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ゲスト講義実施報告「人道と開発と平和の連携を考える―国際機関の役割と全社会的な連携の可能性」(国際協力機構(JICA)中部センター 古本秀彦様)

2026年6月10日、「国際連合入門」(担当教員:金児真依)の授業にて「人道と開発と平和の連携を考える―国際機関の役割と全社会的な連携の可能性」というテーマで、国際協力機構(JICA)中部センター市民参加協力課の古本秀彦様にお話しいただきました。
古本様は、UNHCR職員としてもイラン、イエメン、日本、アフガニスタンなどでご活躍され、NGO、内閣府、民間コンサルなど幅広い現場で、一貫して平和構築に取り組んでこられました。175人の受講生は、古本様の各国での現場経験を真剣に聴き、活発に質問していました。

ゲスト(6.10古本様)①

講義では、大学時代の旧ユーゴスラビアでの難民キャンプでのボランティアを原点に、スリランカのNGO、JICA、UNHCR、内閣府、民間コンサル、アフガニスタンでの勤務へとつながる古本様の歩みを通して、国際協力の仕事が一つの組織に限られず、現場経験と専門性の積み重ねによって形づくられることを学びました。
中心となったHDPネクサスについては、人道支援・開発・平和構築を別々に進めるのではなく、緊急の保護と中長期の自立、社会の安定を結びつけ、危機の根本原因に取り組む考え方として説明されました。一方で、組織文化や資金の仕組みの違い、調整にかかる時間など、連携には現場ならではの難しさもあることが示されました。

具体例として、アフガニスタンにおける帰還民への国境における支援(登録、短期生活資金、予防接種、地雷回避教育)、帰還先における定住支援(生計向上、社会サービスへのアクセス)などが紹介されました。

ゲスト(6.10古本様)②

ザンビアについては元難民の社会への統合とコミュニティ開発、ウガンダに関しては難民を地域社会に包摂し、稲作支援や地方行政の能力強化を進める事例を通じて、UNHCR、JICA、UNDP、政府、民間企業がそれぞれの強みを活かして協働する重要性を学びました。ユニクロの古着回収や豊田通商による自動車整備士育成の例からは、難民にとっても企業にとっても社会にとっても利益のある「ウィンウィン」の連携が、支援の持続可能性を高めることが理解されました。
また、人道危機が長期化する一方で資金縮減が進む現実についても議論され、支援のあり方を自分たちの課題として考える機会となりました。

学生からは、「人道支援は『消防車』のようなもので、不可欠である一方、それだけでは根本的な解決にはならないと実感した」「難民は支援を受けるだけの存在ではなく、機会や環境が与えられれば自ら力を発揮できる存在であることを学んだ」「難民を単なる支援対象としてではなく、労働や納税を通じて社会に貢献できる存在として捉える『インクルージョン』の考え方も非常に興味深い」といった感想が寄せられました。

ゲスト(6.10古本様)③

プロフィール 古本秀彦(ふるもと・ひでひこ)
駒澤大学法学部政治学科卒、サセックス大学にて現代紛争平和学修士取得。NGO勤務を経て国際協力機構(JICA)ジュニア専門員(平和構築)。その後、広島平和構築人材育成センターの立ち上げや民間コンサルでの勤務を経て、2010年より国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)でイラン・イエメンのプログラム担当官を歴任。内閣府国際平和協力研究員を経て、2015年からUNHCR駐日事務所渉外担当官、2020~2023年は上級パートナーシップ専門官としてJICAへ出向。2024~2025年はUNHCRアフガニスタンにて再統合ユニット長を務め、現職。専門はHDPネクサス、資金調達、パートナーシップ構築等。