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2020/10/28 本学部助教・塚本敏人先生らの研究が「American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」に原著論文として掲載されました。


本学部助教・塚本敏人先生が、本学部教授・橋本健志先生、教授・篠原靖司先生、東洋大学理工学部教授・小河繁彦先生、Neurovascular Research Laboratory, Faculty of Life Sciences and Education, University of South Wales教授・Damian M. Bailey先生、講師・Christopher J. Marley先生、電気通信大学大学院情報理工学研究科准教授・安藤創一先生、東京大学大学院総合文化研究科特別研究員・石橋彩先生と共同で取り組まれた研究が「American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」に原著論文として掲載されました.

 

1日の食事の中で、健康のために最も重要な食事は朝食であると言われています。朝食を抜いてしまうことに加え、食パンや白米などの食後高血糖を招来する高グリセミック指数食(高GI食)は心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患リスクを増加させるだけでなく、要介護に陥る要因トップ2の「認知症」や「脳卒中」などの脳疾患発症リスクの増加にも関連します。しかしながら、このような朝食と脳疾患発症リスクの関係性に対して、具体的な因果関係や生理学的作用機序などは未だ解明されておりません。本研究では、「認知症」と「脳卒中」の発症リスクを少しでも軽減させるために、認知機能の低下に関連する脳由来神経栄養因子(BDNF)と脳血管系の疾患と関連する脳循環の自己調節機能(dCA)の朝食選択(高GI食・低GI食・欠食)に対する一過性の反応を検証しました。その結果、BDNFには変化が見られなかったものの、dCAは、朝食を摂取すると強化できることを明らかにしました。さらに、たとえ朝食を摂取していたとしても、高GI食を摂取することで食後高血糖を招来してしまうと、dCAが低下してしまうことも明らかにしました。つまり、本研究は、一回の朝食の選択によりdCAが影響を受けることを明らかにし、これを習慣的に繰り返すことで朝食欠食や高GI食により脳血管系の疾患リスク(脳卒中や血管性認知症など)が増加している可能性を示しました。加えて、特に朝は、血圧が比較的高いことから脳卒中発症リスクが高まりますが、朝食の選択によりdCAが影響を受けるということは、午前中の脳血流量をうまく調節できず、急性脳血管イベントのリスクをさらに増加させてしまっている恐れがあります。本研究は、毎日の朝食がブレインヘルスのために非常に重要であることを示唆しました。

 

Plasma brain-derived neurotrophic factor and dynamic cerebral autoregulation in acute response to glycemic control following breakfast in young men. Hayato Tsukamoto, Aya Ishibashi, Christopher J Marley, Yasushi Shinohara, Soichi Ando, Damian M Bailey, Takeshi Hashimoto, Shigehiko Ogoh. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. doi: 10.1152/ajpregu.00059.2020. Online ahead of print.

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33112655/

(ニュース)20201101-1