2024.10.25
2024年8月21日から9月1日にかけて政策科学部開講科目「研究実践フォーラム」(カナダ・プロジェクト)として、現地でフィールドワークを実施しました。
トロント
〈トロント本願寺〉
〇トロント本願寺とは
トロント本願寺はその名の通り、オンタリオ州トロント市に存在する浄土真宗本願寺派の寺院です。1947年ヒューロン通りに最初の祈りの場所を構え、それ以降トロントに住む仏教徒と共にその歴史を歩んできました。
現在のトロント本願寺
〇施設の様子
施設は1階~3階の構造で本堂は2階にあります。
3階は本堂を上から眺められるすりガラス、小さな図書スペースなどがありました。お香のにおいなどが苦手な礼拝者用に、部屋を隔てても法要に参加できるようすりガラス仕様になっているとのことでした。また図書スペースは非会員でも利用可能であり、仏教をはじめとした日本文化を多くの人々に知ってもらう機会になるのではないかと思いました。
〇日系移民とカナダにおける本願寺
トロント本願寺ではカナダにおける日系移民の歴史を、駐在僧侶である橋本 顕正様より教えていただきました。トロント本願寺に限らず、カナダにおける本願寺派の寺院は当時の日系移民にとってのアイデンティティであり、心の拠り所でありました。
カナダにおける本願寺派寺院の始まりは、1905(明治38年)にバンクーバーにて仏教会が設立されたところまで遡ります。設立にあたる土地の購入や建設費は、全て日系移民からの寄付により賄われました。このことからも、当時の日系移民にとって仏教がどれだけ重要な位置を占めていたかは想像に余りあるでしょう。その系譜として、私たちの訪れたトロント本願寺も、今日まで受け継がれてきたのです。
〇日系移民との関係の薄れ
橋本様によると、カナダにおける本願寺派寺院の運営者の確保は急務であるといいます。というのも、仏教知識と英語能力を十分に備え持つ人材が少ないということです。トロント本願寺においても、毎月の法要は殆ど英語で行われ、法要に参加する人々の多くは非日本語話者であるそうです。日本語の法要が行われるのは月1回程だそうです。トロント本願寺では毎週の法要と定期的なイベント(舞踊や一心太鼓などの、日本の伝統を取り入れたもの)により、日本の文化は受け継がれていますが、日系移民との関係は徐々に薄れているのが現状ではないでしょうか。
〇最後に
本コーナーではトロント本願寺にて学んだことをまとめました。
トロント本願寺の雰囲気はどこかあたたかく、落ち着くものでありました。入ってすぐのところには日本人形や掛け軸、親鸞聖人の像などがあり、日本を存分に感じられる場所でありました。また日系移民とカナダにおける仏教会の関係の歴史を深く知ることができ、非常に勉強になりました。いつかまた訪れてみたいと思いました。
ガイダンスの様子(3階スペースにて)
ガイダンスの様子(本堂にて)
<High Park>
〇High Parkとは
High Parkはカナダのオンタリオ州トロントに位置する公立公園です。敷地面積は161ヘクタール(東京ドーム約34個分)で、公立公園としてはトロント最大です。VIA Rail鉄道が通るユニオン駅の地下鉄から最寄りの地下鉄ハイパーク駅まで約30分でアクセスが可能で、最寄りの地下鉄ハイパーク駅からはすぐにアクセスすることができます。
〇High Parkの様子
敷地内には子ども用の遊具、プール、テニスコートなどのスポーツ施設、ドッグランや動物園など様々な施設が併設されていたこれらの施設は全て無料で利用できます。キッチンカーなどの出店もあり、一日を通して楽しむことができます。施設以外にも、敷地内には豊かな生態系が形成されており、それもHigh Parkの魅力の一つです。
High Parkのようす
High Park内のリス
〇High Parkにおける環境への取り組み
先述の通り、High Parkは豊かな生態系が大きな魅力のひとつです。数にして309種類の植物と70種以上の動物を有しており、Environmental Significant Area(ESA)に指定されています。敷地内にはこの豊かな生態系を維持するため、利用者に協力を呼び掛ける看板がありました。
また敷地内には自然再生エリアがあり、High Park内の山峡は樹木や低木の植え付けを通した再生に推奨されています。
利用者に協力を呼び掛ける看板
High Park内の山峡
執筆者:中山
<Downtown Yonge>
〇Downtown Yongeとは
