TOPICS

ゲスト講義実施報告(毎日新聞大阪本社 写真部長:鵜塚健様)

 プロフェッショナル・ワークショップ(ジャーナリズムクラス:白戸圭一先生担当)にて、毎日新聞大阪本社の鵜塚 健様をゲスト講師としてお招きしました。

 授業の冒頭、本授業担当者の白戸先生から受講生に対し、ゲストの鵜塚氏の経歴について、イランのテヘラン特派員などを務めた後、毎日新聞社のデジタル報道部門のデスクであったことを紹介しました。
 鵜塚氏は、インターネットの普及によって新聞購読者が近年激減している状況について統計を用いながら説明し、もはや紙の新聞を発行することに依存した経営は限界であり、デジタル(オンライン)によるニュース配信が不可避であることを強調しました。
 そのうえで鵜塚氏は、デジタルへの業態変革に伴い、新聞記者の働き方、何がニュースであるかを決める価値判断基準、原稿の書き方や記事の文体・長さ等にまで変化が押し寄せていることを、様々な報道事例を紹介しながら受講学生に説明しました。
 例えば、紙の新聞の時代であれば、全国紙の地方版の記事は該当する都道府県内でのみ読むことが可能であり、記者の側もその前提で記事を執筆してきました。しかし、全ての記事がインターネットで配信される時代では、記事に都道府県境はなく、全国のすべての人が読むことが可能になります。鵜塚氏によると、このため取材して記事を書く側の記者も、従来の価値観や書き方を大きく変える必要に迫られており、そうした変化の中で、若い記者が様々な事象を取材して多数の人々に発信できる機会が増大しているといいます。
 鵜塚氏は「新聞業界は年功序列や熾烈な業界内競争といった旧い体質が蔓延した業界であったが、デジタル中心時代に移行したことにより、深い取材や斬新な視点に基づいて執筆された本当に面白い記事であれば、若い記者でも多数の読者を獲得できるようになっている。新聞業界の衰退が言われる時代になっているが、ジャーナリストとしての仕事のやり甲斐や可能性はむしろたかまっており、皆さんにもぜひ挑戦して欲しい」と学生たちによびかけました。