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ゲスト講義実施報告(JICA:橋本 敬市様)
「専門演習」(担当教員:渡邉 松男生)の授業にて国際協力機構(JICA)専門員の橋本 敬市様をお招きし、講義をしていただきました。
まず橋本さんが現在取り組んでいるコソボとウクライナの偽情報対策や、ウクライナ情勢とバルカン半島の歴史的背景が導入として紹介されました。ロシアがウクライナから国際社会の注意を逸らすためにバルカン地域に傭兵を送り込み、不安定化を図っている状態が導入として話されました。ロシアが情報操作によってウクライナ侵攻を正当化する言説を流布し、ウクライナのNATO加盟を阻止する企図が披露されました。
次に、ユーゴスラビアの歴史とその崩壊について説明されました。旧ユーゴスラビアは民族間の対立が深まり1990年代に内戦が勃発したところ、特にセルビア人、クロアチア人、ボスニア人の間の武力対立が激化し、国際社会が介入することになりました。ボスニア紛争にはNATOとして史上初めて武力介入し、セルビア軍を空爆することで紛争を停止した。だが、その後のデイトン和平合意がボスニアの政治的機能不全を招いたと言わざるを得ません。
デイトン合意の付属文書であるボスニアの憲法が事実上米国によって作成されましたが、各民族に付与された拒否権があるために国会が機能しない状況が続いていると指摘されました。また、上級代表事務所を設置し強権(ボンパワー)を持ってボスニアの政治を管理していますが、これが非民主的であるとの批判もあります。この国家の機能不全により、ボスニアの若者は将来に希望を持てず、国外に流出している状況が続いています。
講義後は、ボンパワーと国の民主的プロセスへの弊害、民族和解における教育の実践上の課題について学生から質問が出されました。