TOPICS

ゲスト講義実施報告(JICA ガバナンス・平和構築部 平和構築室 室長:室谷龍太郎様)

専門演習にて独立行政法人国際協力機構(JICA)から平和構築室長の室谷龍太郎氏をお招きして、開発援助による平和構築支援について講義を行っていただいた。

まず、平和には消極的平和と積極的平和があり、開発援助は、積極的平和を達成するために実施されるという前提について確認を行った後、「平和構築」という言葉の由来、及び定義について説明していただいた。90年代の冷戦終焉後に開始されたJICAの平和構築支援は、紛争終結後の復興支援に限定されていたが、近年では紛争の長期化を受けて、紛争中の国・地域にも入っていき、人道支援が展開されている最中にも開発援助が実施されているという状況が生まれていることを学んだ。また、室谷氏が赴任していた、ボスニア・ヘルツェゴビナやルワンダの話を聞く機会にも恵まれ、開発援助の臨場感が伝わってくる講義であった。

プロフェッショナル・ワークショップ(公務クラス)では、JICAによる政府開発援助(ODA)の概要からに平和構築支援についてまで幅広く講義を行っていただいた。JICAの歴史、JICAのビジョンとSDGs、並びに地域別で見た事業規模等についてお話頂いた後、協力メニュー(技術協力、有償資金協力、無償資金協力)、その他民間連携、市民参加協力、国際緊急援助隊など、多岐にわたる分野での協力を行っている現状が説明された。ODAにかかる質疑応答の後、トピックは平和構築支援に移った。冷戦終焉後、暴力的紛争は国家間紛争から国内紛争に移行するのみならず、再発の頻度が高いこと、及び紛争の長期化によって、人道援助と開発援助が同時期に行われている状況につき説明があった。また、最近では国内紛争が地域に拡大していく傾向についても言及があった。ネパールやウガンダなど、現場での平和構築支援についての話は説得力があった。