卒業生からのメッセージ
文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。
2020
教員2回生で選択した教師の道。 登り始めた新しいステップ。
- 英米文学専攻 2019年卒業
富山県立高岡商業高等学校 教諭
富山県立高岡商業高等学校は、春と夏の甲子園に20回以上出場した野球の強豪校。私は今そこで、英語の教員をしています。担当は、「コミュニケーション英語」や「英語表現」などの授業。2年目からは、1年生のクラス担任も任されています。生徒が楽しみながら英語を学ぶには、どんな授業をすればいいのか。試行錯誤の毎日です。 1年生「コミュニケーション英語Ⅰ」の授業の様子
私が教師になろうと決めたのは、実は大学に入ってからでした。それまで教員になろうとは、一度も思ったことがありません。でもそれから5年余りが過ぎ、地元の富山に戻って英語の先生をしている自分を振り返ると、立命館大学での4年間が人生を大きく変えたことに気付きます。
きっかけは、2回生の時に受けた授業でした。自分を振り返る時間があって、脳裏に浮かんだのが先生方の言葉でした。先生から多くを学び、その結果として今の自分がある――。そう気付いた時、ボンヤリとしたままだった自分の将来が、はっきりとした輪郭を描いて見えてきました。「自分も恩師の先生方のように、子どもたちに影響を与える存在でありたい」。そんな思いで教師になることを決断し、猛勉強を始めました。
目標を見つけ、勉強に新たな意欲を燃やす私をサポートしてくれたのは、立命館大学文学部の多彩な授業でした。中でも印象に残っているのが、英米文学に関する文献を精読する「英書講読」や「英文学史」「米文学史」の講義です。名著とよばれる文学作品を英語で読み解くことで、当時の歴史や物語の背景、英語圏の人びとの考え方まで知ることができ、英語という言語について理解を深めることができました。図書館に毎日のように通い、閉館の夜10時まで分厚い辞書とにらめっこしながら、ひたすら本を読んでいたのを覚えています。
2回生の時には、夏休みを使ってオーストラリアのマコーリー大学に留学しました。高度な語学力と海外の大学で学ぶスキルの獲得をめざすプログラムで、オーストラリアの社会や日豪関係をテーマとする専門クラスも受講。言葉も文化も異なる人たちと身近にふれあい、視野を広げることができた7週間でした。 Graduation Day マコーリー大学の先生と
自主ゼミ「オードリー」で出会った仲間たちの存在も、忘れません。「オードリー」は、教職をめざす学生が集まり、教員採用試験に向けて教科ごとの勉強をする学生の自主活動。高い志と強い意志を持ち、飛び抜けた英語の実力を備えた仲間と過ごす時間は、刺激に満ちていました。試験対策の勉強以外にも、教育について自由闊達に意見をぶつけあい、めざす理想の教師像や教育に取り組む姿勢など自分の考えをつくる土台にもなりました。 卒業式 英語科「オードリー」の仲間たちと
思えば、高校卒業までの18年間、私が登ってきた階段は、一生懸命に勉強をして上の学校に進学するという、とても単純な階段だった気がします。でも立命館大学の文学部に入り、多様な個性や才能をもった友人や先生と出会い、影響を受ける中で、今までとは違う新たなステップを登りだしました。「ここに来れば、新しい何かが始まる」――。立命館大学は、そんな魅力にあふれた大学です。