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2018年8月2日に亜細亜大学経営学部准教授の西原彰宏氏をお招きし、「デジタル環境下におけるマーケティングと消費者行動の変化」というテーマで講演をしていただきました。

西原氏は、デジタル時代の顧客戦略において、ECelectronic commerce)サイト、すなわち、電子商取引と、店舗をいかにつなぐかが重要視されていると述べ、「いつでも・どこでも・商品を選べて・購買できる・受け取り場所を選べる・経験を提供する」という消費者の購買前(過去)、購買中(現在)、購買後(将来)の「カスタマージャーニー」に対して、顧客にどの様に仕掛けをするかが企業戦略の鍵を握ると主張されました。中でも企業が投じるコストを考慮し、新規顧客の獲得から既存顧客の維持に力点が置かれている状況下で、企業に収益をもたらす「優良顧客」を企業の「資産」と捉え、企業は、長期的な取引の継続をめざすCRMCustomer Relationship Management)や関係性マーケティングに力を注いでいることを説明されました。

また企業行動における「コミュニケーションチャネル・販売チャネル・物流」を連携・ジョイントさせるオムニチャネル戦略を事例に取り上げ、スマートフォンがキー・ディバイスとなり、購買前から購買後のカスタマージャーニーを支配していることを述べられました。例えば、これまで預貯金や貸し付けだけでなく、投資を始め、多様なフルサービスを店舗で展開してきたメガバンクでさえ、デジタル環境下を考慮し、販売員を減らし、「店舗」の機能や役割を変化させており、ボノボスやアマゾンを始め、ショールームストア、無人店舗、冷蔵庫の自販機、移動販売、イベント販売など、様々な種類の店舗やストアが出店しはじめている事例を説明されました。言い換えれば、スマートな購買経験を重視する現況において、店舗を有する企業が苦境を迎えおり、買い物の時間や負担を軽減するような「買い物が楽」という「購買の簡略化」を図ろうとする消費者に企業は応答しなければ、生き残れない時代だと述べられました。その一方で、モノからコトへと購買における「経験価値」を重視し、購買に楽しさを求め、買い物をエンターテインメントとして捉え、快楽的な購買行動とそれに付随する情報の接触を複雑化させ、製品への関与を高めるような消費者も存在しており、買い物・購買が二極化しはじめていることについても述べられました。さらには、購買の必要がない「フリー」、所有の必要がない「シェア」や「サブスクリプション」、購買を超えた企業との関係性に着目した「エンゲージメント」など、具体事例を提示されながら、豊富な話題を提供下さいました。

スポーツマネジメント領域の大学院生のみならず、教員も西原先生の話に聞き入り、予定していた時間があっという間に過ぎる充実した時間を過ごすことができました。