卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2019

マスコミ

受信料だからこそ、制作する意義のある番組をつくる

地域観光学専攻 2018年卒業

NHK広島放送局 放送部 番組制作

私は小さい頃から地理に興味があり、地図を眺めたりすることが好きな子どもでした。その気持ちは高校生になっても変わらなかったので、地理の先生になりたくて大学を調べていたところ、立命館大学文学部が地理学に強いと知り、志望しました。

入学してみると、地理学はもちろんですが、幅広くいろんなことが学べました。その中でも、観光の面白さに惹かれて地域観光を研究することにしました。特に、「東南アジアの歴史と観光の発展」や「ダークツーリズム」に関心を持ちました。ダークツーリズムとは災害被災跡地、戦争跡地など、人類の死や悲しみを対象にした観光のことです。こういった観光があることも知らなかったので、衝撃的でした。

また、2回生の12月から3回生の6月までの半年間、友人と2人で観光の企画コンペに参加したことも思い出深いです。旅行会社と一緒に旅行プランを企画して発表するといった内容なのですが、友だちと議論しながら1つのものを作る体験や、旅行会社も含めていろんな意見をまとめるプロセスが今の番組制作の仕事に活きていると思います。

卒業論文は番組制作とかなり似ている

3回生になってからは、遠藤先生のゼミに所属しました。観光学とメディア文化を主としたゼミです。私は「コンテンツ作品が地域に及ぼす影響」について研究しました。きっかけは、大河ドラマの『真田丸』です。放送当時は、視聴率も高く人気の番組でした。舞台となった地域にどのように影響するのかに着目し、長野県上田市を中心にフィールドワークをしたり、市役所の観光課の担当者にインタビューをさせてもらったりしました。

今、改めて考えると、論文執筆と番組の制作はかなり似ていると思います。論文は、自分でテーマを見つけ、取材をし、取材を元に構成を考え執筆します。番組作りも、関心のあるテーマ(題材)を見つけ、取材をし、取材を元に構成を考え撮影、編集していきます。同じような工程を辿るんです。入局したての頃は気づきませんでしたが、卒業論文は今の仕事に強く活かされています。

NHKを志望した理由

私が2回生のときに『世界を変えた100日』という写真集と出会いました。この本は、1851年5月1日第1回万国博覧会開催から2005年8月29日ハリケーン・カトリーナまでの写真が収まっており、世界が変わった一瞬を捉えています。この写真集を見て、後世に歴史を伝える仕事に憧れを持ったことが、マスコミを志望するきっかけになりました。その中でも、NHKは幅広い番組を手がけており、興味関心が広い私に合っていると思いました。

1年目は、希望だったNHK本部のドラマ番組部に配属されました。具体的な仕事内容は、助監督として、小道具を作ったり、スタジオの雑用をしたり、ロケの手配をしました。マスコミの華やかな部分に憧れがあったのですが、実際は思った以上に地味で大変な仕事でした。しかし撮影が終了する頃には、少し慣れて楽しんで仕事もできるようになりました。

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ドラマのロケ撮影終了後の写真

ドラマの撮影が終了し、2年目の夏からはたまたまですが、出身地である広島局の放送部番組制作に異動になりました。NHKは若いうちは、地方局で勤務し、番組作りのノウハウを学びます。広島放送局ではディレクターとして、興味や関心のあるテーマを取材し番組を制作しています。主にニュース番組の中の特集やバラエティ番組に携わっています。私は高校時代に野球部だったので、高校野球の企画をやらせてもらったりと、自分のやりたいことができる環境にいます。また、地元ということもあって、友人から「見たよ!」と連絡をもらえたり、取材相手に喜んでもらえたりすると、とてもやりがいを感じています。

これから挑戦したいこと

地方だからこそ制作する意義のある番組を作りたいです。私自身、地元で働いていますが、まだまだ知らないことがたくさんあります。

地元に根づいて試行錯誤しながら、夢に向かって頑張っている人を取材することも多いので、そういった前向きに生きる人たちの背中を押せるような番組を作りたいし、受信料をもとに番組制作を行っている私の使命だとも思っています。

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