卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2024

製造

防災への知見を持つ営業担当者として新しい視点からの商品開発にも挑戦中。

地理学専攻 2023年卒業

アキレス株式会社 防災ビジネスユニット 防災販売部 防災販売一課

化学メーカーで、防災関連製品を扱う営業職に就いています。主な取引先は防災・消防・医療などの専門代理店で、取り扱う製品はゴムボートやエアーテントのほか、ゴムシートやゴム引布と呼ばれる機能性素材、配管のジョイント部材など多岐にわたります。ニュース映像で自社のボートなどが人命救助に使われているのを見ると、大きなやりがいを感じます。

防災事業部はまだ立ち上がったばかりなので、新しいものを切り開いていけるという点が魅力です。最近、前々から興味を持っていた商品開発にも関わるようになりました。防災用品はすでに飽和状態で新しい素材やアイデアで価値ある製品を生み出すのは大変ですが、自由度の高い環境で、一から商品を考えられる今の仕事を楽しいと感じています。

高校の頃から地理に興味を持っていたので、地理学に力を入れている立命館を選びました。防災に関心を持つようになったのは、1回生の時に祖母の出身地である熊本県多良木町の槻木地区を訪れたことがきっかけです。当初は山村集落の地域活性化に関心があったのですが、住民の方々の生活や集落への思い、豪雨時の話や厳しい自然環境などを聞く中で「安全に暮らせること」への関心が高まり、防災の視点で地域を支えたいと思うようになりました。

槻木地区は人口の50%以上が65歳以上のいわゆる「限界集落」ですが、住民の方々は皆、都会では考えられないほど元気で、畑を耕し、自給自足に近いような形で生活していらっしゃいます。災害時も、流れ出た土砂を自分達で撤去したり、畑の野菜や備蓄している米を食べたりして、自助努力で乗り切っていらっしゃいます。しかし、高齢者の方が多いため病院へのアクセスが困難になると命に関わり、道路の寸断による孤立は大きな課題です。この経験は、地域の実情に即した支援のあり方を考える大きなきっかけとなりました。

槻木地区を対象に防災の観点から地域の課題を分析した卒業論文は、優秀論文に選出していただきました。先生のご指導のもと、感覚的に捉えた地域の現状や課題を客観的なデータに落とし込み、説得力ある形でまとめることができたと思います。現場のリアルな声など、論文に反映しにくい複雑な要素も、先生と議論を重ねながら論理的に整理できたのは、とても貴重な経験でした。

卒論を仕上げる過程では、ゼミの仲間と遅くまで大学に残り、互いの苦手を補い合いながら取り組みました。特に地図作成など私の不得意な作業は、本当に周囲の助けに支えられました。こうした「人の力を借りる」という経験は、今の仕事にも直結しています。現在の職場では、自分一人で完結できることはほとんどなく、チームメンバーそれぞれの得意分野で補完し合うことが必要だからです。また、大学で防災の研究を行う先生や、自治治体の防災担当者と議論するには、防災に関する基本的な知識や問題意識が不可欠なので、そうした場面でも大学での研究や現場経験が活かされています。

今後の目標は、自分自身で防災商品を企画・開発することです。私が特に注目するのが「ペットの防災」です。当社は化学メーカーなので、これまでは素材ありきでものづくりをしてきましたが、私は、まず課題を持つ人の人たちの声を聴き、その解決につながる商品をつくりたいと考えています。今はペットを飼っている方々にインタビューを行い、実際の困りごとや要望を収集中。アプリやサービスといった「もの」以外の形も視野に入れて商品開発をしています。手探りではありますが、当社の素材を使って防災に貢献できるよう、頑張っていきたいと思っています。

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