京都学クロスメジャーの特長

PERSONAL

河角 直美 准教授

研究分野
  • 近代京都の景観復原とその変遷に関する研究
  • 近代日本における環境と人間の関係史

地理学・史学・文学などの
知識を融合し「京都」を紐解く

立命館大学文学部のある京都は、平安京の遷都以来、日本文化の中心として1200年以上にわたり歴史を築いてきました。その地理的な特性から、本学では「京都学専攻」を設置し、地理学・歴史学・文学のアプローチを用いて京都の実像に迫る研究を行ってきました。新たに始まるクロスメジャーの授業でも、広く「京都」をテーマとし、これまで培われてきた人文学の知見に、フィールドワーク、インターンシップといった地域に密着した手法を交えた、新たな研究の実践を目指します。

私は、京都の景観や人々の暮らしの変化に興味をもっています。長い歴史のなかで、人々の生活はどのように変化してきたのでしょう。この疑問に対し、私はGIS(地理情報システム)と呼ばれるデジタル技術を用いてアプローチしています。明治期以降に作成された京都の地図をGIS上で重ねたり比べたりしながら、描かれた内容の違いを読むのです。そのなかで、政治や経済の問題だけではなく、京都の街を襲った自然災害も生活に影響したことがわかってきました。さらに、京都に長く暮らす人たちに話を聞いてみたり、古い写真や文書にも触れたりすることで、過去の生活の営みが今にどうつながっているかを、詳しく解明したいと思います。

祇園祭の宵山期間の京町家において、企画・展示に関わった屏風 飾りを解説する受講生

京都学では、神社仏閣などの歴史的建造物はもちろん、伝統産業にかかわる職人さんの現場、映画や小説の舞台など、京都の街全体がキャンパスです。また、竹松家文書や友禅染の型紙など、地域に埋もれた資料も発掘し所蔵しています。さらに、京都市指定有形文化財に指定された、150年以上の歴史を持つ長江家住宅の保全活動にも協力してきました。学生が中心となり、商家として機能した建物のほか、家具、文書などの保全・修復、展示活動にインターンシップを介して取り組んでいます。

こうしたローカルな京都の歴史的・文化的に重要な遺産を新たな視点で見つめ直すことは、日本全体がグローバル化の波に洗われ、京都の街そのものも大きな変化のただ中にある現在だからこそ、今後さらに大きな意味を持つと考えています。

立命館大学文学部のクロスメジャー科目群で得られる学びは、決して「京都」という特殊な地理的条件に特化した学問ではありません。ここで身につけられる人文学的な知の素養とそれを応用していく力は、京都はもとより、日本および世界のあらゆる場において、その土地の歴史や文化の理解、その保全・発展活動に役立てることができるはずです。

京都学の学びの流れ

4回生

専門演習Ⅲ・Ⅳ、
卒業論文

専攻での学び

学域・専攻で培った人文学各分野の「知」と京都学クロスメジャーで学んだ地域研究の「知」を融合させ、集大成である卒業論文を執筆します。

京都学クロスメジャー担当体制

主なフィールドワーク先

京都市考古資料館、今日庵、西本願寺、京都市考古資料館、京都市歴史資料館、西陣地区周辺、三木竹材店、龍安寺、鷲野染工場、長江家住宅、大山崎町歴史資料館、宇多野ユースホステル周辺、西之京瑞饋神輿保存会関連施設周辺、仁和寺霊宝館、平野神社周辺、金閣寺周辺、二条城周辺、堀川通周辺、衣笠周辺、北野天満宮周辺、岡崎(南禅寺、平安神宮)周辺、祇園祭山鉾町周辺、御所南エリア、下鴨マンション、鴨川・先斗町、高瀬川、北野天満宮宝物殿、伏見酒造地区、北野天満宮社家町、立命館大学国際平和ミュージアム、京都府京都文化博物館、禅林寺永観堂、馬町空襲記念碑周辺、櫻谷文庫、京都御所周辺・同志社大学、東寺・西寺跡、琵琶湖疏水周辺、双ヶ丘、北白川・京都大学周辺、三条通、北大路通