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2017年7月13日のキャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナーⅡ」において、京都府立北嵯峨高等学校保健体育教諭の西純平先生にお越しいただき、「保健体育科教員として働く」というテーマでご講演いただきました。


スポーツ健康科学研究科修了生の西先生は、自己紹介の中で産業社会学部の4回生の時に京都府の採用試験に合格し、大学院進学にともなう教員採用の猶予制度を活用して、大学院で研究を進めた後に、修了後、京都府下の高等学校に着任されました。まず、西先生は、保健体育科教員の仕事が多岐に渡っていることを述べられ、「分掌業務」として、教務以外に、生活指導、進路指導の3つの柱があることを説明され、その上で、「課外活動の指導」があると述べられました。本学部の学生のみならず、体育系大学やスポーツ健康科学系の学部に在籍する学生の中で、保健体育科の教員をめざす学生の大きな目標が「部活動」の指導にある中で、あくまでも保健体育科の教員である前に、中学校、もしくは、高等学校の「教諭」であるという自覚を忘れないでほしいということを強調して伝えられました。その上で、保健体育科教員に求められる役割の1つとして、「集団行動」があると述べられました。保健体育科教員は、集団行動を通じて、生徒の規律・規範の指導や心と身体のつながりを、自分だけでなく、他の仲間とともに動きながら感じることができること、また保健体育科という教科の特性として、大人数に対する一斉指導をする機会が与えられるため、学校の特色などを生徒に伝え、感じさせることができると述べられました。そして、生徒とのかかわりから生徒が成長する姿を見届け、見守ることができるだけでなく、生徒とのかかわりから教員自らが成長していくことを実感できることが、教員の最大の魅力であり、やりがいであると述べられました。

次に、教員採用試験について、自らの体験に基づきながら、学生に試験に臨むにあたっての心構えを説明されました。採用試験に臨むにあたっては、これまでの自分のライフスタイルを振り返り、生活のリズムをつかみながら、綿密な計画を立てることが重要だと述べられました。中でも、がむしゃらに物事に取り組むだけでなく、一つひとつのことを丁寧に振り返りながら、内省をする習慣をつけることが最も重要だと述べられました。試験勉強は、できる限り本番に近いような設定で取り組み、問題集を何度も何度も繰り返しときながら、できるという感覚をつかむこと、また小論文の作成にしても、作成する文章のクオリティを上げるために、集団討論の練習を繰り返し、多様な意見をインプットした上で、それらの内容をまとめ、自分の引き出しを増やすような工夫が必要だと述べられました。特に採用試験に臨む学生が見落としがちなのは、受験しようとする都道府県、または市町村の総合計画や教育基本計画に対する理解だと指摘されました。面接などで教育方針などに関する質問をされた際には、各都道府県が重視する教育政策や力点を押さえながら、自らの言葉に置き換えながら、述べなければ、面接官に想いとその想いを裏づける背景への理解が伝わらないと述べられました。また「自分×スポーツ×教育」という軸で、自分の特性やウリを伝えられるような工夫が必要だと述べられました。そのような組み合わせによる関係性を様々なパターンで述べられるように、自分のこと、スポーツのこと、そして教育のことを深く理解する必要があると熱弁を振るわれました。

西先生も学生生活や教員生活で、様々な挫折を体験したとのことでしたが、その際には、大学院時代の恩師から教えられた「遇に踊らず、不遇に腐らず」という言葉を胸に、うまくいっているときには、舞い上がらずに、またうまくいっていないときにも、焦らず、騒がず、嘆かず、腐らず…という想いを持って物事に臨んでいるとおっしゃりました。この言葉は、荀子の「遇と不遇は時なり」という故事成語をわかりやすく説明されたものと思われます。

さすが岡本先生!