研究科長メッセージ

言葉は混迷する現代社会の課題を解決する鍵
言葉の専門家を育成します

 2024年春、言語教育情報研究科は「言葉を探る 言葉を教える」に加え「言葉でつなぐ」基盤を学び、研究する場所として大きく生まれ変わります。これまで培ってきた言語そのものの仕組みについての学問(言語学)と、言語教育や文化・社会の多様性を解明する学問(応用言語学)が、新たにコミュニケーション表現学と結びつくことにより、混迷する現代社会の今日的課題を解決することにつながると確信しています。
 コロナ禍で人と直接会うことが制限される中で、私たちは高度な情報技術の進歩の恩恵を受け、オンライン上で直接会っているかのように対話することや仮想空間上をまるでそこにいるかのように行き来することなどを日常的に行うようになりました。さらに、世界中で関心が集まっている人工知能(AI)を使った対話型自動応答サービスの普及により、機械がまるで人間のような回答を出してくることを体験しつつあります。認識主体としての人間と言語、そして世界との関係のあり方に加え、人間がいかにして言語および非言語を用いてコミュニケーションを行っているのかについて明らかにすることの必要性が一層高まっていると言えます。
 本研究科は、日本語教育・英語教育の専門家を目指す人たちと言語に関する様々な領域の専門家を目指す人たちに門戸を開放しています。学部を出たばかりの方と言葉に関わる仕事をしてきた方、日本人と留学生、関心だけでなくバックグラウンドも多様な院生がお互いに刺激を受けながら研究しています。
 言葉に関連する学問は日進月歩で発展しています。本研究科は、高性能の脳実験装置や研究科独自のコーパスなど高度な理論的・実証的な研究を進める環境が整っています。国内外で言語教育の実践の場としての教育実習の機会を用意し、さらに、多文化共生社会の推進のための活動を積極的に支援しています。このように学問の進歩と社会からの要請に応えられる体制が整備されています。立命館大学は各種研究助成制度も充実しています。大学院に入ってから成長する心構えのある方を歓迎します。

立命館大学大学院 
言語教育情報研究科長

有田 節子

Setsuko ARITA