卒業生からのメッセージ
文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。
2019
進学破格的な日本語を言語学的に分析
- 言語コミュニケーション専攻 2018年卒業
立命館大学大学院言語教育情報研究科 在学中
破格的な日本語の構文を言語学的に分析
私は韓国の出身で、立命館大学文学部に入学して日本語教育学や言語学を学び、卒業しました。今は大学院で電子化された大規模な言語資料である「コーパス」を利用し、日本語母語話者が普段何気なく使っている構文を分析しています。たとえば、「目指すは東京オリンピック」や「狙うは金メダル」のような構文が挙げられます。日本語が母語ではない私からすると、このような言い方はとても不思議ですが、母語話者には自然に感じられるでしょう。しかし、母語話者であっても「住むは京都」や「学ぶは言語学」のような言い方はしません。
この構文は、マスコミ、とりわけスポーツ分野においてよく見聞きしますが、今ではマスコミだけでなく、広告・ブログ・SNS、そしてJ-popの歌詞にも登場しています。 J-popの場合、安室奈美恵・福山雅治・嵐・AKB48の曲から「目指すは…」という歌詞を聞くことができます。
言語への関心から立命館で学ぶことを決める
私が言語学に興味を持ったのは、入学前に赤ちゃんの言語習得に関する講演を聞いたのがきっかけでした。その講演では、赤ちゃんや大人たちが発する音声を集めて構築したコーパスを使っていました。私が立命館大学文学部に入学した理由は、コーパスを専門とする先生が多く在籍していた点、そして、日本語教育と言語学が学べる点が、とても魅力的だったからです。
学部時代には、早期履修制度を利用して、立命館大学大学院言語教育情報研究科の授業を履修しました。また同じ頃に、大学院生が中心メンバーの言語学研究会にも参加し、先輩たちから研究に関するさまざまなアドバイスをもらうこともできました。このような経験は、卒業論文や修士論文の執筆、学会発表などにおいて大いに役立ちました。
日本語と韓国語の研究を通して社会に貢献したい
また学部時代には、副専攻として「デジタル人文学コース」を履修しましたが、このコースで身につけた「データベース構築」や「正規表現」などの技術は、大学院で自分の研究をするにあたって、大きな力になっています。4年間、ことばの専門家から言語研究に必要な幅広い知識を得るとともに、コーパスについての技術や方法論を身につけることもできました。言語学・言語教育・日本語学・コーパスに関心がある人にとっては、またとない研究の場であることは間違いありません。私は現在、日本語に加えて母国語である韓国語の研究も行っています。今後は、立命館大学文学部で学んだ知識や技術を生かして、両国の地域社会に貢献できるような言語研究をしたいと思っています。