歴史都市防災研究センターの研究成果の地域への還元として、地元小学生を対象とした校区のハザードマップ(災害予想図)を製作する企画、地域の自治会の防災計画のサポート、企業からの委託研究をすすめる事業があげられます。
防災は、学術的な研究としてだけでなく、実践してさらに社会に役立たなくては意味がありません。センターでは、京都の歴史的文化遺産として有名な清水寺の防災案を提案。清水寺の地下に水の流れるパイプを通し、災害などがあったときにその水を活用するという案が、実際に採用されています。
また、身近な例としては金閣寺があげられます。昭和30年くらいまで、金閣寺の周辺には住宅はほとんどなく、集中的に防災の対象として保護することができました。しかし、周辺が住宅街となった今では、一軒の火災により文化財が焼失してしまう危険性があります。そのようなことから、特定の文化財だけを保護するのではなく、地域ぐるみで防災の取り組みを行うことが大切であるという発想に基づいて研究を行っています。
これまでは、自然災害からの防災を中心的に取り扱っていましたが、現在では研究対象を人災(放火、テロ、戦争)から文化遺産をどう守るかという点まで視野を広げています。そのためには、国や地域の担当者が防災に対する意識を高めて取り組んでもらわなければなりません。UNESCOの事業の一環として、アジア諸国を中心にその地域の事情を踏まえながら、取り組みを進めています。 |