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本研究科博士課程前期課程1回生道羅絢斗さんの研究が「Heliyon」に原著論文として掲載されることが確定しました.


スポーツ健康科学研究科博士課程前期課程1回生 道羅絢斗さんが, スポーツ健康科学部・同研究科菅唯志助教, 塚本敏人助教, 橋本健志教授, 伊坂忠夫教授, 北翔大学・生涯スポーツ学部高田真吾先生と共同まれた研究論文Heliyonに原著論文として掲載されました.

 

近年,運動により人々の「生活の質」に大きく関連する認知機能を向上・改善できることが明らかにされています.本研究グループもレジスタンス運動後の認知実行機能の改善程度を検討した結果, 低強度運動に比べ高強度運動でその効果はより高まることを明らかにしています(Tsukamoto et al. PLoS One, 2017).しかしながら,高強度レジスタンス運動は,高齢者や有疾患者に施行することがしばしば困難です.一方で,スロートレーニングと呼ばれるレジスタンス運動は高齢者や慢性疾患者でも安全に実施できる効果的なレジスタンス運動として期待されています.スロートレーニングは低速度で運動を実施するため,筋骨格系や心血管系にかかる負荷が比較的小さいとされています.また,低速度で運動を行い,筋発揮張力を維持することでトレーニング効果を高めます.実際に,低強度レジスタンス運動であってもスロートレーニングを用いることで筋肥大・筋力増強効果を得られることが明らかにされています.本研究では,一般的な運動速度(拳上(コンセントリック)局面1, 下降(エキセントリック)局面, 脱力局面1秒)での低強度レジスタンス運動(最大挙上重量の30%)とスロートレーニング(拳上(コンセントリック)局面3, 下降(エキセントリック)局面, 1秒維持(アイソメトリック))を用いた低強度レジスタンス運動をそれぞれ実施した後の認知実行機能を比較しました.その結果,両条件とも認知実行機能は亢進しました.しかし,その認知実行機能の亢進が認められた時間はスロートレーニングを用いることでより持続しました.したがって本研究の結果は,スロートレーニングを用いた低強度レジスタンス運動は筋機能および脳機能の双方を効果的・効率的に向上させることができ,且つ幅広い人々が実施可能な汎用性の高い運動処方となる可能性を示唆しました.


https://www.cell.com/heliyon/pdf/S2405-8440(21)00366-2.pdf

(ニュース)20210219-1