留学体験者の声

小坂 朋也

留学先
広西師範大学(桂林)
2008年2月~2008年9月
上海財経大学(上海)
2009年2月~2010年1月

留学体験レポ

「ほら、遠慮しないで」と、春節のお年玉をくれたホームステイ先のお母さん。

「もう朋也は家族だから」と、(中国人の)友達の高校の同窓会に出席した時に言ってくれたその友人たち。「日本が好き」「将来は日本に行きたい」「日本人の女の子ってみんな可愛いでしょ?」

中国人は、日本人のことが嫌い。そんなイメージがあった。でも実際に行ってみると、まるで違った。たくさんの人が日本のことを聞いてくる。日本に行くために働く社会人、日本語を勉強する学生。自分の思い描いていた中国人像、中国での生活、そんなものは最初の1週間で崩れ去った。

一瞬で過ぎた7ヶ月間。学校の宿題なんてやらなかった。授業も何度もサボって中国人の友人と旅行に行った。1日も欠かさず遊び続けた。それが中国語習得の1番の近道だと思ったから。


「上海でも頑張ってね」
「上海まで会いに行くから」
桂林(ケイリン)で半年間過ごした後、上海に1年間留学することを決めた。語学を勉強するだけでなく、より専門的な分野を勉強するため。また、より厳しい環境に身を置き自分自身の力で生活するため。

上海に渡り、1週間で大学の寮を出た。部屋探しのため、毎日何軒も不動産会社を訪ねて交渉の毎日。経験のない交渉、聞き慣れない専門用語。騙されそうになったこともある。
誰も助けてくれない。完全に自分独り。何度も桂林を想った。ずっと桂林にいたらどれほど楽か。でもこれは自分が選んだ道。

やっとのことで満足のいく部屋を見つけた。上海で、学校の生活以外の何か活動をしたい。ここでしかできない何かを。そう思っていた矢先に、中国人の小学生160人に日本語を教えてみないかという話が偶然やってきた。

日本語教師。
運よく得ることのできた仕事。
相手は日本語どころか日本人すら見たことのないような子供たち。いちから彼らと信頼関係を築くことから始めた。日本語だけでなく日本の文化まで、彼らが少しでも日本に興味を持ってくれるよう、毎日が必死だった。

帰国する間際。
学級長の女の子が大きなぬいぐるみと、クラス全員のメッセージが書かれたカードをくれた。
「先生、いままでありがとう」


留学で手に入るものは語学力だけではありません。
自分の行動次第では、一生の糧になるような体験もできます。
私自身、就職活動を最近終えたばかりですが、面接で話すことのほとんどは留学から得たことを話していました。
もちろん、中国人の友人ができるだけではありません。一緒に授業を受けるのは世界各国から集まった留学生です。彼らとの交流を通して、様々な文化に触れることもできます。ちなみに私は留学中にできた友人を訪ねるためにベトナム・韓国にも行きました。留学中にできた友人とは、数年経った今でも連絡を取り合っています。
語学力以上に大切なものを得ることができる。それが留学です。少しでも迷っているのなら、是非行って欲しい、と私は思います。