Voices for future leaders修了生紹介

12期生

石井 葉子

石井 葉子Ishii Yoko

東京海上ホールディングス株式会社
ソリューション事業部 
ヘルスケア事業開発グループ マネージャー

  • 東京海上日動火災保険株式会社
    損害サービス業務部 戦略推進チーム 
    マネージャー
  • 東京海上ホールディングス株式会社
    ソリューション事業部 
    ヘルスケア事業開発グループ マネージャー

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

目まぐるしく変動する国際情勢やテクノロジーの急速な発展により、近年は従来の価値観が大きく揺れ動いており、私自身、仕事においても何を基軸としたらよいか悩むことが増えるようになりました。

西園寺塾のカリキュラムは、資本主義、民主主義、科学、国際情勢、地政学、政治と歴史など多岐に亘りますが、その根底には「本質を問う哲学」が流れています。ほぼ毎週のように、数冊の指定文献を読み、レポートを書き、講師と対話をし、塾生と論議をしながら、何度も何度も、無意識に固定化されている世界を問い直していきます。

私たちは個としてのみ存在するのではなく、この世界の中の一部として存在している。世界は常に相互に影響を受けながら変化し続けている。普遍的に正しい価値観だと思っていたそれは、誰がそう決めたのか、なぜそうだと言い切れるのか。

そうした問いに向き合いながら、表面的な「前景」に囚われず、その背後にある「背景」に深く意識を向けられるようになったことで、次第に自分の思考が柔らかく奥行きのあるものになり、「さて、どうしようか」と余白を持って物事に向き合うことができるようになったと感じています。

そしてもう一つ、この10か月間を共に走り切った同期の仲間たちの存在は、何よりもかけがえのないものでした。異なる業界から集まり、全く違う背景を持った塾生同士で重ねる論議は、毎回、新鮮な気づきと楽しさにあふれていました。何よりも、皆がより良い世界を創るために「何を為すか」を真剣に考えているこの空間が心地よく、刺激的で、幾度となく励まされました。苦楽を共にした12期生たちは、生涯の友です。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. アジア・世界から未来を考える

    前期・後期を通じて、いずれの講義も非常に示唆に富み、先生方からは毎回心に残る言葉をいただきましたが、とりわけ、後期のカリキュラムでは、各分野のトップクラスの研究者でおられる先生方に、自分の中に眠る“常識”を何度も打ち崩していただきました。

    川島真先生の大変鋭く濃密な中国研究の講義を受けた後には世界の捉え方が大きく変わりましたし、鈴木一人先生の地経学・経済安全保障の講義はビジネスとも密接で考えがあふれ出てきました。細谷雄一先生には国際政治の視点で「世界の中の日本」がどうであるのかを鋭く指摘していただき、自分がいかに知らず知らずのうちに作られた常識に囚われていたかを実感しました。

    韓国、中国、ロシア、アメリカ、インド、ユーラシア、中東といったアジア・世界から未来を考える講義は、まさに本質を問う講義であったと感じています。

  2. 『想定外』の時代をどう生きるか

    中川毅先生の講義では、古気候学の視点から、「未来の不確実性」を体感することができました。

    地球の気候変動を眺めてみると、「ある種のリズム」が確認される一方、そこに法則性を見出すことはできず、いつ“ジャンプ”する(急速な変化が起きる)かは誰にも分からないということ。「想定外の世界」を生き抜くための正解は誰も持ち合わせていないが、少なくとも、想定と対策、選択と集中に頼りすぎることが最もよろしくないということ。作り上げられすぎた社会は、変化への適応に弱いということ。それらの一つひとつが、今の自分の道しるべになっています。

    真偽が不確かな言葉が飛び交う社会において、信頼できる言葉とは何かを質問させていただいたときに、しばらく熟考したのち、「“何が分からないか”をきちんと示せる人の言葉」と中川先生が仰ったことも、深く印象に残っています。

  3. フィールドワーク

    奈良、京都のフィールドワークでは、各界の専門家の先生方の解説付きで日本を代表する文化を体験するという、大変贅沢な時間を過ごすことができました。東大寺の大仏殿での特別拝観や、金剛能楽堂のお能の舞台での舞など、数えきれないほど貴重な体験をさせていただきました。塾生とともに清水寺からみた夕日の沈む光景も、脳裏に焼き付いています。

    福島フィールドワークでは、福島第一原子力発電所の視察が特に印象的でした。東京電力の関係者や語り部の皆さまからお話を伺いながら、原発事故の影響も受けたあの震災には、未来に継承しなければならない学びが数え切れない程あると、改めて感じました。

今後の夢や目標を教えてください。

西園寺塾では、講師の先生方の研究に対する高い熱量と、少しでもより良い世界のあり方を探っていこうとする前向きな姿勢に力をいただきました。

細谷雄一先生の「特権を持つということは、世界の秩序を守る責任があるということ」というお言葉も印象に残っています。何も起きていないように見えるところには、その背後に誰かの小さな不断の努力があるとも言えるのだろうと思います。

自分一人にできることは限られるかもしれませんが、それでも、ほんの少しでもより良い世界にするために、自分にできることを考え、行動していきたいと思います。よい意味で、少しでも誰かの記憶の片隅に残るような行いができたらと思います。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

「考えることは、チャレンジであり、冒険である」

これは、最初の講義のときに中島隆博先生からいただいたお言葉です。「ほかの人と一緒に考えを深めていくことが大切」とも仰っていました。

西園寺塾とは、まさにこうした尽きない冒険を仲間と共にできる場所であると思います。

仕事をしながら毎回の課題をこなすのは相当タフではありますが、普段とは違う感性を研ぎ澄ませ、言葉と真剣に向き合いながら仲間と共に深く思考する時間は、振り返れば贅沢な時間であったと思えるでしょう。

どのような言葉に接するかによって、人の生き方は大きく変わるものだと思います。西園寺塾では、生涯忘れることのないたくさんの言葉に出会うことができます。

同期の塾生たちとのかけがえのない時間を大切にしながら、全力でカリキュラムに取り組み、たくさんの言葉から気づきを得ていただけたらと思います。