学部長挨拶
森岡 真史
立命館大学国際関係学部長

ようこそ、立命館大学国際関係学部へ
21世紀の四分の一が過ぎた現在、通信・輸送・移動の手段は高度に発達し、モノや人、そして情報が国境をこえて膨大な規模で往来しています。市場では、企業や自営業者が世界各地から供給された原材料や燃料を活用し、多種多様な商品を生産しています。
しかし、国や地域間の結びつきや相互依存がこのようにかつてないほど深まっているにもかかわらず(あるいはそれゆえに)、現代の世界は多くの課題に直面しています。ウクライナやパレスチナのガザ地区をめぐる破壊的な戦争では、多くの兵士や一般市民が犠牲となり、国際平和が揺らいでいます。世界経済は中国やインドなどの新興経済を中心に成長を続けていますが、国内および国家間の貧富の格差は依然として深刻であり、一部の国々では紛争や統治の混乱が続いています。国際的な移民の増加は、各国の民族構成を多様化させると同時に、摩擦や対立を引き起こす要因にもなっています。さらに、急激な経済成長の副産物としての地球規模の気候変動は、人類にエネルギー利用のあり方の根本的な転換を迫っています。
これらはすべて、多くの国々が関わる「グローバルな」問題であると同時に、各国の政府・企業・市民、そして国際機関や国際組織が協力して取り組むべき「国際的な」課題でもあります。これらの問題を分析し、その背景や原因を理解し、改善・解決の方向を探るためには、政治学・法律学・経済学・社会学・歴史学などの既存の学問領域(ディシプリン)を横断した研究が必要です。国際関係学は、こうした伝統的なディシプリンを基盤としつつ、現代の「世界」を構成するさまざまな要素の相互関係に焦点を当てる比較的新しい学問分野です。世界の国々・地域はそれぞれ独自の言語・宗教・文化を持つため、国際関係学は地域研究の要素も包含しています。
立命館大学国際関係学部は、この国際関係学を体系的に学び、卒業後はグローバルな視点をもって国内外で活躍する人材を育成することを目指しています。本学部のカリキュラムは、(1) 国際関係学の諸分野を学ぶ専門科目、(2) 世界各地域を深く理解するための地域研究、(3) 実践的な英語力と国連公用語を含む多言語教育の三本柱で構成されます。本学部は、三つの柱のそれぞれを高い水準で提供できる、すぐれた教員陣を揃えています。本学部に入学した学生は、この「理論×地域×言語」の相乗作用を通じて、入学から卒業論文の執筆に至る学びの過程で、国際関係学に関する幅広い知識、思考力、分析力、そして提案力を身につけることができます。
本学部は、ベルリンの壁崩壊の前年である1988年の設立以来、日本における国際関係学の先駆けとして発展してきました。外国の大学との交流も盛んで、多数の留学生の受け入れや派遣は本学部の伝統の一つです。2011年には、日本語で学ぶ従来の国際関係学専攻(IR専攻)に加え、英語で学ぶグローバル・スタディーズ専攻(GS専攻)を新設しました。さらに、2018年にはアメリカン大学・立命館大学双方の国際関係学部で学び、「共同学位」を取得できる国際連携学科(JDプログラム)を設立しました。現在、本学部には、日本人学生と世界約30の国・地域から集まった国際学生が在籍し、日本の美しい古都である京都で交流しながら切磋琢磨しています。
設立以来の37年間で、本学部の卒業生はすでに9000人を超えています。多くの卒業生が、日本と世界各国で、民間企業、公務員、国際機関、研究教育機関、国内外のNPOなど様々な業種で、学部時代の学びをいかして活躍しています。私たちはこれからも、国際関係学の研究と教育を通じて、グローバルな視点を持つ人材の育成に力を注いでまいります。皆さんがこのホームページを通じて立命館大学国際関係学部に関心をもち、私たちとともに国際関係を学び世界へ羽ばたく第一歩を踏み出すことを願っています。
出版物
「立命館国際研究」および 「Ritsumeikan Annual Review of International Studies(RARIS)」、「Working Paper Series」、「国際関係論集」は立命館大学国際関係学会が発行しています。掲載論文の著作権は立命館大学国際関係学会及び執筆者に帰属しています。これらの出版物は全て、著作権法により保護されており、これら掲載事項の無許可の転載を禁止します。論文引用の際は著作権法に従ってください。
立命館国際研究
立命館国際関係論集
Ritsumeikan Annual Review of International Studies(RARIS)
立命館大学国際関係学会員の教員・院生による英文の研究成果を収録するジャーナル。論説、研究ノート、書評等を掲載。2002年創刊。年1回発行。
Working paper series
立命館大学国際関係学会の教員・院生によるWorking Paper。基礎的・学術的最先端の研究成果をとりまとめ、これを迅速に公表することにより、国内外の研究者等からの幅広いコメントを受けることを目的に随時発行。