トロントのダウンタウンヤング周辺は、大型ショッピングモールやエスニック料理店などが集まる場所です。実際に訪れると、多くの人が集まるイベントも開催されており中心地として賑やかな雰囲気でした。ショッピングモールは天井が高く広々とした空間で、日本にもある店から甘いお菓子や北米系ファッションの店など数多くの店が並んでいました。夜21時頃であったからか、営業時間中にもかかわらずどこの店でも片付けを進めていて営業中かわからない様子であり、日本との違いを感じました。
〇エスニック料理
また、ここではグルメもローカルフードからエスニックまで、様々なものが溢れています。私が訪れたタイ料理店では、アジア系からアメリカ系の人たちまで様々な国のお客さんが混在していました。一方で、店員さんはタイ料理店ということもあり東南アジア系の方が多かったです。メニューは、香辛料やハーブが強めのTheタイ料理で日本人にとって珍しいものが多くあり興味深かったです。
Downtown Yongeの様子
Downtown Yongeで食べたタイ料理
CNタワーはカナダ(トロント)のシンボルとも言える都市と国の歴史的、文化的象徴です。電波塔ですが、展望台やレストラン、アクティビティもあり観光地として有名です。
また、CNタワー周辺は、シンボルのCNタワーを中心にリプレイ水族館やロジャースマーケット等があり、子供から大人まで多くの観光客がいました。
CNタワー
<Central Market>
CNタワーから少し離れたところにはセントローレンスマーケットというたくさんのお店が並ぶ屋内マーケットもありました。食材やお土産はもちろん、サンドイッチやエスニック料理でランチを食べることもできるため、様々な楽しみ方ができます。トロントに行った際には是非訪れてほしいスポットです。
多くのスポットがあり、街中も華やかな都市部と言えるトロントは、最終滞在場所にぴったりだったと感じられました。
セントローレンスマーケットの様子
執筆者:久徳
<トロントで印象に残ったこと>
私はトロントで印象に残ったこと2つについて書いていきます。
まず、トロントに滞在して2日目の朝の城戸先生による観光ツアーです。この日はお昼までは自由時間であったため、希望者のみこのツアーに参加しました。この日の参加者は私と友人1人で、城戸先生の出身校であるトロント大学と、コリアンタウンを訪れました。トロント大学には塀がなく、街に溶け込んでおり、これは立命館大学との共通点とも言えるでしょう。また、コリアンタウンに入ると、雰囲気がガラリと変わったことも印象的でした。コリアタウンではお昼ご飯にビビンバをいただきました。補足ですが、カナダでは食べきれなかった食材を持ち帰ることができます。これは環境保全の観点からも非常に画期的であると考えました。
コリアンタウンで筆者が食べたビビンバ
次に、トロント大学のRodney Haddow名誉教授とのミーティングです。教授とのミーティングでは、約1週間カナダに滞在して感じたことや疑問点などについて、みんな積極的に質問を行っていました。その後、トロント大学の中を城戸先生の引率により見学しました。トロント大学の内部は非常に自然が豊かで、野生のリスを何匹も見つけることができました。また、学校は重厚感があり、トロント大学の歴史の長さを改めて感じました。
トロント大学内の様子
トロント大学内にいたリス
Rodney Haddow名誉教授とのミーティングの様子
執筆者:松田
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2024.10.25
2024年8月21日から9月1日にかけて政策科学部開講科目「研究実践フォーラム」(カナダ・プロジェクト)として、現地でフィールドワークを実施しました。
8月22日早朝、受講生10名はモントリオールに到着し、ノートルダム聖堂やモントリオール中央駅、映画館、モントリオール市役所などの公共施設を回り、公共機関で使用される言語の調査を行いました。また、公用語である仏語・英語のみならず、リトルイタリーやチャイナタウンと呼ばれる現地で広がる他国のコミュニティにも調査対象を広げ、現地での人々の生活や言語政策の観点からカナダの多文化主義についての理解を深めました。
モントリオール・ノートルダム聖堂
リトルイタリー ジャン・タロン市場
翌日、国際航空運送の安全・保安等に関する条約・国際標準・勧告方式やガイドラインを作成し、航空安全の向上を目指す“ICAO”(国際民間航空機関)のモントリオール本部を訪れ、実際にICAOで業務を行う日本の方々に話を伺いました。様々な技術の近代化が進む中で、パイロットの基準や気候・航空図など全国共通の枠組みを定めるICAOの業務や歴史・役割に加え、日本人目線のカナダでの暮らしについて、実際に国際機関で活躍されている方々の話を伺えるのは大変新鮮で興味深く、私たちの進路に関してもとても参考になりました。また、実際に会議に使用される部屋にも案内していただき、緊張感漂う空気感を肌で味わうことができたのはとても刺激的な体験でした。モントリオールでの学び、新たな発見は私達の視野を広げ、多文化主義や国際機関の仕事への深い学びに繋がりました。
