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ゲスト講義実施報告(同志社大学グローバル地域文化学部・教授 和泉真澄先生)

「専門演習」(担当教員:園田節子先生)の授業にて、日系アメリカ人研究で多数の著作を持ち、メディアでも活躍されている同志社大学 グローバル地域文化学部・教授の
和泉真澄先生をゲストスピーカーとしてお招きしました。

ゲストスピーカー(和泉様アップ1)

招聘講義の内容は、新型コロナ以後のアメリカ社会におけるアジア系住民を標的とするヘイト・クライムの状況を確認し、アジア系住民自身の差別への対抗活動である情報プラットフォーム「STOP AAPI HATE」の活動、バイデン政権の対策法の設置や国際的に活躍するK-popグループ「BTS」と同政権の会談に表れた様々な意味、アメリカ社会におけるアジア人移民とアジア系住民の歴史、社会的イメージ、そしてトランプ政権のアジア人攻撃とコロナ対策の失敗、といった構成でした。
こうした豊富なトピックを通して、アメリカにおけるアジア人差別の構造を考えました。

ゲストスピーカー(和泉様アップ2)

招聘講義の前、ゼミでは『現代ビジネス』『毎日新聞』に掲載された和泉先生の論説記事を読み、全員で質問を出し合って準備しました。
講義当日は、アメリカの事例を通して、日本における「アジア」を、より深く考察する時間となりました。質疑の時間には、アメリカには「BTS」をはじめアジア文化に好感を持つ世代が育つ一方、アジア系を人種化し蔑視を向ける人々もいる中で、世代間のギャップやアジア人の人種化や異化はどうなっていくのか、日本人の“名誉白人”的な自意識の根源には西欧やアジア諸国との関係性から発生した一種の達成感や歴史的な優越感があるのか、日本で見られる差別はアメリカの人種化されたものと異なり、人権意識そのものへの薄さがその性質を考える鍵なのではないか、といった活発なやり取りとなりました。