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ゲスト講義実施報告(創価大学文学部 倉橋 耕平 准教授)
2025年春学期の「日本文化・社会論」(担当教員:山口 智美)最後の授業日に、メディア研究者の倉橋耕平先生をお迎えし、「ネット右翼再考〜背景から現在へ」と題したゲスト講義を実施いただきました。
講義ではまず、「ネット右翼とはどんな人たちなのか?」という問いから始まりました。
ステレオタイプのイメージとは異なり、実際には40代以上の中高年層が中心であり、中でも経営者や自営業者に多いという調査データが紹介され、受講学生からは新しい発見だったという声が多くありました。
続いて、ネット右翼を支える「メディア文化」に焦点があてられました。1990年代の歴史修正主義的なメディアキャンペーンと、インターネット文化が結びつく中で、ネット右翼の特徴が形成されてきたことが説明されました。たとえば、アマチュア的な発信と商業主義の融合、「ディベート」や「論破」の重視、マンガや論壇を通じた“参加型文化”と“集合知”の形成、そして朝日新聞への強い敵視などが挙げられました。
また、「反マスメディア」であることや、「普通の日本人」という自己イメージ、さらには陰謀論的な言説が広がっている背景についても丁寧にご解説いただきました。
最後にインターネットで支持を集める政党や政治勢力が、どのような文化やコミュニケーション戦略を用いているのかという問いを倉橋先生が学生に投げかけ、講義は終わりました。学生はそれぞれ、課題の中でその問いへの答えを考えることとなりました。
今回の講義は、ネット社会と現代政治、メディア文化の関係や、排外主義をめぐる現状を考えるうえで、非常に多くの学びと刺激を与えてくれる貴重な機会となりました。