ICAOモントリオール本部
会議室
執筆者:小川、宗戸
モントリオールからバスに乗りオタワへと移動しました。オタワでは3泊し、様々な体験をしてきました。最初に紹介したいのは、カナダの大学であるカールトン大学の生徒との交流です。
8月25日(日)に訪れたカールトン大学では、カナダで売られているお菓子やサンドイッチ、フルーツなどを用意し下さっていました。私たちは好きなものをとりながら、各自でお話をしていました。カールトン大学の生徒は日本に興味を持っている方達であるため、日本について質問をもらったり、また逆に私たちがカナダについて質問をしたり様々間な会話を行いました。交流の中間では、私たちが用意してきたパワーポイントを使って、プレゼンテーションも行いました。プレゼンテーションでは、私たちの学校について、そして何について調べているのかということを中心に用意しました。プレゼンテーションの中では、カナダの言語プログラムについて、体験されてきたカールトン大学の生徒に質問もさせてもらいました。
26日(月)には国立歴史博物館に訪れました。国立歴史博物館では名前の通り、カナダの歴史が現代に至るまで展示されており、時代をおって歴史を体験することができました。私たちはカナダにおける言語に関する事柄を中心に調査したいと考えていました。そのため、事前にカナダに関する論文などを読み込み様々な知識、考察を頭に入れてきました。そのおかげもあり、必然的にカナダの成り立ちについても知ることが出来ていました。自分たちの英語力だけでは理解できなかったことも、事前知識があったことで理解を促してくれ、楽しさにもつながりました。
オタワの滞在では一般のホテルではなく、モーテルと呼称される日本にはない宿泊施設に滞在しました。モーテルはホテルよりもリーズナブルに泊まる事ができ、駐車場に部屋が隣接しているので海外では多くの長距離ドライバーが利用しているそうです。
オタワ滞在の最終日、私たちは在カナダ日本国大使館を訪れました。大使館では公使と広報の方と私たちがカナダに訪れて数日生活をして気づいたことやカナダと日本の違い、課題点、日加関係について話し合いました。また、資料を用意してくださりカナダの都市ごとの大まかな違い、経済状況、産業の違いについて説明してくださりました。医療体制の仕組みや公共の道の整備さが日本とかなり異なる話題が出てきて初めての発見で驚きました。実際にカナダで何年も生活して国の重要機関で働いている方のリアルな意見と貴重なお話を聞けて非常に有意義な時間になりました。
執筆者:稲岡、川原
〈ナイアガラの滝〉
カナダ・プロジェクトではナイアガラの滝も観光しました。
世界三大瀑布の一つであるナイアガラの滝はカナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州の間に位置します。一番印象に残ったのはなんといってもナイアガラシティクルーズです。世界からナイアガラの滝を間近で見るために集まった観光客とともにクルーズ船に乗り込みました。滝の近くは嵐のような風と水量で息をするのも大変なほどでした。自然の壮大さと力強さを肌で感じた経験となりました。
夜にはナイアガラの滝のライトアップを背景に花火もあがりました。
〈ナイアガラ地域〉
ナイアガラ地域は前述の通り、国境が目の前にあるため、オールドアメリカンな建物が非常に多く、アメリカンな雰囲気を味わえることができました。ご飯についても同様で、昼食・夕食ともにステーキ・ハンバーガーを食べて、大満足でした。また、滞在するホテルにはコカコーラ専門店が併設されており、コカコーラを使ったアイスクリーム、シェイク、パフェがメニューにあり、コカコーラ好きにはたまらない店でした。滞在は1泊2日したが、楽しい2日間となりました。
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2024.10.11
政策科学部の集中セミナー(桜井良ゼミ3回生)が、北海道の知床世界自然遺産地域で2024年9月9日から13日まで行われました。政策科学部の卒業生である知床財団の職員のガイドのもと、学生はヒグマが生息する森を歩き、野生動物と共存することの難しさや可能性を学びました。また世界自然遺産地域に隣接する斜里町立知床ウトロ学校で交流会を開き、ゼミ生が地元の小中学生や保護者に対して、勉強することの意味や大学生活について発表し、話し合いました。学生は、子どもたちの目線に立ってコミュニケーションをとることの大切さを学んだようです。
