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新年のご挨拶(スポーツ健康科学部長・研究科長)



「コロナ」という言葉を耳にしなかったことがない日々が2年間も続いていますが、皆さま方におかれましては、素晴らしい新年を迎えられたことと思います。

多くの人たちが感じているように、「コロナ」によって私たちは、多くのことに制約を受けたものの、未知の体験を積み重ねることによって、多くのことを考えたり、見つめ直したりする機会も得ることができました。また一人で過ごす時間が増えたことにより、「いま何をしているのか」ということ以上に、様々な行為が少し先の出来事や将来にとってどのような意味を持ち、何につながっていくのか、という未来志向的な視点を持つようになった人が増えたのではないかと思っています。

この間、私自身、「大学」は何のためにあるのか、また「大学で学ぶことの意味」や「スポーツ健康科学」にはどのようなことが求められているのか、そのようなことを何度も考えました。少なくとも大学は、様々な知と出逢いながら、真理を探究し、新たな知を生み出す場所でなければなりません。そして、その知との出逢いや知の創出を通じて、未来を切り拓く人を育てる場所でなくてはなりません。このような大学のミッションを捉えるとともに、創設から10年の時を経たスポーツ健康科学部・研究科がどのような存在としてありたいのか、あるべきなのかを意味づけるために、新しいビジョンを掲げました。それは、イタリア語で「創造」を意味する「CREA(クレア)」というものです。

「CREA」という言葉のそれぞれの頭文字には、次のような想いが込められています。それは、人、様々な出来事や経験、また可能性を引き出し、異分野や異なる価値観を持った人々に「より」をかけて新しいモノ・コトを創造する「Collaboration:異分野を紡ぐ」、常に前向きに挑戦し、失敗しても立ち上がり、しなやかに、そしてたくましく生き抜く力を育むための「Resiliency:主体的に挑む」、物事を深く考え、答えのない世界に問いを立てて、尖った英知を磨き上げる「Edge:智を極む」、そして、個を認め、人の尊厳を大切にし、自らも、組織もより輝きを放つことができるための「Attraction:ひとと組織が輝く」というものです。

この「CREA」に込めた想いやエネルギーは、もちろん、学部・研究科の教育と研究に注がれるのですが、その基軸になるのは、「Well-being(ウェル・ビーイング)」ではないかと考えています。この言葉が意味するところは、万人にとってかけがえのない心身の健康や生きがいに留まらず、人とのつながりや他者への理解、またそのような関係性によって紡がれた安心や未来への希望によって裏づけられる包括的な幸福感だと考えています。

世界中において、心が安まる日々を取り戻すことはできてないのですが、スポーツ健康科学部・研究科では、「Well-being」の探求と探究、またその実現に向けて、「CREA」というビジョンに基づき、思考を巡らせ、その巡らせた思考と想像によって、新しい未来を紡いでいきたいと思います。

 

スポーツ健康科学部長・スポーツ健康科学研究科長

長積 仁