卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2021

教員

高校からの夢であった学校司書。 先進的な学びを図書館からサポートする。

日本文化情報学専攻 2016年卒業

広島県立広島叡智学園中学校・高等学校(学校司書)

私の職場は全寮制の中高一貫校。グローバル人材の育成を目的とする“国際バカロレア”教育認定校の図書館司書として働いています。2019年に設立したばかりの新しい学校とあって、図書館も今まさに作り上げている段階。本の選定や購入、本棚への配架をはじめ、生徒と本をつなげるテーマ展示の企画を行うなど、日々奮闘しています。

学校図書館司書になることは高校時代からの夢でした。通っていた中学校・高校では司書教諭の先生が常に図書館におられ、休み時間には本や映画の話をしたり、時には悩みも相談もしたりととても近い存在で。私もこんな先生になりたい!と強く思い、教員免許と司書資格の両方が取得できる日本文学研究学域を選んだのです。
graduate/graduate41_sub01 叡智学園図書館の写真

大学生活では親子でオリジナルの絵本を作って電子書籍を作成するイベントをはじめ、さまざまなプロジェクトに参加しました。中でも印象に残っているのは、学園祭の実行委員会に所属し執行部として取り仕切った経験です。パンフレット作成時には協賛いただく企業の担当者さんと打ち合わせを重ねるなど、仲間達と一つひとつ形にしていきました。ひとつのイベントを立ち上げて実行し、しっかりと成功へ導く。そんな日々が今も懐かしく思い出され、また社会人としての礎にもなっています。

卒業後は一度学校で経験を積んでみたいと考え、高校の国語教員になりました。1年間現場でしっかり生徒とかかわる時間を持ち、卒業2年目にかねてより希望でもあった大学院の文学研究科に入学。研究を進めると同時にやはり現場でも活躍したいとの思いにも突き動かされ、中高一貫校の国語教員として再就職もしました。
大学院生としてイギリスの大英博物館に行きデジタルアーカイブ撮影を手伝うなどのプロジェクトに参加しながら、教員としては日々生徒と濃密にかかわる−−そんな、忙しくも充実した時間を過ごしました。

これらの経験によって、学問的なことだけでなく現場を通して実践的な学びが得られ、その上で、常にフィードバックを行うことの大切さにも気づきました。自身で立てた仮説を評価することの重要性は、現在生徒と触れ合う中でも折に触れてアドバイスしています。

学校図書館の司書は、単に本を充実させるだけでなく生徒の学びをサポートするという大切な役割も担っています。先生に学びの方向性をヒアリングして本を揃えることもありますし、有用な資料の提案なども行います。アメリカでは、教員が司書に「どういう授業をしたらいいだろうか」と相談しにくる文化もあるぐらいで、それに比べると日本の学校図書館はまだまだ発展の余地があり、改善すべき点もたくさんあると思います。

現在の職場である広島叡智学園は図書館に重きを置き、図書館を中心にコミュニケーションや学びの活性化へとつなげていきたい考えがあります。「広島叡智学園といえば図書館だよね」といわれるよう、これからも図書館作りに励んでいきたいと思っています。

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