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“熱狂の瞬間を共に創る” ホッケー部(男子)松村誠監督×佐々木拓人主将×ReLIVE実行委員会 萩原千夏さん

2024.10.11

 学生たちが企画・運営するホッケーのホームゲームイベント「ReLIVE」が10月13日に、大阪いばらきキャンパスの「立命館OICフィールド」で行われ、午後2時から男子ホッケー部がライバルの天理大学と対戦します(主催・立命館大学、スポーツ庁及びUNIVASによる令和6年度「感動する大学スポーツ総合支援事業」の委託事業)。
 午前11時に開場し、観客の学生、茨木市民や子どもたちが体験・参加できる企画や、縁日、キッチンカーなど、一日滞在して遊べるコンテンツが用意されています。「ReLIVE」の実行委員会とホッケー部の部員がともにイベントを盛り上げ、OICフィールドをエンジ色に染め上げ、熱狂を共に創ります。ホームゲームイベントを直前に控え、男子ホッケー部の松村誠監督、第74代主将の佐々木拓人さん(経営学部4回生)と、今回の「ReLIVE」を運営・統括する萩原千夏さん(食マネジメント学部3回生)が想いを熱く語り合います。

―まず自己紹介をお願いします。

松村:OICが2015年に開設され、ちょうどその頃からストレングス&コンディショニングコーチとしてホッケー部に関わるようになりました。99年に文学部を卒業後、トレーニングやコンディショニングのコーチとしてジムや他大学の体育会で指導していましたが、縁あって母校に戻り、2020年に前任者からバトンを受け継いで男子の監督を兼任し、今年で5年目となります。

佐々木:福井県出身(丹生高卒)でホッケーを始めてから12、3年になります。地元はホッケーが盛んで、小学4年の時、友人と一緒にホッケー部に入りました。

萩原:学生がつくる今回のホームゲームイベント「ReLIVE」を統括しています。「ReLIVE」 は立命館大学で開催されるホームゲームの名称です。今年の春に、BKC(びわこ・くさつキャンパス)開設30周年を記念して初めて開催され、私は企画運営に2月から関わっています。これまでラグビー、アメリカンフットボール、バスケットボールのホームゲームイベントをBKCで開催してきました。立命館大学の応援文化を醸成し、ホームゲームをスクールカラーのエンジ色に染め上げることをミッションに掲げています。体育会のチームを中心にファン、地域、企業などを巻き込み、何より学生の熱狂を生み出すエンターテイメントとして、何度も思い出せる最高の瞬間を学生自らがつくり、ホームゲームが作り出す文化をこの先も受け継がれていくビジョンを描いて活動しています。

「個性を生かすホッケー:立命館の強さ」

―それではホッケーを観戦したことがない方へ、ホッケーの面白さや競技性について教えてください。

佐々木:サッカーとよく似たゲームの展開ですが、サッカーよりもスピード感があります。縦91・4メートル、横55メートルのフィールドを使い、硬式野球のボールとほぼ同じ大きさ、重さで、それよりも硬い球を、先端部が湾曲したスティックという棒状のものを操りながら得点を狙います。スティックを操るには細かいテクニックが必要で、シュート時のボールスピードはトッププレーヤーになると時速150〜200キロ近くにもなります。出場選手はゴールキーパーと10人のフィールドプレーヤーによって構成され、選手の交代は自由です。各15分の4クオーター制で行われます。注目点は何よりもスピード感がある得点シーンで、攻守が目まぐるしく変わることもポイントのひとつです。見ていて楽しいと感じてもらえるスポーツだと思います。

