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ゲスト講義実施報告(編集者 早川タダノリ様)
「日本文化・社会論」(担当教員:山口智美先生)の授業にて、編集者の早川タダノリ様をゲスト講師としてお招きし講義を行っていただきました。
テーマは「『日本スゴイ』とクールジャパン」。
戦前の出版界では「日本スゴイ」として描く愛国本が洪水のように押し寄せており、「日本の偉さ」ネタが盛大に取り上げられていたことがまず紹介されました。そして、現代の「日本スゴイ」現象のメディアでの展開について、早川先生が収集されたさまざまな資料を分析しながら紹介されました。
現代の「日本スゴイ」現象は、最初はテレビが中心となり、それが書籍、雑誌などに拡散していったことや、コロナ禍や東京五輪を経て、現在は下火になっているという経緯の解説がありました。そして、「日本スゴイ」現象は日本政府が推進してきた「クールジャパン」政策とシンクロして推し進められてきたことや、2025年の大阪・関西万博が政府により「クールジャパンを世界に向けて発信する絶好のチャンス」と見なされているといった
政治的側面についても紹介されました。
こうした一連の現代の「日本スゴイ」現象や言説、政府主導の「クールジャパン」政策などについて、歴史的文脈や政治性を考察しつつクリティカルに分析することの重要性が伝わる授業をしていただきました。
出席した学生からは普段、なんとなくメディアで見る「日本スゴイ」言説をあまり考えず受容してしまってきたが、早川先生のお話から、その問題点を考えさせられたという意見が多数ありました。