子ども服譲渡会の様子

 2021年10月から、滋賀県湖南市石部にある私設公民館「mame Co-(マメコー)」で、的塲汐音さん(理工学部4回生)が中古の子ども服の譲渡会を実施しています。

 「マメコー」は、飲食店や私設図書館が集まった複合施設で、レンタルスペースとして期間限定で地域のイベントなどが実施されています。併設されたコミュニティカフェ「喫茶マメコー」を毎週水曜日と金曜日にオープンしており、的塲さんは「マメコー」のインターンシップ生としてカフェの運営や湖南市のまちづくり企画に携わっています。今回、カフェの運営と併せて子ども服譲渡会の実施を立案し、石部学区まちづくり協議会の支援を受けて運営を始めました。

 譲渡会では、新生児から身長150cmまでの子ども服の古着を持ち込むことができ、気に入った子ども服をもらい受けることもできます。譲渡会を活用した人には、「“もらう”と“あげる”をつなげるスタンプカード」として、カフェのイラストを描いたスタンプを押し、貯まったスタンプはカフェのドリンクメニューの注文時に利用できる仕組みを考えました。

子ども服譲渡会の様子
“もらう”と“あげる”をつなげるスタンプカード
コミュニティスペースに並ぶ子ども服

 大学ではまちづくりに関する研究に取り組んでいる的塲さんは、地元でまちづくりやコミュニティについて実践的に学ぶため、マメコーの学生インターンシップに応募。マメコーでまちづくり企画を検討するなか、石部学区まちづくり協議会が実施していたエコマルシェで、親子連れがやって来る姿をみて、「家事や育児に専念する親にとって、息抜きができる“昼間の居場所”が必要なのではないか」と考えました。また、近年、衣服の大量破棄が社会課題となるなか、SDGsの観点も取り入れ、子育て世代を対象とした本企画の構想に至りました。

 「ただ捨ててしまうのではなく、誰かの『欲しい』と『いらない』を循環させたい」と的塲さんは話します。そして子育て世代が日々の疲れを癒せる場所になることを目指し、引き続き運営に取り組んでいます。

的塲汐音さん(理工学部4回生)のコメント

譲渡会を実施してから1カ月ほどしか経っていませんが、毎回、湖南市だけではなく隣の市や離れた地域からたくさんの人が来てくれるようになりました。子ども服をまとめて持って来る人が多く、家庭には行き場に困っている子ども服がたくさん存在していることを実感しています。「コロナ禍でフリーマーケットなども中止になってしまい、譲渡する機会をつくってくれて嬉しい」と声をかけてもらえたこともありました。

平日にもかかわらず家族連れが多く、そういった方々にとっても日々のストレスや疲れた気持ちを癒せる場所になるよう、運営や環境整備に努めていきます。また、子育て世代に限定せず、譲渡会をきっかけに幅広い世代の人が立ち寄り、交流できる場所に育てていきたいです。来年の4月には社会人になるため、運営からは離れてしまいますが、卒業までは地域と触れ合える貴重な時間を大切にし、地域と関わっていきたいです。

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