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MOTとは

MOTとは

MOTは「技術経営」と訳され、Management of TechnologyおよびTechnology Managementを表しています。技術と経営を結びつけてイノベーションを生み出す学問であり、単に新しい技術を開発するだけでなく、それらを社会や市場に届け、価値を最大化するプロセスを総合的に扱います。これには、技術だけでなく、人や組織、ビジネスモデル、さらには文化や社会全体を視野に入れた包括的なアプローチが求められます。

たとえば、スマートフォンや電気自動車の普及、AI技術を使ったサービスの進化は、技術だけでは実現しません。それらを「どう使うか」「どんな体験を提供するか」をデザインし、人々の生活に取り入れるための戦略が必要です。MOTは、この「技術を未来に活かす方法」を学び、実践するための学問です。

立命館MOTが提供する「新世代MOT」の目指すもの

企業が持続的に成長し発展するためには、競争優位性を高め、それを長期間にわたり維持することが欠かせません。「立命館イノベーションスクール」として新たにスタートする立命館MOTは、技術と経営を融合させた学びを通じて、次世代のリーダーを育成する「新世代MOT」を提案します。

イノベーションを収益化し、持続可能な価値を創出

かつては、優れた技術や製品を開発すれば自然と収益が伴う時代もありましたが、今日では技術や製品そのものだけでは不十分です。イノベーションの成功には、技術を基盤に置いた新たな価値を市場で実現し、収益化につなげるプロセスが必要です

収益化の観点では、以下の点を重視します。

  • 技術開発から事業化に至るまでのプロセスを体系的に学び、収益モデルの設計スキルを磨く。
  • ケーススタディや企業実習を通じて、現実のビジネス課題を実践的に解決する方法論を習得。

ライフサイクルを見据えた収益の持続化

製品やサービスが市場で受け入れられるだけでなく、その競争優位を維持することが次の課題です。「新世代MOT」に必要な要素として、技術のライフサイクルを見据え、長期的な収益維持を実現するための戦略を学びます。

学びのコンテンツ(例)
  • サービスや事業を進化させ続けるための価値創造のマネジメント手法。
  • 知的財産の活用やライセンス供与、提携戦略の実践。

ビジネスモデルの創出

単なる新製品開発ではなく、独自のビジネスモデルを構築することが、今日のグローバル市場で競争力を維持するためには有用です。「新世代MOT」では、ビジネスモデル設計やサービスイノベーション、プラットフォーム構築にも重点を置いていきます。

具体的な学びの内容
  • 「デザイン思考とアート思考」を通じて、従来の枠組みにとらわれない発想力を養成。
  • サービスイノベーションや新市場創出のためのフューチャープレナーシップ(未来先導系科目群)を実施。

日本のMOTが抱える課題へ対応

多くの日本企業が「優れた技術を持ちながら収益に結びつかない」という問題を抱えています。「新世代MOT」は、技術を単なるイノベーション創出にとどめず、それを持続可能な成長につなげる教育を提供します。

解決を目指す課題
  • 技術開発だけに注力し、収益化に向けた戦略が不足している現状
  • 獲得した競争優位を維持するための長期的なビジネス設計の欠如

立命館MOTが目指す未来

新世代MOTの目標

  • 収益を生む競争力を育成し、長期的なビジネスの成功を支える。
  • 単体の技術イノベーションに留まらず、持続可能なビジネスモデルを同時に創出。
  • デザイン思考やアート思考を活用し、次世代の価値創造を主導する人材を育てる。

「立命館イノベーションスクール」として新たに始動する立命館MOTは、多様な学生と実務家、最先端の理論を結びつけ、未来の技術経営を担うリーダーを育成していきます。「All for innovation, innovation for all」というビジョンのもと、技術とビジネスを結び、社会に変革をもたらします。

具体的には、次のトピックについてのプログラムを展開します。

これらの領域を通じて、立命館大学MOTプログラムは、技術と経営の統合を深め、技術革新を通じて社会や企業の持続的発展に貢献できる人材を育成します。

MOT人材とは?

企業が直面する競争の激化や技術進化の加速に対応するためには、単なる経験やOJT(On-the-Job Training)ではなく、体系的に習得されたテクノロジーマネジメント能力を持つ人材の育成が不可欠です。技術の価値を的確に理解し、それをビジネスの成功に結び付ける能力を備えた次世代のリーダー、すなわち将来のCTO(Chief Technology Officer)やCEO(Chief Executive Officer)候補が求められています。

MOT人材に求められる能力

MOT人材は、高い倫理観を基盤とし、以下の知識やスキルを統合的に活用することで、イノベーションをリードします。

  1. 技術経営戦略
    技術を中核に据えた経営戦略を策定し、企業の競争力を向上
  2. 技術マーケティング
    市場のニーズを把握し、新技術や製品の価値を最大化
  3. テクノロジーファイナンス
    技術開発やプロジェクトに必要な資金調達や収益化戦略を立案
  4. 知的財産戦略
    特許や商標を駆使し、技術の優位性を保ちながら収益を創出
  5. オペレーションズマネジメント
    製品やサービスの開発から市場投入までのプロセスを効率化
  6. 仮説検証と戦略立案
    データ分析や市場予測に基づき、確実性の高い戦略を構築
  7. イノベーション創出
    技術開発、製品・サービス設計、価値創造までを一貫して先導
  8. アントレプレナーシップ(起業家精神)
    新しい価値や市場を創出する主体的な行動力と発想力を涵養

求められるMOT人材の多様な役割

  1. イノベーションをリードする経営者
    技術と経営を統合し、新市場を開拓するリーダー
  2. 経営視点を持つ技術者
    技術者でありながら経営の視点でイノベーションを推進
  3. 知的財産のスペシャリスト
    技術革新を保護し、収益化を支える知財のエキスパート
  4. イノベーション創出を支援するコンサルタント
    技術革新を推進する企業に助言を提供する専門家
  5. 技術系ベンチャーの起業家
    技術を基盤に新たな事業を創出し、社会に新しい価値を提供
  6. 技術系ベンチャーを支援するベンチャーキャピタリスト
    ベンチャー企業の成長を資金面からサポートし、イノベーションを加速
  7. 行政官として政策を策定・実行する人材
    技術政策、産業政策、知財政策を通じて社会全体の技術革新をサポート
  8. 新しい知識を創出する大学人
    教育と研究を通じて次世代の技術経営を支える学術専門家

MOT人材の目指す未来

MOT人材は、単なる技術者や経営者ではなく、技術とビジネスの架け橋となる存在です。社会の課題を技術で解決し、新しい市場や価値を創造することで、企業の成長と社会の発展を同時に実現します。立命館イノベーションスクールでは、このようなMOT人材を育成するため、理論と実践を融合したカリキュラムを提供することで、未来をデザインし、社会をリードする力を備えた人材を輩出します。