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ゲスト講義実施報告「国際犯罪と警察の国際協力」(元警察庁:世取山 茂様)

「プロフェッショナル・ワークショップ」(担当教員:石川 幸子)にて、「国際犯罪と警察の国際協力」について、元警察庁で国際犯罪業務及び国際協力に携わってこられた、世取山茂氏をお招きし、講義を依頼した。

ゲストスピーカー(6.20世取山さん)1

まず、恒例の質問として、警視庁と警察庁の違いについて学生たちに尋ねた。今回は完璧に両者の違いを説明できる学生がいたことに世取山氏も驚いた様子であった。
「警視庁」は、東京都の警察業務を行う一方で、「警察庁」は国の機関であり、国家公務員となる。警察庁による国際業務は、外国捜査機関との連絡・調整・交渉と、国際協力の2分野に分類されるとのこと。世取山氏からは、自らが関与した国際業務について具体的かつ丁寧に説明があったので、普段、報道だけでは分からない細部の情報と共に、警察がどのように動くのかについても理解が促進した講義であった。

外国捜査機関との連絡・調整・交渉の分野では、リビア政府によるパンアメリカン航空103便爆破事件について触れ、日本人も同乗していたことから国際共助要請を出したという話から、天皇在位60周年記念金貨偽造事件についても、各国の調査機関との連携を行った。
それに続き、フィリピン航空434便爆破事件、拳銃密輸入事件、インターポールと協力して行ったオペレーション・パンゲア(模造・違法医薬品の取り締まり)、並びに覚醒剤密輸入事件など、多くの事例が紹介された。

ゲストスピーカー(6.20世取山さん)2

国際協力の分野では、東チモールでの国連PKO(UNMIT)に参加した際には、助言・指導・監視が業務であったため(日本のみがこのような特殊なマンデートを有しているとのこと)、PKOのトップや東チモール政府関係者への助言が主な業務であったとのこと。
政府開発援助でフィリピン国家警察犯罪対応能力向上プログラムでは、指紋による調査技術の向上等について携わってきたとの説明があった。

授業内ではグループディスカッションも行い、トピックは「日本の警察の国際協力の特徴は何か?(優れた展、及び改善すべき点は何か?)。日本に求められている国際協力とはどのようなものであるか?」であった。

学生からは、何故、キャリアとして警察庁を選んだのか?というプライベートな質問から、国外犯の処罰について、サイバー攻撃への対応など、数多くの質問が出され、1つ1つ丁寧に対応いただいた。