留学体験者の声

劉 暢

留学先
武漢大学
2012年9月~2013年7月

ひとこと

この留学は私にとって、本来の目的を超えて意味のあるものになりました。交流を通して気持ち的に辛いこともありましたが、そこで苦しめたことがまた留学を思いっきり楽しめた思い出の1つとして残っています。留学に行けたことを心から嬉しく思い、向こうで出会って言葉をくださった方に感謝の気持です。

留学したきっかけは?

●中国人なのに中国語が話せないというコンプレックスを無くすため
●修士論文を書くにあたっての資料集め

小さい頃から日本に住んでいる私は、いつの間にか中国語が話せなくなってしまい、そのくせに中国国籍から離れる事は考えておらず、コンプレックスとして抱えてきました。将来のことを考えた時、中国と日本の間で育ってきたという強みを大切にしたいし、中国の親戚とも遠縁になりたくありませんでした。大学院修士課程の二年生ということで、もし留学となると卒業を1年延ばさなければいけないので悩みましたが、今が自分のコンプレックスを解消する最後のチャンスでもあると思い、また中国に行く事は修士論文を書くにあたってもいいことだと思い、2次募集に申し込みました。

どんな方法で行きましたか?

1番身近にあり、プログラムの課程も分かりやすいと感じたので、国際教育センターから1年間の交換留学プログラムを利用して行きました。

どんな準備をしましたか?

●書類提出や手続き
ガイダンスに出席し、ここで留学の概要や必要な手続き等を教えて頂きます。提出が必要な書類や手続きが多いです。1回でも欠席すると、大切な情報を聞きそびれてしまうので、できるだけガイダンスへは参加をしたほうがよいかと思います。あとは立命館の国際教育センターの窓口や文学部事務室を行ったり来たりで、わからないことはすぐ質問し、教えていただきました。

●情報収集
国際教育センターにある以前同じ大学に留学されたことのある方の報告書を読みイメージを作っていました。また、直接先輩からどのような様子であったのか聞いたり、授業に関しては報告書や留学先の大学のHPを見ていました。また同じ大学に行かれていた先輩だけではなく、外国に留学経験がある先輩にお話を聞き、必要なものや気をつけるべきことなどを教わりました。

●留学先の大学との連絡
留学の挨拶も兼ねて、報告書やガイダンスだけではわからないこともいくつかあったので、事前に留学先の大学へメール等で連絡をしました。寮の手配などの話もここでしましたが、実際着いてみると担当者が変わっていてまたゼロからやることになりました。

●語学学習
手元にある高校・大学で習った中国語授業の教科書を読み直したり、中国のテレビを見たりしていました。

●荷造り
必要書類一式、パソコン、電子辞書、カメラ、シャンプー、コンディショナー、洗顔剤、化粧品、薬、衣類、お金、名刺、京都の観光ガイドブック、筆記用具、お気に入りの本、お友達になった方へのお土産に買った京都のしおり、修士論文を書くにあたっての最低限の資料、中国語の単語集など

衣類は先輩のアドバイス通り、カーディガンなど羽織ものを多く持って行きました。スーパーなどでほとんど物が揃うとはいえ、使い慣れたものがいいのでシャンプー類・化粧品や薬は多めに持って行きました。
当初持っていかなかったのですが、消臭スプレーや消臭剤、蚊取り線香などは後々必要になり、送ってもらいました。またオーディオ製品は部屋でのパーティーなどに役に立ちましたが、現地でも買えるので持っていかなくてもいいかもしれません。
電圧や料金のこともあるので、携帯電話や電化製品は現地で買うのがいいかと思います。向こうのトイレにはティッシュが無いところも多いので、ティッシュは必需品ですが、向こうについてから買うので大丈夫です。

平均的な1日の生活を教えてください。

06:30       起床
06:30~07:45  身支度・朝食
08:00~09:35  1時間目(90分授業・内5分休憩)
09:35~09:50  15分休憩
09:50~11:25  2時間目(90分授業・内5分休憩)
11:25~14:05  お昼休み お友達とご飯したり、一度家に帰りお昼寝したり家のことをしたりします。
14:05~15:50  3時間目の時間ですが、授業が無いときは自分の時間として使います。
15:50~17:25  4時間目(90分授業・内5分休憩)
17:25~20:00  夕食と食後の片付けやウォーキングの準備。
20:00~21:30  お友達と一緒にウォーキング
21:30~22:30  帰宅・お風呂
22:30~24:30  宿題・復習・予習
24:30~      翌日の準備など

授業は1年の交換留学生だと、自分で何を取るか決められたので、1日授業が無いときもありました。また夜に日本人と中国人学生での交流会が週1で開かれていたり、他大学での日本語ゼミへ参加したり、または空いた時間にアルバイトをしたりと、現地での人との出会いや御縁次第で授業意外の時間は本当に自由に、たくさんのことを経験することができます。週末・休暇には買い物・観光や旅行へ行ったり、現地の中国人に遊びに連れて行ってもらったりしました。カフェで勉強というのもなかなか集中できてよかったです。また、空いた時間には現地のドリンク屋さんに入り浸り、マスター達とお話をするというのもよくしていました。時間の使い方は自分次第なので、やりたいことを思いっきりできると思います。

一番困ったことは何ですか?

