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ゲスト講演会:地域にねざした自然エネルギーとものづくり
2020年12月2日 専門演習(林ゼミ)において、特定非営利活動法人 地域再生機構 副理事長、平野 彰秀氏によるゲスト講義を実施しました。
講義では「地域にねざした自然エネルギーとものづくり」と題して、岐阜県の限界集落・石徹白(いとしろ)での、小水力発電による地域活性化への取り組みをご紹介いただきました。集落のほぼ全戸が事業に出資することで住民自治の意識が高まったこと、売電収入で地域の振興事業(農産物の加工など)を支援できたこと、水車の見学が子育て世代の移住のきっかけになったことなど、温暖化対策以外の様々な便益がもたらされたこと、再生可能エネルギーは、自分たちの手で暮らしをつくること、つまり、ゆるがぬ地域とゆるがぬ暮らしを実現する上で、一つの重要な手段になることを教えていただきました。
今年度はコロナ禍のため、ほとんどの学生が現地調査を断念せざるを得なかったものの、オンラインで現場の話しを聞くことができ、刺激を受けることができました。
<参加した学生からの感想>
「平野さんのお話を伺い、地に足をつけ、その土地に住んでおられる方々と暮らしを共に創っていく、その姿勢がとても心に響きました。現在、再エネについての卒業論文を執筆中なのですが、コロナ禍で現地に訪れることができず、物足りなさを感じていました。そのため今回、貴重な機会をいただき嬉しかったです。何事も一人の情熱から始まるのだと、出会いを通じて、改めて感じました。」
「平野さんは、理論や学術的な地域起こしや再生可能エネルギーの導入の方法だけではなく、自身の経験に基づいて、地域住民の方の反対や反応の変化等も織り交ぜてお話をしてくださったので、実際に行動を起こす際には、教科書通りにはいかないのだということを理解することができました。しかしながら、困難なことばかりではなく、その地域で古来から受け継がれてきたことを再生するというイベントや祭りの開催といった従来の地域活性化とは異なる独創性や楽しみなどもあるということも教えてくださいました。そして、何より心に残ったことは、実際に行動することの重要性を教えてくださったことです。」
「平野氏のご講演の中で、まちづくり×環境問題の取り組みの中で小水力発電事業に行き着いたことや、地域行政との連携を行うことで内部及び外部のネットワークづくりを行ったことなど、ボトムアップ型の小水力発電事業の経緯をお聞かせ頂いた。特に興味深かったのは、外部企業から大きな発電所建設の依頼が来た際、断ったというエピソードである。単に発電をすれば良いということではなく、地域住民の主体性が一番大事であるということを学ぶことができた。また、自然に囲まれて過ごされたご自身の原体験に基づき、子供たちのために自然を残そうと、現場で自らやっていくプレーヤーとしての立場を選択されたと仰っており、そういった何か強いモチベーションというものも重要であるということも学ぶことができた。今期のゼミ活動の一環として、『地域分散型エネルギー』に関する輪読を行っていたが、実際に現場で携わっている平野氏のご講演を聞くことで、より深い学びとなった。」
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