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健康化学特殊講義の授業時に早稲田大学スポーツ科学学術院樋口満教授に「健康運動科学に関する研究について」お話いただきました。


 健康科学特殊講義の授業時に早稲田大学スポーツ科学学術院樋口満教授に「健康運動科学に関する研究について」お話いただきました。
最初に、1980年代に樋口先生の研究に大きな影響を与えた米国セントルイスへの留学と、そこでのボスであったワシントン大学のJon O. Holloszy先生の1960年代の運動生化学創成期の論文と最後の論文となった2017年の論文を紹介された。そのなかで、素晴らしいボスに恵まれた幸運と樋口先生に続いた日本人研究者の貢献についてお話された。
 次に、早稲田大学の卒業生を対象としたWASEDA’S Health Studyについてご説明があった。この研究は 早稲田大学卒業生で40歳の男女数千名について身体活動量、体力、筋力、筋量、血液、遺伝子等を測定し、20年間追いかけて、それらと生活習慣病発症の関係等を明らかにする壮大な(早大な)研究であるとこのことであった。
 また樋口先生のライフワークであるローイング(ボート漕ぎ)研究についてお話された。ローイングは、多くの生活習慣病の発症予防効果を持つ最大酸素摂取量を増加させ、同時に筋量を増加させることができるので、健康、特に女性の健康増進に有効なスポーツであることを横断的及び介入研究の結果で示されました。
 最後にスポーツ栄養に関する研究でMedicine and Scieces in Sports and Exercise誌の最新号に掲載が決まっている“インスリンショック”に関する研究成果であった。これは、朝食を食べても食べなくても、運動前に多量の糖質(150g)を取ると血糖値が30mg/dlも低下するというもので、朝食の有無にかかわらず運動前に多量の糖質を摂取することは血糖値の低下をもたらし、競技成績に悪影響を与える可能性があることを示唆した論文ということであった。
 今回の講義でお話された内容は樋口先生のこれまで行ってこられた研究のほんの一部であるが、樋口先生の健康運動科学に対する貢献の大きさを知るには充分な内容であり、学生諸君にとっても今後の勉学に多くのヒントを得たものと推測された。