●虫が多いこと
武漢大学は後ろは山前は湖という立地で、また学校内の衛生も日本ほどではないので、とにかく虫が多く、一時期は足の長い蜘蛛7匹と同居し、時々小さなゴキブリやムカデや見知らぬ虫を退治するという生活をしていました。また4月と10月には湖からの虫で壁などの白い部分は覆われ、部屋の窓は絶対開けられないということもありました。

●到着時の手続き等
日本国籍の方は事前に現地大学からそこにいる日本人留学生の先輩方へ連絡が行き、先輩方が手続きや最低限の準備のサポートをしてくださるのですが、私は国籍の事もあり、伝わっていませんでした。基本手続きはいろいろな所に行かされます。英語もできないので、最初の手続きや準備は不安の中ででした。

一番楽しかったことは何ですか?

●ハルピン・亜布力への旅行
留学中は折角中国にいるので、国内をたくさん旅行したいという思いがありました。その中でも2月に行ったハルピン・亜布力の旅行は、寝台・鈍行で約30時間かけマイナス30度の世界へ行きました。雪や氷の世界はとても綺麗で、また泊まったペンションのオーナーさんとみんなで日中関係の問題を含め、いろんな事を語り合えたことはいい経験となりました。

●学校で開催された国際文化祭
武漢大学では各国が出店をする国際文化祭が開かれます。日本の高校でやる文化祭のようにみんなで力を合わせてつくり上げるので、忙しくて大変ですが、とても充実した楽しい時間を過ごしました。

一番おいしかったものは何?

●豆皮(ドウピー)
餃子などの小吃の1つで、ご飯の中にザーサイなどの具がまざっており、それを鉄板で焼いたものです。味付けもちょうどよく、1ピースそんなに大きくないので、2つくらい食べたくなってしまいます。個人的には“戸部巻”という小吃街の中で食べた豆皮が一番美味しかったです。

●豆花(ドウファ)
豆乳を固めた杏仁豆腐のようなもので、亀ゼリーや落花生・あずき・芋団子・などをトッピングし、豆乳とシロップをかけたものです。地域によってはしょっぱいのが主流の所もありますが、武漢のは甘くて、よく食後のデザートとして食べていました。

一番まずかったものは?

●白酒(バイジュウ)
中国のお酒で、アルコール度数が50度くらいあるものです。現地の方とお酒を飲むと出されることがよくあったのですが、匂いも味もキツイので、慣れるのには時間がかかりました。

帰国後に困ったことはありますか?

特にありません。

あなたが留学前と変わったのはどんな点ですか?

●“自分”が少し分かるようになったこと。
行く前の私は自分の短所も長所もぼやけた中でただ無難に生活していたと思います。向こうでたくさんの人との交流を通し、刺激をもらうことでコンプレックスとも向き合え、自分というものを考えなおすきっかけが作れました。自分の考えを持ち、人と交流できることは本当に幸せな事だと感じています。

●語学力が上がったこと。
相変わらず、一言話すとすぐ外国の人だと思われる中国語ではありますが、コンプレックスから話したがらなかった中国語を、今は話すのが楽しいと思えることも変わった点です。目標にしていたHSK6級もなんとかとることができました。

最後に、中国留学を考えている人に何かひとことお願いします。

日中関係のこともあり、中国に対して良くないイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、中国も1つの国です。受け入れがたいこともあれば、日本に帰りたくないと思わせる何かもあります。できることなら偏見を持たず、実際の中国はどういうものかを現地で感じて、考えて、見つけてほしいです。人との出会いを大切に、自分に正直に、やりたいことに思い切って挑戦していただきたいです。中国はいろんな可能性を見つけ、その思い切りができる国だと思います。

photo

  • 留学生学院
  • クラスメイト
  • 武漢大学正門
  • 野外授業の様子
  • 武術授業の様子
  • 語学学校でちらし寿司作り実践講座
  • いきつけの奶茶店
  • 安くて美味しいごはん屋さん
  • いつも野菜を買う所
  • 漢街
  • 豆花
  • 戸部巷