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ゲスト講義実施報告(国連事務局・国連アフリカ特別顧問室プログラムオフィサー・元PKO民政/政務官 田川 慶様)

2026年6月2 日、国際機構論(担当教員:金児真依)の授業にて、ニューヨーク国連本部とオンラインでつなぎ、国連事務局・国連アフリカ特別顧問室(UNOSAA) プログラムオフィサーで元PKO民政/政務官でもあられる田川慶様に、お話しいただきました。

ゲスト(6.2 田川様)②

今回の講義では、田川さんのキャリアとアフリカでのPKO・国連事務局でのご経験に基づき、主に「人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)」についてご説明いただきました。

大学で開発経済学を学んだのち、信託銀行で勤務されるも、自身の人生で本当にやりたいことは何かを真剣に考えられた結果、安定した仕事を離れ、青年海外協力隊としてニジェールの村落開発に赴くことを決めた田川さん。
その後、コロンビア大学大学院で国際関係論修士号を取得され、フランス語圏ニジェールでの経験も活かしてブルンジ、コンゴ民主共和国、コートジボワールのPKOに民政官・政務官として参加されたことから、国際機関のキャリアが一つの直線ではなく、経験と専門性の積み重ねによって開かれていくことを学びました。
 
PKOの制度については、現在の国連の平和(維持)活動の展開、人員、予算、軍・警察・文民が一体となる複合的なミッションの特徴について説明がありました。ブルンジでは地方政府支援や大統領・地方選挙支援、治安・政党活動に関する情報収集、小規模社会経済開発プロジェクトに取り組まれ、識字率や交通インフラなど現地の状況を踏まえながら選挙を支えた実務を紹介されました。

コンゴ民主共和国東部では、治安が不安定な地域で政務官として情報収集や報告を担当し、反政府勢力と政府軍の対話、武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)につながる過程についても説明されました。コートジボワールについての話では、国家統治機能の再興、選挙支援、民族融和支援などを通じ、国連が当事者の信頼を得ながら「世界が見ている」という存在感を示すことの意味を学ぶ機会となりました。

ゲスト(6.2 田川様)①
 
講義の後半では、緊急支援、復興、持続的平和が段階的に一方向へ進むのではなく、相互に補完し合う必要があることを、学校や橋、給水施設などの修復といった具体的な社会経済開発の事例を交えて説明されました。
平和は目に見えにくい一方で、開発の成果は人びとに見えやすく、政府への信頼回復や雇用創出、反政府勢力への流入の防止にもつながるとの指摘が印象的でした。また、紛争を経験した国では、政府への信頼、民族融和、自国への帰属意識、周縁化された人びとの包摂が、再び紛争へ戻らないための重要な課題であることが示されました。

さらに、現在の国連アフリカ特別顧問室での業務に関連して、アフリカではSDGs達成に向けた課題が大きい一方で、モバイル金融や女性の政治参加、再生可能エネルギー、鉱物資源、若い労働力など大きな可能性があること、「課題の多いアフリカ」から「有望なアフリカ」へと見方を転換する必要があることが説明されました。
TICADをはじめとする日本の役割についても紹介され、日本の大学生にとって国連や国際協力の仕事は決して遠い世界ではないというメッセージが伝えられました。
 
学生たちからは、
「字が読めない人でも投票できるような工夫について伺い、民主化を進める難しさと同時に、誰もが政治参加できる環境づくりの重要性を感じた」
「正直『国際機関ってすごく遠い存在』というイメージが少し変わった。(…)開発や平和構築は、一方的な支援ではなく現地の人々と一緒に作っていくものだという点が印象に残った」
「銀行員という安定したお仕事から一念発起して国連で実際に勤務されているという経歴がすごく印象に残っている。(…)世界平和に向けて着実に積み重ねておられてすごくかっこいい生き方だと感じた。」
といった感想が寄せられました。

プロフィール 田川慶
東京都出身。大学で開発経済学を専攻後、民間の信託銀行で3年間勤務。青年海外協力隊村落開発普及員としてニジェールへ2年間赴任。アメリカのコロンビア国際関係公共政策大学院で国際関係学修士号を取得。2004年よりブルンジ、コンゴ民主共和国、及びコートジボワールで計9年間国連平和維持活動(PKO)に民政官や政務官として従事、2013年より国連事務局・国連アフリカ特別顧問室(UNOSAA) プログラムオフィサー。