―日本トップチームである立命館大学ホッケー部の歴史と、これまでの実績についても教えてください。

松村:立命館におけるホッケーの歴史は1951年、立命館高校に創設されたのが始まりです。かつては天理大学が全国的な強豪でした。立命館は地道に強化を図り、当時の関西学生リーグで331連勝という、とてつもない記録を誇った天理大学を1992年に破り、連勝記録をストップさせて初優勝したことが、男子ホッケー部の大きなターニングポイントになりました。その1年前に女子もスタートしています。当時は京都市内の柊野グラウンドを活動拠点にしていて、1999年に私が卒業するのと入れ替わりに人工芝の専用グラウンドとなり、山口修一郎前監督の下で実績を積み、天理大学に肩を並べ、追い越すようになりました。立命館が最も強かったのは2000年代から2010年代です。2005年に全日本学生ホッケー選手権(インカレ)で史上2校目の男女アベック優勝を果たし(2020年、23年も達成)、田中健太コーチが在籍していた2011、12年は社会人も参加する日本リーグで2連覇しました。そして2015年に拠点をOICに移し、ナイターや全天候型ウオーターベース、ウエイトトレーニング、宿泊の施設なども整う素晴らしい環境の下で活動しています。

―今シーズンの目標や、日々の活動で大切にしていることは何でしょうか?

佐々木:シーズン6冠(関西リーグ春季、秋季、全日本大学王座決定戦、日本リーグ、全日本学生選手権、全日本選手権)を目指していました。春季リーグで天理大学に負けて1つ落としましたが、大学王座決定戦では天理大学に勝ち、優勝しました。残るタイトルは全部取りたいと思っています。

松村:立命館の校風で、選手の主体性を重んじています。ホッケーは判断が重要なスポーツです。試合中は展開が速く、ベンチから選手に指示を出すことは難しいので、日常の練習から自分で考えて、判断力を磨くことが重要視されています。プレーや、それ以外の所でも選手の考えを尊重していて、自ら考え行動するというスタンスを貫いています。

ホッケー部(男子)松村監督
「チーム一丸で挑む今シーズン」

―監督と主将、お互いにどのような印象を受け、どのような存在でしょうか?

佐々木:松村監督は普段は物静かですが、試合に勝つ、大会で優勝する、内に秘めた熱い想いが日常から伝わってきます。

松村:キャプテンという立場は指導者と選手の間に立ちますが、佐々木主将は良い意味でかなり選手寄りだと感じています。選手の意見をくみ上げながら、チームを率いていくタイプ。選手たちのことをよく考えていて、私が知る過去の主将とは違うタイプだと思います。

佐々木:チームスポーツなので選手、マネージャー、スタッフ約30人の気持ちが同じ方向に向いて、物事に取り組める環境作りを意識しています。練習中も学年、ポジションは関係なく、選手に声を掛けます。試合に誰を出すか、誰をベンチから外すか、監督、コーチは自分の判断を大事にしてくれますが、出場できない選手から不満を聞くこともあります。選手を鼓舞しながらチームの士気を高め、モチベーションを上げるのが難しい所です。

松村:同学年でも試合に出る者、出ない者、そこには当然ギャップが生まれるので、選手なりの想いはあると思います。選手選考は主将、副将とも相談しますが、情けをかけてプレーが甘い選手、チームへの貢献度が低い選手を出すと、チームの公平性が崩れる。パフォーマンスの高い選手、コンディションのよい選手を選ぶことになります。

―佐々木主将は優勝した全日本大学王座決定戦で最優秀選手に輝くなど、今年はホッケーにかける人一倍強い想いがあると聞いています。

佐々木:今年限りで引退し、社会人でホッケーは続けません。小学4年からホッケーを始めてから、今年は特別な1年です。何としても勝ちたい。さらに技術だけでなく、ホッケーを通じて人間としても成長させてもらいました。ホッケーへの恩返しという意味でも結果を残したいです。

ホッケー部(男子)佐々木主将

―さて、13日には日本一を争う天理大学と戦います。立命館にとって天理大学はどのような存在でしょうか?

松村:ライバルという言葉がふさわしい相手で、負けたくない気持ちと、下手なパフォーマンスは見せられないという想いが強い。隙を見せれば負けるというプレッシャーも感じます。近年、大学の2大大会(全日本大学王座決定戦、全日本学生選手権)の決勝はすべて天理大学が相手で、立命館はすべて勝ててはいません。お互いを高め合ってくれる存在とも言えます。

佐々木:絶対負けられない、負けたくない相手です。自分もチームも苦しい時は「天理はもっともっと練習を積んでいる」と言い聞かせています。ホームゲームでは勝つこともそうだし、ホッケーを知ってもらういい機会です。観客の皆さんを魅了するパフォーマンスを見せたいと思います。

