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ゲスト講義実施報告(国連広報センター所長 根本かおる様)

「国際連合入門」(担当教員:石川 幸子)の授業にて、国連広報センター所長の根本かおるさんを講師としてお招きし、国連の理念から持続可能な開発目標(SDGs)に至るまで、国連の大局から幅広い分野をカバーするご講演をいただいた。

ゲストスピーカー(6.13根本様)

ゲスト講師としてお招きする講師の大半は、各国際機関の業務内容を中心に講演を行う中、国連の存在意義について学生に考えさせる講義は、創設から80年となる現在の国連の状況に鑑みて大変タイムリーかつ貴重なものであった。

まず、講演の冒頭で、根本さんは学生たちに「国連と聞いて何を思うか」と問い、国連憲章の前文を取り上げたビデオを見せた。国連は、平和と安全保障、人権と人道支援、並びに持続可能な開発という3つの大きなテーマを抱えており、「国連が機能していないと言うときは、国連のどの部分が機能していないのかを考えるべき」と学生たちを諭した。

次に、ご自身が大学卒業後にどのような経緯でUNHCRに就職することになったかについて、ジョークを交えながら語り、「当たって砕けろ、失うものはない。」との根本鉄則なるものを学生たちに伝授し、鼓舞した。国連で勤務するために重要なコミュニケーションについては、「3つのW」(What, Why Care, and What now)の重要性を説いた。

ゲストスピーカー(6.13根本様)2

SDGsについては、MDGsの後継として、MDGsで達成されなかった部分(特に途上国がG20 の国々の発展の陰で影響を受けて来た気候変動など)に焦点を当てるのみならず、2030までにどのような世界を作り出したいのかを考えるバックキャスティング方式で意欲的な17のゴールを創設した。SDGsの特徴は、普遍性(途上国のみならず先進国も努力すべし)、統合性(経済、環境、社会)、並びに包摂性(誰一人取り残さない)という3点にある。女子教育の重要性については、国連総会で行われた「マララ演説」の動画を見せながら、若者たちが将来を見据えて行動を起こすことの重要性を説いた。

また、SDGsの促進には、「脱タコつぼ化」が重要であり、多様な社会の担い手を意識して繋いでいくことに腐心してきたとのご自身の経験についても触れられた。現在、トランプ政権下で国際協力予算が大幅に削られていく中、国連は、ゲームチェンジャーになりうるものに特化して資金を投下することを推奨している。人類の未来は、今後10年の私たちの行動で決まるとの言葉で講演を締めくくった。

学生たちからは、安保理改革、ジェンダー平等などについて質問が出され、2024年の未来サミット以降、積極的に国連改革を進める機運が高まっているとのお話があった。

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