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新型コロナウイルス感染症の影響を受けて
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新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令を受けて、立命館大学も4月8日より一斉休校となっていました。ゴールデンウィーク明けの5月7日からは、すべての授業についてWebを利用した授業として再開しています。
新型コロナウイルス禍における授業実践に関わって、教学部を中心に2つの調査を企画・実施しました。
1つ目はWeb授業を開始するにあたっての事前調査となる「インターネット環境調査」です。学生のコンピュータ等の所有状況や、自宅のインターネット環境、Web授業を受講できる場所などについて確認し、調査結果を受けて、ノートパソコンやポケットWi-Fiの貸し出しを行いました。
2つ目はWeb授業が2週間程度進んだ段階での「Web授業に関するアンケート調査」です。こちらは、学生および教員を対象として実施しました。
学生アンケートの回収率は41.0%(回答者数14,332名/調査対象者34,962名)でした。アンケート結果では、全体としてある程度満足しているものの、受講への不安や戸惑い、授業及び課題の分量に対する負担を感じている学生が多いことが分かりました。この結果を受けて、「在学生・院生向け Web授業のための特別サイト」開設による一括した情報発信や、ヘルプデスクの設置による学生からの問い合わせ対応を行っています。
教員アンケートの回収率は49.8%(回答者数1,020名/調査対象者数2,050名)でした。アンケート結果では、本学のWebコースツールであるmanaba+Rがプラットフォームとして十分に機能していることが分かりました。Web授業のメリットとしては、掲示板やチャットを用いたディスカッションや質疑応答が積極的に行えること、VODを活用した反復学習によって学生が自身のペースに合わせて理解することができること、教員の授業実践の視野や選択肢が広がったこと等が挙がりました。一方で、Web授業の課題としては、対面授業と比べ学生のリアルな反応が分かりづらいこと、演習などでは対話的に授業を進めることが難しいこと、教員・学生の通信環境が授業の進行に影響すること等が挙がりました。また、Web授業実践の難しさについては、授業準備に膨大な時間を要すること、様々なWebツールに対する知識、教材をアップロードすることに伴う著作権の問題等がありました。この結果を受けて、「Web授業実施のサポートページ」開設による一括した情報発信や、サポートデスクの設置による個別相談の受付、オンラインFD企画の開催によるピアサポート等を行いました。
本学では、今後も新型コロナウイルス禍による学生の学びや学生生活への影響、Web授業の学習効果等についてデータを用いた検証及び、その結果を受けた取り組みを進めてまいります。
大学評価・IR室のミッション・ステートメントを策定しました
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大学評価・IR室の設置を契機に、学内でIRを推進するにあたり、立命館大学におけるIRとは何であるかを明らかにし、学内で共有することを自己評価委員会で確認しました。これを受け、大学評価・IR室では国際的通用性等にも鑑み、IRを大学評価・IR室のミッション・ステートメントの中で具体化するに至りました。
策定した大学評価・IR室のミッション・ステートメントは以下の通りです。
【大学評価・IR室 ミッション・ステートメント】
IRとは、「高等教育機関の計画、政策形成、意思決定を支援する情報を提供するために機関内で行われる調査研究」(Saupe, 1990)である。
立命館大学大学評価・IR室のミッションは、IRを推進すること、すなわち質向上に関わる本学の評価、意思決定、計画、政策形成を支援するために、教職員や学生との協働により、学内外のデータの収集、統合、分析を行うことである。
上記のミッションの下、①学生の成長支援、②エビデンス重視、③学生参画・教職協働を重んじて活動を進めます。
なお、社会情勢や学内の要請等により、大学評価・IR室のミッション・ステートメントは柔軟に更新するものと考えています。ぜひ、ご意見やご感想などお寄せください。
また、これに合わせて、大学評価・IR室のロゴマークもリニューアルしました。
ノースウェスタン大学IRオフィスに訪問しました
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2019年9月に米国の五大湖畔、イリノイ州エバンストンにあるノースウェスタン大学のIRオフィスを訪問する機会を得ました。先日、公表されたTHE世界大学ランキング2020では22位にランクされ、ケロッグ経営大学院にはマーケティングで著名なフィリップ・コトラーが在籍し、また過去に19名のノーベル賞受賞者を輩出している世界的に有名な研究大学です。
現在、5名で運営されているIRオフィスは30年程の歴史を有するとのことでした。学内外のデータを収集・分析し、直属のプランニング担当バイス・プレジデントへの情報提供によって意思決定支援を行うことを中核的な役割としながら、エンロールメントやプログラム・レビューを担当するプロボストやバイス・プレジデントにも情報提供を行うなど、クロス・ファンクショナルな役割を担われていました。また、政府や外部機関へのデータ提供、データ・ブックの作成・公表、学生調査、プログラム・レビュー等の業務と並行して、アド・ホックなデータ・リクエストにも対応されており、その際には定型フォーム等は使用せずに、最も効果的な方法で柔軟にコミュニケーションを行っているとのことでした。
ノースウェスタン大学(ケロッグ経営大学院)
学内のデータ収集には苦労されながらも、経営層の意思決定支援、研究者が研究に専念できる環境整備等に少人数で尽力されているというお話には、真摯さと自信が感じられました。また、突然の訪問者を快く受け入れ、お時間をお取りいただいた3名の役職者の方々に深い感謝の念を感じた次第です。(報告者:増田)
IRオフィスの皆さん
Association for Institutional Research (AIR) Forum 2019に参加しました
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少し前のお話になりますが、2019年5月に米国コロラド州デンバーのコンヴェンション・センターで開催されたAssociation for Institutional Research (AIR) Forum 2019に参加しました。写真の通り、街のアイコンでもあるBig Blue Bearが会場の中の様子を覗き込んでいます。今回は「IR/IE Engaging with Policy: An International Perspective」というテーマのImpact Sessionにお招きいただき、パネリストの一人として登壇しました(2019年5月28日)。AIRは北米の最大規模のIR専門協会で、設立から半世紀以上の歴史を持ちます。筆者は2003年からたびたび参加していますが、近年は米国だけでなく、ヨーロッパやアジア、オセアニアからも多くのIR関係者がForumに集い、2,000名近い参加者が情報共有やネットワーク形成を進めています。
司会者らとの事前の打ち合わせで、配布資料やスライド資料等を使用した一方的な報告にはせず、対話的なセッションにしましょうということになりました。口頭の説明のみで、諸外国とは異なる日本の高等教育セクターの状況や主要な政策的課題、IRの現状などをお伝えするのはハードルが高かったのですが、なんとか役目を果たしほっとした次第です。自大学の取り組み等の情報を事前に提供して下さった関係者のみなさまに御礼申し上げます。
セッションでは、高等教育機関の改善を促すIRの役割に関するオーストリア、南アフリカ、アメリカ、日本からの報告に続き、フロアから、高等教育のランキングをめぐる状況や、IRにおける有効なリーダーシップ、データの管理・保護にかかわる質問等が出されました。活発な議論や質疑応答の様子から、このテーマに対する関心の高さがうかがえました。2020年のAIR Forumは、ルイジアナ州ニューオーリンズでの開催が予定されています。
(報告者:鳥居朋子)
参考:AIRのウェブサイト