先端総合学術研究科小川さやか教授が第8回河合隼雄学芸賞を受賞
先端総合学術研究科小川さやか教授が著書『チョンキンマンションのボスは知っているーアングラ経済の人類学』(春秋社、2019年7月)にて、第8回河合隼雄学芸賞を受賞いたしました。
この賞は、一般財団法人 河合隼雄財団が主催し、優れた学術的成果と独創をもとに、様々な世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作に与えられます。選考は1年ごとに行われ、毎年3月からさかのぼって2年の期間内に発表・発行された作品が選考対象とされています。
本書は、香港社会に生きるタンザニア人コミュニティを考察し、香港に移住するタンザニア人たちの半生、既存の制度に期待しない人々によるセーフティネット、信用システム、シェアリング経済など、可能性に満ちた社会を描いています。
受賞理由として、「香港社会のニッチに生きるタンザニア人社会に裸一貫で潜入し、そのクールで愛に溢れたネットワークを描き出し、コロナ以後の人々の生き方に示唆を与える」という点が評価されました。
小川さやか教授のコメント
このたびは思いがけず賞をいただき、たいへん光栄です。香港で紡がれているチョンキンマンションのボスたちの人生は波乱万丈ですが、それを支える独自の経済と社会の成り立ちがあります。彼らの世界の深層を物語性豊かに描き出せていたとしたら、たいへん嬉しく思います。このたびの受賞をはげみに、これからも香港やアフリカ諸国での調査研究に邁進し、文化人類学とアフリカ研究の豊かさをひろく伝えていけたらと思います。