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ゲスト講義実施報告(筑摩書房 取締役編集局長 伊藤大五郎様)

「プロフェッショナル・ワークショップ(メディア)」(担当教員:白戸 圭一先生)の授業にて筑摩書房 取締役編集局長の伊藤大五郎様をお招きし、講義をしていただきました。
今回の授業は公開授業としたため、プロフェッショナルワークショップ(メディア)の受講生のみならず、出版業界に関心のある受講生外の学生らも聴講しました。

ゲストスピーカー(6.6伊藤様)

伊藤氏の講演に先立ち、本授業担当者の白戸から受講生に対し、ゲストの伊藤氏がこれまでに白戸が執筆した書籍の編集を3度にわたって担当した優れたベテランの書籍編集者であることを紹介しました。

伊藤氏は講義冒頭で、出版業界の現状について説明しました。出版物の売上高のピークは1990年代半ばであり、紙の雑誌の販売数が近年激減している一方、コミックを中心とする電子書籍の売り上げが急増しているために、2010年代に入って以降の出版物の総売り上げ額はほぼ横ばい状態であるといいます。

続いて伊藤氏は編集者の仕事について、自らが編集したいくつかの書籍を例に挙げながら、丹念に説明いただきました。とりわけ、どのような書籍を作りたいかのテーマ設定と、筆者の発掘が重要であるとの説明は興味深く、学生らは熱心にノートを取っていました。
実際の編集作業で使用した書籍の初校ゲラを示しながら、編集者が筆者とのやり取りを通して本を作り上げていく過程を紹介し、学生たちに編集や校正の仕事の面白さを伝えました。

講義の最後に伊藤氏は、出版社はテレビ局や新聞社に比べて規模が小さく、新卒者の採用が少ないことから、就職産業や大学のキャリアセンターを利用した一般的な就職活動では入社が難しく、個人的人脈の開拓や中途入社を前提とすることが大切であると述べました。
「編集者に必要なことは、よく本を読んでいることだけ。本を作りたいという思いがあれば、新卒で出版社に入るのではなく、むしろ様々な社会人としての経験があった方がプラスになることが多い」という伊藤氏の話は、学生たちに強い印象を残したと思われます。
 
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