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【"ものづくりプロセス"のフィールドワーク】ーオムロン京都太陽株式会社 工場見学レポート

2024年11月26日火曜日、京都市の上鳥羽にあるオムロン京都太陽株式会社に見学に伺いました。
オムロン京都太陽株式会社はセンサーなどの制御機器や電子部品、ヘルスケア製品などを手掛けるオムロンと障害者就労支援を推進する社会福祉法人太陽の家の共同出資により設立された会社です。オムロン京都太陽株式会社の企業理念と使命を体感するため、田中邦明先生と院生17名が訪問してきました。

■工場見学のはじまり

京都市営地下鉄と近鉄の乗り入れを同じくする「竹田駅」の西口を降りると、京都市営バスのロータリーがあります。こちらの市バス乗り場で待ち合わせをし、出発します。


バスに乗り込んで出発

坂道のむこうに施設と正面玄関が

バスに十数分ほど揺られ上鳥羽塔ノ森駅で下車。
緩やかな坂道を登っていくとオムロン京都太陽株式会社の正面玄関に到着です。
玄関ではこの度お世話になるオムロン京都太陽株式会社の社員の方々がお出迎えしてくださいました。
先生、そして院生のみなさんとあいさつをした後、見学の説明をしてくださるお部屋へ。


通されたお部屋の扉は大きく左右に開閉するジャバラ式の自動ドアで、しかも開閉方式は手をかざしてセンサーで感知するタイプのもの。
車いす利用者や手足が不自由な人、ある特定の動作が苦手な人にも簡単に操作できるものでした。

今回工場見学の案内を担当してくださる冨安さんからのご挨拶と説明があり、この度の見学がスタートしました。
見学のなかでは「誰もが“イキイキ”と働き続けられる現場を創る」ということを目指す姿として、「人視点」で運営されていることを繰り返し説明してくださっていたのが非常に印象的でした。

■いよいよ工場見学へ


見学人数が多いので2班に分かれます。案内アナウンスがよく聞こえるよう貸しだされたイヤホンを装着し、館内用のスリッパに履き替え入館です。

音にデリケートな人やカメラ視線に敏感な人など、さまざまな特性を持つ人が工場では働いておられます。作業の手が止まりラインが乱れる恐れがあるため、撮影は控えさせていただきました。

■さまざまな工夫に驚き

製品を包装する袋の開閉をサポートする半自動機の導入や、複雑かつ反復する工程を簡易にする仕組み、また物流の入り口である「荷捌室(にさばきしつ)」では動線の把握がしやすいようカラーテープでの色分け、音による間違いのお知らせがあるなど、館内はさまざまな工夫が凝らされていました。
例えば200回も300回も立ったり座ったりと、大変な動作を必要とする作業がありましたが、座ったままでも、車いすのメンバーでも動作の負担を軽減する段ボール送出し機が導入されると、作業効率は格段とアップし体への負担も大幅軽減。
障がい者向けに開発されたものが、障がいが無い人にとっても使いやすくなるという結果が得られたそうです。
「これこそが本来のユニバーサルデザインなのではないでしょうか?」とおっしゃっていたのが印象的です。

■そのほかの工場内のユニバーサルデザイン

『ちょっと置きによる置忘れを防止する その名も"置けない君"』
何かのついでにちょっと棚の上にペンを置いたり鍵を置いたり、無意識のうちにちょっと物を置いてしまいそのまま忘れてしまう。そんな「ちょっと置き」をしてしまうのは、物理的に「ちょっと置き」ができてしまうから。
ならば棚自体をちょっと置けない造りにすればいいという発想です。


フラットな棚上部を三角にし、置いたものがスルッと落ちるデザインに

『オムロン京都太陽工場の床のラインテープはなぜ点線?』


工場などで見られる動線を示す床のラインテープ。度重なる摩擦で劣化が発生してしまう箇所です。このテープ汚れは整理・整頓・清掃を徹底的に実施する製造現場では見過ごせないもの。一本ラインのテープだと、劣化のたびに全取り換えとなり手間もコストもかかります。
ところが点線で貼ったテープなら、汚れた部分だけ貼りかえれば簡単にコストをかけずに修復できるというわけです。

『作業の生産性や進捗を確認するモニターの設置』
紫色や水色、黄緑色などで識別されたグラフが現在の工程を知らせてくれるモニターの説明をしていただきました。色分けにより「いつもと違う状態」をわかりやすく可視化しているそうです。
常に監視されているような環境にあることが心配されますが、「常に状態を見守ってくれることで安心する」という特性を持った人にはしっくりくるシステムなのだと伺いました。
私たちの思い込みを刷新する気づきや工夫こそが、ユニバーサルデザインなんだと勉強になった工場見学体験でした。

■工場見学終了 見学内容をビデオで復習

見学が終わり最初の部屋に戻ると質疑応答の時間が設けられました。
院生から投げかけられるGood Questionと、そちらへの丁寧な受け答えと詳細な説明に「ふうーん」「ほおー」とうなずくシーンがあるなど、非常に和気あいあいとした雰囲気で進んでいきました。


スライドを見ながら丁寧な説明に耳を傾けます

■さいごに 見学を終えて


天皇皇后両陛下行幸啓記念樹

幅をたっぷりと取った施設内の通路

見学スタートからの丁寧な説明や振り返りにより、最初に感じていた少しの緊張感や不安は解消されていきました。正確に知るということの大切さ、可不可、利便と不便を知ることがユニバーサルデザインへの理解になり、何度も対話を重ねることで新しいシステムが生まれ、共存共生の社会につながるということを学ぶことができました。


緑の多い整えられた施設

なにかを生産し社会に還元している、そういう行動は人に誇りを与えるものです。
あらゆる人に機会を作り、社会に対しチャレンジする企業の誇りを見ることができた工場見学体験でした。

今回こちらで知り得たことは生活のそこかしこに起こりうることであり、また今日の学びを日々に生かすヒントも多くあるように思います。

オムロン京都太陽株式会社の社員のみなさま、学びの多い経験をどうもありがとうございました!

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