―OICでホームゲームを開催するにあたり、複数の競技が検討されたなかで、当初からホッケー部、特に松村監督は意欲的な姿勢でした。

松村:はい、断る理由などありませんでした。ホッケーは立命館の学生でも身近な存在でない人が大半でしょう。国内でもマイナーな競技です。OICフィールドには7、800人は入るスタンドがあり、これだけのホッケー施設、環境、アクセスの良さは社会人チームを含めても、ほとんどありません。だからこそ私たちはマイナーなホッケーを広めて、普及していく使命があります。どんな時でもOICフィールドを満員にし、ホッケーを楽しいスポーツと思ってもらう、またとない機会と考えました。

「学生が創る、熱狂の舞台:ReLIVE」

―松村監督と佐々木主将のホッケーへの強い想いと、ホームゲームでライバルの天理大学に勝利する強い意気込みを感じました。ホームゲームを作り上げていく大きなパワーになりますね。

萩原:まず、もっと頑張らないといけない、と気が引き締まる思いです。OICは私が普段、学んでいるBKCと勝手が違って、分からない所がたくさんあるなかで、多くの方に助けていただきました。ホッケー部の皆さんにはチラシ配りも連携して一緒にやってもらうなど、本当に感謝しています。当日の試合はもちろんのこと、周りのコンテンツでも多くの学生が関わってくれているので、ReLIVE を一緒に盛り上げたいと考えています。

ReLIVE実行委員会 萩原さん

―ホームゲームReLIVEは単に試合をキャンパスで開催するのでなく、「学生が熱狂を生み出す総合エンターテイメント」を創ることがコンセプトですね。

萩原:目標はスタンドを「エンジ色に染め上げる」ことです。当日はチケットを購入した先着250名の方に、エンジ色の「ReLIVEタオル」をプレゼントします。立命館を応援してくださる方を増やすだけではなく、学校全体でホッケー部を応援するムーブに持って行く意味でも、「エンジ色に染め上げる」というビジョンを掲げています。

―学生たちがどのようなことを創ろうとしているのか、内容や役割のほか、新たな企画があれば教えてください。

萩原:役割としては企画、広報、渉外の3部門に分かれて活動しています。企画担当は試合前後、あるいはハーフタイムショーの企画、縁日、キッチンカーの出店などに関わって活動しています。広報担当はチラシ、パンフレットの作成やソフトウエア企業の「Adobe(アドビ)」と連携した広報物作成。また、映像学部の学生 がプロモーション動画を作成してOIC近くの商業施設や衣笠キャンパスでも投影しています。(2024年10月7日より)。また、RBC(立命館大学放送局)の協力のもと、試合当日はBKC、衣笠、各キャンパスに加えて、APU(立命館アジア太平洋大学、大分県別府市)にもつないで試合の動画配信を行い、立命館全体が動画越しに結びつくパブリックビューイングを実施します。渉外担当は茨木市など地域の方に協賛のお声掛けをしていて、これまでのReLIVEのイベントで協賛いただいた企業や団体からも、引き続き応援したいとの申し出があり、中には「ホッケー部だから応援したい」との声がかなり多いのも特徴です。

ホッケー部とReLIVE実行委員会が一緒にチラシを配布している様子

―今まで以上の大掛かりなイベントになりそうですね。

萩原:今回はOICの学生が中心となって活動していますが、それだけでなく、これまでイベントをしてきたBKC 、そして大学全体を巻き込むようなイベントになりつつあると感じています。また、国際寮に住む学生も参加して、留学生と集える企画も準備しています。試合後のファンミーティングでは、選手によるホッケー体験 も開催し、観戦していたフィールドに実際立って、大人も子どももホッケーを体験することができます。

―数多くの学生や地域の方が関わってホームゲームを創り、たくさんの方が応援にやってきます。

佐々木:本当にうれしいことです。自分がプレーしているスポーツを広めたいという想いはあっても、1人ではなかなか行動でできません。こういう機会を設けていただいたので、ひとりでもファンを増やせる試合をしたい。

