2026.05.14 NEWS

らせん状微生物スピルリナを“流すだけで自動整列”する新現象を発見~直線マイクロ流路で長さ別に高速分離する新手法を開発~

 立命館大学理工学部の磯崎瑛宏准教授と、同大学大学院博士前期課程の原航大からなる研究グループは、らせん状の微生物であるスピルリナが、直線マイクロ流路内で速度分布に沿って自己整列する新現象を世界で初めて発見しました。さらに本現象を利用し、標識を用いずにスピルリナを長さ別に高速分離する新手法を開発しました。

本件のポイント

  • スピルリナ※1が直線マイクロ流路※2内で特定の姿勢をとって流れる現象を世界で初めて発見
  • この現象を利用して、長さの異なるスピルリナを高速かつ非標識※3で分ける手法を開発
  • スピルリナの成長段階や特性を“長さ”の観点で評価する新たな基盤技術として期待

研究成果の概要

 本研究では、らせん状の微生物であるスピルリナ(学術名:Arthrospira platensis)が、直線マイクロ流路内で特定の姿勢で流れる現象を世界で初めて発見し、その現象を利用して、長さの異なるスピルリナを高速かつ非標識で分ける手法を開発しました。本手法は蛍光染色などの標識が不要で、流路形状もシンプルであることから、スピルリナの状態評価(成長段階、環境ストレス応答など)を“長さ”に基づいて解析する基盤技術となり、スピルリナに関する研究の発展に寄与することが期待されます。

図1 図1 本研究の概要図 左下:スピルリナの顕微鏡像。上と右下:らせん状フィラメント自己整列現象の概念図と、その現象を利用したスピルリナの長さ別分取の概念図を合わせた図。マイクロ流路よりも長いスピルリナは、流路を跨ぐように速度分布形状に沿った形で整列し、短いスピルリナは流路壁に接しつつ、速度分布形状に沿った形で流れる。下流に設けられた拡大流路において、直線流路での位置関係を維持したまま流れていくので、スピルリナの長さ別分取が実現できる。

 本研究成果は、国際学術誌「Microsystems & Nanoengineering」に、5月12日(火)公開されました。

詳細は、以下のプレスリリースをご覧ください。
https://www.ritsumei.ac.jp/profile/pressrelease_detail/?id=1306

磯崎准教授のコメント

 今回の研究はスピルリナという細胞をマイクロ流路に流したときに偶然発見した現象を拡張したものになります。スピルリナは、髪の毛の10分の1程度の大きさの繊維がらせん形状を取っている細胞で、まるでバネのような形をしています。バネは曲がったり伸びたりするので、変形の自由度が極めて大きく、マイクロ流路の中で流体からの力を受けたときにどのような姿勢で流れるかを計算で予測することは困難です。そこで、直線のマイクロ流路にスピルリナを流してみたところ、特定の姿勢で流れるスピルリナが多数観察されました。さらに、スピルリナの長さに応じて、姿勢が変わることも観察されました。これらの現象を発見したのは、当時学部4年生だった機械工学科の学生です。
 それから2年間かけて現象の解明とその応用方法の研究を進めてきました。物理的な解明にはまだまだ研究が必要ですが、この2年間で多くのことが明らかになり、スピルリナの長さ別分取を実現できるようになってきました。この研究は、機械工学科ならではの興味と知見が必要だったと思っていて、独自性の高い研究として楽しく取り組んできました。引き続き、柔軟な発想でこの研究を発展・展開していきたいと思っています。

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