは、数多の情報に触れつつも自分が何を為したいのか・どう在りたいのかを踏まえて決断するということ、これが「自分なりの軸」になります。「自分が何を為したいのか・どう在りたいのか」を考えるためには、自分と他者、つまり家族/友人・会社・地域・国際社会、引いては世界の関係性を理解しようとする姿勢が必要になり、それを持ち続けることが覚悟であり、「私は何を学ぶべきか」という問いに繋がっています。

西園寺塾での学びを通じて、「私は何を学ぶべきか」という問いを切り出し、その終わらない問いを続ける足場も実は既に構築されつつあることに気付きを得ると共に、改めてこの豊かで色鮮やかな学びの活動に対して感謝の念を強くしました。

この感謝を初心として忘れずに、何を学ぶべきか、それを如何に他者に還元していくか、問いを持ち考え続けることを自らの覚悟であり目標として、今後も精進を続けていきたいと思っています。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

高い山を登った頂には、拓けた景色と共に達成感と次の挑戦への意欲があります。

立命館西園寺塾は、おそらくはこれまで普通に仕事していれば、本格的に触れることは無い方が多いであろう哲学・思想、政治・社会システム、国際情勢などの根源的なテーマにおいて、相当な分量の指定文献と事前・事後レポートとの格闘、ハイレベルでインタラクティブな講義と、質/量共に圧倒的なプログラムです。もちろん、日常業務やプライベートとの兼ね合いの中で西園寺塾の活動に充てる時間を捻出する必要もあり、非常にタフな1年になります。

ただし、受講生は一人ぼっちではありません。一流の講師陣の導きや事務局の親身なサポートがあり、そして何よりも優秀で頼りがいのある同期の方々がいます。素晴らしい仲間と共にこのプログラムに挑み、珠玉の知と体験に揉まれ、考え続けることで確実に成長実感が得られると共に、仕事でも家庭でもない第三の居場所で貴重な繋がりを作ることが出来ます。

これらは今後の人生においてもかけがえの無い財産となることは間違いないです。是非、立命館西園寺塾に全力で挑んで掴み取ってください!