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健康科学特殊議の授業時に日本女子大学定本教授に「運動時の循環調節ついて」お話いただきました。

日本女子体育大学 定本朋子教授の講演では、運動による呼吸循環系の反応の機序について1910年代に発表されたKrogh & Lindhardや1930年代のSmirkの論文にまで遡って、これまで分かっていること、まだ不明なこと、これこれからやるべき研究まで広範に網羅的に説明があった。その内容であるが、運動による心拍数の上昇や血圧の上昇などの呼吸循環系の反応は、脳から発生されれる中枢指令(central command)と活動筋における代謝性センサーからの末梢性反射により制御されている。特に中枢指令は、運動開始前における心拍数の増加というようなfeedforward的な制御や、運動中の心拍数や呼吸反応の一部を担っている。これは、神経・筋接合部の情報伝達を絶った場合でも、運動を想起するだけで心拍数や換気量が増加することにより証明されている。一方骨格筋内の代謝反応は、運動による筋代謝の亢進があって初めて反応がおこるが、循環系に対する影響は大きい。これは、運動時に活動筋の血流を遮断する(筋活動による代謝産物が筋内に残る)と運動を終了しても血圧が高い状態に保たれることにより証明されている。健康との関連では、高齢者及び高血圧患者で筋の代謝性の反射(末梢反射)が異常があることが明らかになり、運動時の循環系応答と健康についての関係が示唆されていることについて紹介があった。