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ゲスト講義実施報告(弁護士 上瀧 浩子様)
「専門演習」(担当教員:山口 智美)では、日本社会・文化に関する多様な課題を取り上げています。本ゼミ初めてのゲストスピーカーとして、京都弁護士会所属の上瀧浩子弁護士をお招きし、「ヘイトと闘う」をテーマにお話しいただきました。
講義ではまず、上瀧先生がこれまで弁護士として関わってこられた「京都朝鮮学校襲撃事件」「徳島県教職員組合襲撃事件」「李信恵氏複合差別事件」などの事件について、その経緯についてお話しいただきました。そして、これらの事件において、具体的にどのようなヘイト攻撃が行われたのか、また裁判闘争にどのような社会的意義があったのかについて詳しい解説がありました。
特に上瀧先生が強調されたのは、レイシズムとセクシズムの交錯という問題であり、在日女性をはじめとするマイノリティ女性がヘイトの標的とされやすい構造についてです。また、ヘイトに対する抗議行動であるカウンター運動の経緯やその意義についても解説がありました。
「ウトロ放火事件」や「コリア国際学園放火事件」など、近年の深刻なヘイトクライムについて、さらには選挙を利用したヘイトスピーチやSNS上での差別的言動の広がりや、現在広がっている「日本人ファースト」といった排外主義的言説の問題への言及もありました。
学生たちにとっては、京都朝鮮学校襲撃事件やウトロ放火事件のような近隣の地域で起きた出来事であっても、今回初めて知る内容も多かったという声が多く聞かれ、マイノリティへのヘイトに対する闘いについて学び、考えることができた貴重な機会となりました。
排外主義が強まる現在の日本において、レイシズムやセクシズムをめぐる歴史や現状について学び、差別に反対していくことの重要性を再認識することができました。