最終日には知床でホテル業を営む北こぶしリゾートと連携しワークショップを開催し、自然共生社会の実現に向けて、観光業にどのような役割が求められているのか、ゼミ生、北こぶしリゾート職員、そして地元の大学生(北見工業大学、東京農業大学[北海道オホーツクキャンパス])が議論しました。
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2024.10.10
立命館大学政策科学部は2024年に創設30周年を迎えました。創設以来、 政策実践力と政策構想力を備えた人材育成に取り組み、1万人以上の卒業生を社会に送り出してきました。政策科学部のさらなる進化に向け、記念式典・シンポジウムを開催いたします。
日時:2024年12月21日(土) 14:30~ (開場13:30~)
会場:立命館大学 大阪いばらきキャンパス B棟 グランドホール
記念式典・シンポジウム、祝賀会のいずれも参加には事前の申し込みが必要となります。
以下のURLよりお申し込みください。
<申込期限>12月10日(火) ※申込期限を延長しました
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
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2024.08.20
2024年8月3日(土)・4日(日)の2日間で立命館大学オープンキャンパス2024を開催しました。両日ともに猛暑日となりましたが、例年以上に多くの方にご参加いただきました。
政策科学部では、学部紹介、AO入試説明会、個別相談会に加え、上久保教授と小杉教授による模擬講義も実施しました。どの企画も盛況で、政策科学部での学びをより理解していただくことができました。
<模擬講義>
上久保 教授 「未来の政策科学」
小杉 教授 「地球温暖化対策をめぐる政策の論点」
VIDEO VIDEO
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会場外では、今年度から新たに始まった企画「この問題、あなたならどうする?」を掲示しました。
こちらの企画は、政策科学部教員から発せられた問いに対し、参加者自身に「答え」を考えていただくものです。問いかけを前に、立ち止まって考える参加者の姿が見られました。
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2024.07.26
【Vol.1】で紹介した山本雅史社長による第一部に続き、6月5日からスタートした第二部では「アドベンチャーワールド、動物をパートナーとした事業」というテーマで、中尾建子氏(取締役、白浜事業部長、アドベンチャーワールド副園長)が第8講から11講までを担当されました。
第8講では、「パーク理念・いのちと向き合う」というサブテーマで、運営会社のアワーズの経営理念から、アドベンチャーワールドの運営理念とその解釈、そしてそれらがどのように日々の業務に落とし込まれているのかという点を飼育員の視点からご講演頂きました。アドベンチャーワールドといえば、ジャイアントパンダですね。
第9講では、「ジャンアントパンダから考える世界規模の貢献」というテーマで、パンダの取り組みを一事例として、種の保存を貢献する動物園や保護施設の役割を学びました。第10講では、ラーニングシアターでグループワークを行い、動物園の存在意義に関して、「動物園で暮らす野生動物と、その動物が生まれ育った場所で暮らす野生動物、どちらが幸せだと思いますか? 動物園は世の中に必要でしょうか?」というテーマで意見交換を行いました。そして第11講では、中尾副園長から未来のアドベンチャーワールド、動物園・水族館の姿をご紹介頂きました。
約120種類、約1,600頭の動物を飼育するアドベンチャーワールドでは、我々人間よりも寿命の短い動物たちの生死が繰り返されています。パーク経営の現実と動物たちの命の尊さの間でアドベンチャーワールドの皆様が抱える課題や葛藤されている問題意識を伺い知ることが出来ました。ご講演頂いた事例は学生たちにとって、経営学を超える学際領域の学びの必要性を悟らせる機会となりました。
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