【"ものづくりプロセス"のフィールドワーク】オムロン京都太陽株式会社レポートー2025年12月16日(火)
MOTの田中邦明教授のフィールドワークとして、9名の大学院生がオムロン京都太陽株式会社の工場を訪問しました。
朝8時50分に近鉄の竹田駅西口に集合、京都市バスに乗り込み工場のある上鳥羽塔ノ森へ向けて出発です。
上鳥羽塔ノ森でバスを降りると目の前がもうオムロン京都太陽株式会社です。
正面玄関へと続く桜並木の坂道を登っていくと、長江豊社長自ら一行をあたたかく迎えてくださいました。
会議室に通していただき、紹介ビデオを見せていただきながら、会社の成り立ちや理念、日々実践されていることなどについて、長江社長から詳しくお話を伺います。
■企業理念
整形外科医であり福祉法人太陽の家を創設した中村裕博士に、立石電機株式会社(現、オムロン株式会社)創業者である立石一真氏が協力する形で、1972年に大分県の別府市にオムロン太陽株式会社が誕生しました。
今回お邪魔したオムロン太陽京都株式会社はその13年後の1985年設立です。
「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲の精神のもと日々の業務に取り組まれています。
■製品
「オムロン」の製品でまず思い浮かぶのは体温計や血圧計ではないでしょうか。
こちらの工場では、そういったヘルスケア商品のほかにも、ソケットやセンサーといった産業機械に使用される電子部品の製造が行われています。
■使命
オムロン太陽京都株式会社が掲げておられる使命は、以下の3つです。
社会的責任の発揮
障がい者雇用という社会的使命を担うにあたって、「できることをやってもらう=できないことは諦める」のではなく、ひとりひとり何ができて何ができないかを洗い出し、「どうすればできるようになるかを考え工夫する」と仰っていたのが大変印象に残りました。
事業的価値の追求
品質管理や納期対応、利益をあげることも重要だと仰っていました。 「できることをやってもらう」のではなく、戦力化を意識し、ひとりひとりを「成果が出せるように育てる」、ひとりひとりが「成果を出せるような効率的配慮をする」ことを目指されています。
ノウハウの提供
長年培ってきたノウハウを他事業者にも提供し、社会全体として障がい者の雇用、活躍がすすむよう協力を惜しまない。 まさに「よりよい社会をつくりましょう」の精神です。
■工場内見学
長江社長のお話のあと、実際に工場の中を見せていただきます。
就業環境の維持に支障が生じないように、工場内での撮影は控えさせていただきました。
効率的な配慮
実際の作業工程を見せていただくと、長江社長が繰り返し仰っていた「どうすればできるようになるか」という課題解決のための配慮・工夫が随所に施されているのがよくわかりました。
例えば、車いすの方や腕を高く持ち上げることが困難な方が手元で箱を組み立てやすいよう段ボールを自動で手元まで送り出す機械、指先の感覚が感じにくい方でも部品の袋詰めを行いやすいよう束になったビニール袋を1枚ずつ取り出して封を開く機械などが、設置されていました。
生産管理
「成果をあげる」という観点から、ひとりひとりの作業台にはその日の作業目標や進捗状況を数字で示す生産管理板があります。このことによって意欲も高まり、効率を意識した作業を行うことができます。
整理・整頓・清掃
工場内で整理・整頓・清掃は大変重要です。
手近なところにちょっと置いたつもりのものが、上にほかのものが積み重なり見えなくなった、とか、置いた場所を忘れてしまった、とかいうことは普段の生活の中でもあることですが、工場内ではそうした紛失を防ぐため、キャビネットの上にあえて傾斜をつけた障害物を置き、ちょい置きができないよう工夫がされていました。
持ち出したファイルを元の場所に戻すための工夫もありました。
ファイルを順番通りに並べると背表紙が連続した図を描くようになっており、使用したファイルを戻すときに場所を間違えると順番がくずれ、図もくずれます。
一目で順番が違うことがわかるようになっています。
その他
床に貼られた導線を示すテープは、摩耗して貼り換える際の手間やコストを減らすため、点線状に貼られていました。
点線状だとはがれた部分だけを貼り換えればすむからです。
■見学を終えて
工場を出たところで記念撮影をし、再び会議室へと向かいます。
途中の通路はかなりゆったりと幅がとられています。
中庭には四季折々の花や実が楽しめるよう植栽が整えられています。
お邪魔したときは、楓が色づき、金柑がかわいらしい実をつけていました。
春には桃や藤が咲くそうです。
■質問・感想
会議室に戻り、学生から長江社長への質問タイムです。
質問と回答
- Q. 作業が遅れ目標に達しない場合はどうしますか?
-
A.翌日に持ち越すこともありますが、他の誰かが助けることもあります。
並んで流れ作業をする場合、人により作業スピードが異なるため遅い人の手元に部品が堆積することがあります。
そうなるとストレスを感じるので、間にほどほどの作業スピードの人を挟んで調整したりもします。 - Q. 社員の教育・研修はどのように行うのですか?
-
A. いくつかの部署で実習を積みます。
この工場であれば障がい者とともに働くとはどういうことかを経験してもらいます。
別途専門知識の研修もあります。 - Q. 不良品の数など他工場との差はありますか?
-
A. ないです。不良品が出ないような仕組みも作っていますし、ひとりひとりが注意もしています。
不便がないようにサポートもしています。 - Q. 障がいのあるなしで研修方法は異なりますか?
-
A. 変わらないです。
ただし、ひとりひとり特性が異なるので、どういう能力開発を行うかはマッチングによります。
共通のもの+特別なものという感じです。 - Q.毎年何人くらい採用するのですか?
-
A. 離職者があれば若い人を補充します。
この工場のノウハウを共有してオムロングループを含む事業者全体で障がい者の雇用、
活躍の場を増やしていきたいです。
感想とコメント
- インクルーシブな環境を作り障がい者にすごく優しい会社だと思い感動しました。 →その感動を忘れず自身の働く場所をよりよくしてください。
- 社憲の精神に感動しました。 →創業者は、もっともよく人を幸せにする人がもっとも幸福になると考えていました。
- 作業者の特性に合わせて機械を改善しているのがすばらしいと思いました。 →「ひとりのためだけになぜ配慮を?」との問いがあった場合には、
就職する際はいい会社を選んでください。
「配慮することでできるようになるならその方がいいじゃないか」と答えています。
■最後に
正面玄関の前でもう一度記念撮影です。
長江社長、オムロン太陽京都株式会社の皆様、
大変貴重なお話を伺い工場を見学させていただき、本当にありがとうございました。
