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スポーツ健康科学研究科・博士課程後期課程5回生 前田哲史さんが取り組まれた研究論文が、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に原著論文として掲載されることが決定しました。


スポーツ健康科学研究科・博士課程後期課程5回生 前田哲史さんが、スポーツ健康科学部教授 橋本健志先生、2019年度学部卒業生 山岸真綸さん、順天堂大学 専任准教授 宮本直和先生、国立健康・栄養研究所 特別研究員 山田陽介先生、八戸学院大学 講師 有光琢磨先生、ふくだ内科クリニック 院長 福田正博先生、サントリーウエルネス株式会社 健康科学研究所と共同で取り組まれた研究論文「Characteristics of the Passive Muscle Stiffness of the Vastus Lateralis: A Feasibility Study to Assess Muscle Fibrosis」が、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に原著論文として掲載されることが決定しました。

https://doi.org/10.3390/ijerph18178947

 

骨格筋の線維化(細胞外マトリクスの過剰蓄積)は加齢とともに進行し、筋肉の機能(e.g., 筋スティフネスの増加)に影響することで生活の質(QOL; Quality of life)を低下させることが示唆されています。近年、非侵襲的に筋スティフネスを測定することが可能な超音波剪断波エラストグラフィー(SWE)を用いた研究が活発に行われており、剪断弾性率を算出することで骨格筋の線維化を評価することが可能であることが示唆されます

本研究では、30歳から79歳までの男女86名を対象に、SWEを用いて大腿部の剪断弾性率を測定し、加齢による骨格筋の線維化を検討しました。

膝の角度が異なる3つの姿勢(完全伸展、90度屈曲、完全屈曲)で、外側広筋の剪断弾性率を測定したところ、外側広筋が伸長した状態である完全屈曲時の測定において、女性よりも男性で高く、また、年齢が上がるとともに高くなることが示されました。特に年齢においては、47.9歳という比較的若い時から、剪断弾性率が高くなる、すなわち骨格筋の線維化が起こり始めている可能性があることが、初めて明らかになりました。

本研究の結果は、加齢による筋肉の機能低下によるQOL低下を抑制するためには、従来認識されている骨格筋の萎縮に対する予防だけでなく、40歳代後半からの骨格筋の線維化に対する効果的なケアやプログラムを開発することが重要であることを示しています。


(ニュース)20210827-1