卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2020

流通・商事

人生のターニングポイント。 変化を恐れない大切さを教わった。

日本文化情報学専攻 2016年卒業

株式会社シュゼット 流通店舗部「アンリ・シャルパンティエ」

立命館大学文学部に入った頃は、学校の先生をめざしていました。その目標にむかって、学生時代は必死に勉強。教職課程科目の履修や教育実習も無事終了し、あとは教員免許を受け取るだけでした。
でも卒業を間近に控え、ふと疑問に感じたことがありました。自分には、教職をめざして一緒に頑張った仲間のような強い意志も覚悟もない。このまま外の世界を知らず、小中高大とずっと「学校」という空間の中で過ごしてきた延長で先生になることが、本当に自分にいちばん良い選択なのか――。悩み抜いた末に、私はまったく別の道を歩む決心をしました。

私がいま勤めているのは、洋菓子の全国ブランド「アンリ・シャルパンティエ」を百貨店中心に90店舗以上展開する「株式会社シュゼット」(本社:兵庫県西宮市)という会社。京都の百貨店に、私の勤務するお店はあります。

「シュゼット」が大切にしているのは、現状に満足することなく、昨日よりも今日、今日よりも明日と、より良い売場づくりをめざして改善の努力をすること。京都のお店でも、多種多様なお客さまのニーズに対応できるよう、スタッフ全員で知恵を出しあい、接客方法やおすすめ商品に工夫を凝らしています。「これをやれば必ず売れる」という答えは、どこにもありません。今までのやり方を捨て、失敗を恐れず新しい試みに挑戦する。それが唯一の解決策です。それにはまず自分自身が日々生まれ変わり、成長することがなによりも大切。私は今、新しく変化することを楽しんで仕事ができています。graduate/graduate33_sub01接客風景(現在はマスク着用など、感染防止対策を徹底しています)

固定観念にとらわれず、変化し続けること――。
その大切さを私に植え付けてくださったのは、立命館大学の先生方です。中でも日本語学が専門の小椋秀樹先生からは、たくさんの刺激をもらいました。日本文学を学ぶつもりが日本文化情報学専攻(現・日本語情報学専攻)を選んだのも、1回生で受けた日本語学の授業が楽しかったから。「日本語学概論」「日本語表現研究」など、小椋先生の授業はゼミ(専門演習)も含めて全て受けました。

小椋先生から学んだのは、「言葉の研究に、必ずしも答えは必要ない」ということです。「日本語の意味は、昔と今では全然違う。言葉は変化し、進化するもの。正しいか、間違いかではなく、その変化や過程を楽しもう」。大学に入るまで、答えのある問題しか解いたことのない私には、先生のメッセージがとても新鮮に響きました。時代とともに変化し、新しい意味付けがされて進化した日本語。変わることは、新しい価値を生み出すことでもあるのです。自分の中に変化を怖がらない気持ちが生まれ、生き方や考え方の「芯棒」となって、今も私の中にあり続けています。

高校までの私は、とても狭い考え方をしていた気がします。「○○は、きっと○○に違いない」。固定観念にしばられて、自分の可能性をせばめていました。その鎖を解き放ってくれたのが、立命館大学文学部の4年間でした。最近、仕事に少しでも役立てばと、簿記や韓国語の勉強を始めました。私が変化に対して、いつも前向きになれるのも、あの4年があったから。私にとって立命館大学は、人生のとても大事なターニングポイントでした。

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