萩原:もうすでに(私が)ファンのひとりになりました。当日皆さんに配布させていただくパンフレットには、選手ひとりひとりの紹介をしていて、「推しを作る」ことも今回のテーマです。こんなプランも来場者の心に刺さったらいいなと思っています。

佐々木:推し企画ですか?すごくうれしいな。

松村:ホッケーに注目してくれて本当にありがたいですね。まず、一般の学生と関われることが大きなメリットです。ホッケーの関係者というのは実に狭い環境の中にいて、普段は接点のない他の学部、他のキャンパスの学生とつながることは、選手や一般の学生にも本当にいいことだと思います。私たちは毎年、目指すチームのテーマを掲げていて、今年の部員たちは「Brilliant Hockey(ひとりひとりの個性を活かした素晴らしいホッケー)」と決めました。天理大学が相手だと白熱した試合になるのは間違いありませんし、楽しみ方を自分たちで見つけて、周りの空気も感じて一緒にエンジョイする、そんな一日にしてほしいです。

佐々木:「Brilliant Hockey」と名付けた理由は、ホッケーのファンを増やしたいという話に行き着くのですが、目指す所は勝つということだけはなく、観客をどれだけ感動させられるか、単に勝つだけの試合はしたくないという想いからです。

萩原:松村監督から試合を観戦するのは、一般の学生より保護者が多いとお聞きしました。私自身も部活の試合を見にいく機会があまりなかったです。今回のReLIVEを学生が初めてスポーツを見るきっかけにしてほしいと願っています。自分の大学のスポーツ観戦や応援が、趣味や楽しみになるような環境づくりになればいいなと思います。

松村:見ていただく以上、それに値するプレーやパフォーマンスが課せられます。責任感が増します。観客の皆さんにはいいプレーは拍手をして称え、選手がさぼったりフェアじゃないプレーをした時は遠慮なくブーイングをしてほしいと思います。そういうホッケー文化がまだ日本にはないので、悪い時は選手の奮起を促すような、価値を高める見方をしてほしい。

佐々木:観客が増えるほどモチベーションが上がり、チームの士気が高まるので、プラスアルファの部分を引き出してくれそうな期待があります。

―ではお互いに質問があれば、遠慮なく聞いてみてください。

松村:萩原さんにお聞きしたいのですが、ReLIVEの活動を始めたきっかけは何だったのでしょう?

萩原:先輩から誘われました。「部活の大会を見たことがある?」と聞かれて、「見に行ったことがないなあ」と気付かされました。中高時代は陸上競技をしていたのですが、大学では自身が選手として活動することはなく、イベント関連の団体に所属していました。「シンプルに試合を見てみたいな」「せっかく立命館大学に所属しているのだから、スポーツの企画イベントを盛り上げよう」そう思ったのが始まりです。

松村:ぜひこれをきっかけに見にきてください。

萩原:ReLIVE実行委員会のメンバーの中でも、練習は見たことがあるが、試合は見たことがない人は相当います。先日、日本リーグの試合をメンバーと観戦した時、サッカーに似ているけど、もっと展開が早くて見入ってしまうと話す仲間がいました。すでにホッケーのファンになった学生もいます。

―それでは最後に13日のホームゲームイベントReLIVEに向けて、一般学生へのメッセージをお願いします。

松村:冷やかしのつもりでもいいので、ぜひ足を運んでください。OICでのイベントを体験して、楽しめたら継続してゲームを見にきていただければと思います。我々の年間目標のひとつとして、インカレ(全日本学生選手権大会、10月31日開幕)が迫っています。そこへ向けてのチーム作りを今やっていて、天理大学と戦うことはチーム強化の意味でも大事です。意義のある試合でもあるので、これを機会に見に来ていただければと思います。

佐々木:ホッケーを知らない人ばかりでしょうが、一回は見てください。魅了する自信はあります。

萩原:ホッケー観戦はもちろん、企業とのコラボ企画や縁日、飲食など様々なコンテンツを用意して、皆さんをお待ちしています。ホッケーの観戦チケットは1000円ですが、大学生以下は無料(学生証など身分証をご持参ください)です。ホームゲームイベントを盛り上げて、観客席を必ずエンジ色に染め上げたいと思います。

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